たしかにこの世は地獄かもしれない・・・
だが、ぼくは天国でなんか生きていたいとは思わない!

ぼくはこの地獄のなかだからこそ光を求め────
光の秩序を求め、愛の勝利を求め・・・
ありうべからざる救いを求めて生きてゆきたいのだ!

     伊集院大介(「真・天狼星 ゾディアック6」栗本薫)





すべてがすこしづつ根本的にゆがみはじめている世界の中で、圧倒的多数の狂人と、正義を主張してやまぬ自分と、どちらが正気なのか疑ったことはないのか・・・。殺人鬼・宿敵シリウスの問いかけに対する、名探偵・伊集院大介氏の言葉。けして社会正義などではなく、自分の目的と正義のために動くと云う大介さんは、とんでもない事件の渦中にあって、そのどっしりと地面に足をつけた様が読んでいて実に心地いい〜(*^_^*)。『ゾディアック』は『天狼星〜蝶の墓〜』の竜崎晶くんのその後の話。シリウスあるかぎり伊集院さんの安らぎはないですが、当人は安らいでいたいとも思わないんでしょう・・・ 希代の名探偵が関わる実に複雑怪奇な事件を描く栗本薫さんの筆は、さえにさえてます。まだ読んだことのない方は講談社文庫の『仮面舞踏会』からどうぞ〜(^_^)

 大介さんの台詞、もうひとついきましょう。 『魔女のソナタ』で樹に、「あなたは差別意識を持った人間?」と尋ねられたときの返答────────


そうでありたくないと思い、自分のなかにそういうものを発見したら、そうでなくなるようつとめている人間だと……
あるいはそういう人間であればいいと望んでいますが

 



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