会社を休むということ

2003-1-29初版

 大きな病気をすると、長期にわたって入院治療・自宅療養をせざるを得なくなります。会社員(労働者)の場合、会社を休んだり、復職の申し出をするなどの手続きをしなければなりません。一口に会社を休むと言っても、「休み」にはいくつか種類がありますし、「復職」と言ってもその過程は様々です。

勤務先の会社の労働協約や就業規則によって細部で違いがあるということをお含みおきの上参考にしてください。休暇や給与などについて、労働基準法の基本的な定めを、わかる範囲で引用しておきました。



年次有給休暇

毎年、会社から年次有給休暇が支給されるのはご存知ですね。入院・治療には、まずこの年次有給休暇を使うことになるでしょう。付与される休暇日数は勤続年数によって異なり、1年間に最高20日です。「有給」の休暇ですから、給与は通常通り支払われます。

使用者は、雇い入れの日から6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に、10日の年次有給休暇を与えなければならない。また、1年6ヶ月以上継 続勤務した労働者に対しては、全労働日の8割以上出勤した年ごとに所定の日数(1〜2日)を加算し、最高20日を限度として与えなければならない(労働基 準法39条1項、2項)。

病気欠勤

有給休暇を消化し終わると、病気欠勤期間(1.5ヶ月)に入ります。欠勤のために会社に医師の診断書を提出しました。給与から、各種手当(家族手当、子女教育手当など)が支給されなくなりましたので、財形貯蓄や持ち株会は休止の手続きを取りました。加入している労働組合から見舞金が支給され、組合費は免除になりました。



病気休職

年次有給休暇、病気欠勤期間を消化し終わると、いよいよ休職扱いになります。業務外の私傷病ですから、「傷病休職」ということになります。休職期間中は会社からは給与が支払われません。その代わりに健康保険の傷病手当金(標準報酬月額の6割)や共済会から給付金が支給されます。期間は最長1年6か月で、被保険者が療養のため働けない日が、連続して4日以上になり、賃金が支払われない場合に支給されます。適用されるためには、社会保険に加入していることが必要で、国民健康保険は対象になりません。

傷病手当金は、傷病手当金請求書に、医師の意見書と事業主(会社)の証明を貰って健康保険組合に提出すると、指定した銀行(郵便局)の口座に振り込まれました。
労務につけなかった期間を記入して申請するとその期間分の手当てが支給される、という仕組みになります。給与のように毎月決まった日に支給されるわけではありません。
給与明細書は引き続き会社から毎月受け取りますが、給与の支払額は0円です(汗)。が、住民税や健康保険料、厚生年金保険料は今まで通り差し引かれますので、支給額はマイナス額となります(滝汗)。このマイナス分は、月末に指定された会社の口座に振り込んでいました。

「休職」とは、従業員が一定の事由のため労務の提供ができなくなった場合、一定期間を定めて、その間、従業員の地位を継続させたままその就労の義務を免じるもので、多くの企業が労働協約や就業規則等により様々な制度を設けています。法的には、労働基準法施行規則第5条1項の労働者に対する労働条件の明示事項に「休職に関する事項」の規定があるのみで、制度の有無や内容については、労働協約や就業規則等の定めに委ねられています。

職場復帰

およそ1年の自宅療養を経て、体調が安定し体力が回復し(休職事由が消滅し)ました。この時、就業に差し支えないことを証明する医師の診断者を添えて復職を申し出ます。確認のために会社指定医の検診も行われました。

復職後は、いきなり周囲と同じようなペースで仕事は出来ないと思います。私の場合はデスクワーク中心だったのでまだ楽な方だったかもしれませんが、それでも最初の1週間は半日勤務にし、会社にいる時間を徐々に長くしていきました。それでも、満員電車でヘトヘトになったり、家で休んでいるときに使わなかったつけで筋肉痛になったり、何度も風邪をひいたりしました。当初の数ヶ月間は、「仕事をする」ことよりも「会社に毎日来る」ということに目標をおいていました。

病気休職明けの年次有給休暇支給日数は11日/年ですが、会社の内規(この後もこの「内規」という見えなかったルールに驚くことになりました)により月割りで有給休暇は2日しかありませんでした(1月中旬に復職したため、有給休暇切り替えの3月までの約2ヶ月/12ヶ月×11日で2日、という計算)。少々の風邪をひいたときは我慢して出社しましたが、高熱を出した時はさすがに会社を休みました。また、定期的に外来通院もしなければならなかったので、あっという間に有給休暇を消化しきってしまい、入社以来初めて「欠勤」してしまいました。この年の直近の夏のボーナスは支給されない(代わりに見舞金)ことがわかっていたので、事実上不利益を受けない、ということだったので。 「欠勤」は直近のボーナス査定に響くだけ、ということなので。

勤務体制が変更されたり、一部の手当てが復職後の1年間は支給されないことも「内規」にありました。復職後の1年間は言ってみれば「見習い期間」のようなもので、これを無事に過ごし終えた時に、ようやく休職前の状態に戻れる、ということに納得するのに少々時間がかかりました。 以上のような復職後の処遇については、勤務先の会社の規定によってかなり違うはずです。

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