2001/11/8

岩船寺

   京都から奈良まで京奈和自動車道の終点の木津で降り、京都と奈良の境目にある岩船寺に向かう。
 門をくぐると深い緑の中に、最近修理を完了した三重塔の朱が目に飛び込んでくる。本堂には丈六の阿弥陀如来が四天王に囲まれている。四天王は邪気を踏んでいなかった。
 寺の僧侶が
「この阿弥陀は胴体に比べて腕が太いのが特徴です」
と言っている。確かに腕が太い。裏に廻ると三頭身の十二神将。なんだかかわいらしい。

岩船寺の門。奥に朱の三重塔が見える。

浄瑠璃寺

   田んぼや畑に囲まれ、野菜などの無人販売所が道端に多くある道を浄瑠璃時に向かう。途中、ハイキングの人が歩いているのを何人も見かけた。
 浄瑠璃寺前の駐車場に車を置く。そこで赤いプジョー406が置いてあるのを発見。その隣がちょうど空いていたので、我が青いプジョー206を置いた。
 秘仏・吉祥天の公開シーズンということもあってたくさんの人が来ている。しかも、今日は毎月8日にしか開かない三重塔の公開日でもある。吉祥天の方は何度か拝観しているが、三重塔の中は一度も見たことがない。薬師如来が安置されている。どんな像なのか楽しみだ。
 本堂に入ろうとすると入り口にドラえもん石仏が置いてあった。その後、何度か見たので市販されているものなのかもしれない。
 本堂には九体の阿弥陀如来座像が横に並ぶ。その前の厨子に吉祥天が安置される。やはりこの像が一番人気があるようだ。奥には不動明王が矜羯羅、制咤迦童子ともに安置される。矜羯羅童子は愛らしい顔で無垢な瞳で不動明王を見上げる。ろうそくのゆらめく光が背後の障子に影を作り、不動明王の光背の火炎があたかも本当の火炎であるかのように、障子でゆらめいている。
 本堂を出て三重塔へ。この中の初層に薬師如来が安置される。中は暗く目がなれるまではよく見えない。平安時代に描かれたという壁画がある。痛みが激しく剥落が進んでいるため、毎月1回だけ、天候の穏やかな日に限って公開される。
 浄瑠璃寺の前の道を挟んで反対側にある蕎麦屋に入り、にしんそばを食べる。椅子に座りふと横を見るとガラスケースの中に焼き物がいくつも置かれている。この店主の作品であるらしい。そして、白州正子さんのこんな文章が額に入れられて展示されていた。
 「浄瑠璃寺のほとりに住む守田さんは、日常生活の中に骨董を生かしながら、信楽の土をそのまま焼き締めただけの素材な器を作っている。…」
 駐車場に戻ると赤いプジョーは もうなくなっていた。

ドラえもん石仏。よくみるとちょっとシュール。

円成寺

   浄瑠璃時をさらに東に走り、円成寺へ。寺の前には大きな浄土式庭園。このあたりは既に紅葉が進んでいる。池には木々の紅葉が映し出され美しい。この寺の多宝塔に若き運慶の彫った大日如来がある。多宝塔にはガラスがはめ込んであり、そのガラスに顔をなすりつけるようにして大日如来を拝観する。本堂の本尊は阿弥陀如来。手前の柱4本に来迎25菩薩が描かれている。眺めていると来迎のさまが目の前に浮かんでくるようだ。
 円成寺を出て、柳生へ。掲載する店と柳生藩家老屋敷を撮影する。
 帰りは柳生から笠置へ出る。笠置は古い民家や店が道沿いに立ち並んでいた。笠置といえば、後に東大寺修二会を始めることになる実忠和尚が、都率天で修行する菩薩をはじめとする諸天衆を見たというところだ。実忠はそれを見て修二会を始めたという話が残されている。笠置に出てから木津川を渡り川沿いに走る国道163号を経由し国道24号を北上し、宿に戻った。

奥に見える多宝塔の中に運慶作の大日如来が安置される。

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