ヘアピン・カーブ
↑Home Top Next>

 新岡部変電所を見学できたことは、僕にとってエポック・メイキングなことでした。
 しかも、この場所は東洋で2番目に変電容量の大きい変電所ということなのです。それだけを聞いても心躍るじゃありませんか。

 ここでは、何回かにわけて変電所内部の様子についてお届けしたいと思います。

 まずはじめに。
 変電所というのは、つまりこういうモノです。

   高電圧x小電流 −> 低電圧x大電流

 発電所で作り出した高電圧を徐々に「低い電圧・大きな電流」に変換していくのです。早い話が、単なるトランスです。でもその規模の大きさが違います。
 新岡部では入り口が 500kV 出口が 275kVおよび154kV。
 500kVと言ったら、乾電池33万個を直列にしなけりゃなりません(交流と直流の違いはありますが)
 電力の損失がなければ、上に示した式がそのまま成り立ちます。さらにこの先にある各街々にある小さな変電所にも当てはめてみると、入ってくる電力が500kVx1Aならば、僕たちの家のところ(通常は200V)には、200Vx2500A供給できることになります。
 通常の家ならば、30A〜60A位のブレーカーが備え付けられていると思います。
 この変電所に、たった1Aの電流(100Wの電球1個分)が流れ込むだけで、60件前後の戸数の全電力を賄うことが出来ます。実際にはこの1万〜2万倍の電流が流れるようなので、そのすごさは想像できません。
 (内容は合っているのだろうか(笑))

最後の鉄塔
(変電所内部に接続するための最後の鉄塔 新岡部線−73(?))

 さて、難しい話はこれくらいにしましょう。
 上の写真は、変電所内部につながる送電線を最後につかんでいる鉄塔です。鉄塔の番号は確認できませんでしたが、おそらく「新岡部線−73」だろうと思います。(その一つ手前の鉄塔が「新岡部線−72」なので)
 右側から来た送電線が、この鉄塔を軸にして急転回しています。「270°回転」でご紹介した角度よりも急角度ですね。ヘアピン・カーブと言ったところでしょうか。あるところにはあるものです。
 送電線が片側に寄っているということは、それだけ「力」が一方方向にかかるということですから、鉄塔自体も足が広がっていて、がっちりとした感じがしますね。
 埼玉県大里郡岡部町にて

変電所の内側から見ると
(変電所の内側から見ると)

 変電所の内側から見ると、こうなります。
 中央に見える鉄塔が「新岡部線−73(?)」です。
 送電線は一旦、門型鉄塔を経て、巨大な碍子(3m位ある)に接続されます。碍子が立っている円筒状のモノは、実は巨大なスイッチなのです。送電線は1回線が3本一組になっているので、このスイッチ1台・碍子2個の組み合わせが、3組でようやく一人前。(写真に写っているのはそのうちの2組)
 なんでスイッチがいるのかというと、工事や事故で送電をストップしなければならない場合があるから。(もちろん、変電所の入り口と出口にこういうスイッチがあります)

 この部分にはもう一つの機能があります。
 それは、入ってくる電流や出ていく電流を計ること。
 電力の需要に合わせて、変電所内部で電圧の調整などを行っているのです。(電流が増えれば電圧が下がるから。また、異常な電流を検出するのにも使います)

 夏のエアコン電力を賄うために、発電所もいろいろと苦労をしているのでしょうけど、そのとき変電所だって苦労しているのです。

↑Home Top Next>