────昨日と同じ バカな自分がいる明日なんて
ぼくは まっぴらごめんです!

ぼくは変わって行きたい

そしてフミちゃんや平介さんや───
これから会う人たちの変わって行くさまも
見届けたいんです

        牧野草二郎(「東京物語」ふくやまけいこ)



 投薬のために老いない体になってしまった西王寺瞳子から、薬を使って永遠に一緒に生きてほしいと請われたのに、草二郎が返した言葉。
 舞台は昭和初期の東京市。神社の境内に住んでいる無職・牧野草二郎は、ある事件がきっかけで新米雑誌編集者・桧前平介と出会う。ソバ店伊勢屋のフミちゃんや下町の人々をまきこんで起こる様々な事件。隅田川の人魚。時計台の幽霊。宝石泥棒に詐欺、置き引き───最後には、草二郎の秘密をあかす、上野・浅草から横浜までを股にかけた大事件を、おっちょこちょいだけれども下町人情熱い平介さんに助け助けられて解決していくうち、現実から逃げていた草ちゃんが、また夢を追いつづける強さをとりもどす……
 「あたり前の街中にかくされている不思議な話」を描きたかったと『東京物語』のあとがきで書かれていますが、ふくやまけいこさんの物語は、日常の生活のなかにある”冒険”を大切に大切にみつめている……そんなあったかな世界がつまっています デラックス版で大都社から全4巻、発売中〜(^-^)  



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