下を向いてる時間があるなら
      少しでもたくさん空を見上げなさい。

  府中野円之介(「ふたつのスピカ」柳沼行)






 「子供の時に見た空は一生の宝になる」。
 空がほんとうに高いと思えたのは子供の頃だけ。
 大人になったら見えなくなってしまうのだ、と。
 花火職人として空を見上げ続けてきた府中野のおじいちゃんがアスミにくれたお言葉。

 ひとり神社で泣いていたアスミに気づいたおじいちゃんは終始ニコリともせず、でもとてもあたたかな言葉をかけて去っていきます。府中野のおじいちゃんは、年を重ねた方らしい重々しくハッとさせられる言葉をいつもくれる方です。
 宇宙への夢を抱く若者たちを描く 『ふたつのスピカ』 は全体がふわりとした詩のような物語で、いくつでも大好きな場面があります。アニメは中途半端に終わってしまったので、ぜひ原作をあなたにも読んでいただきたく、その一編を、ここに。




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