今月のLHR ロングホームルームの提案

 実施後の感想などをいただけると幸いです。ホームページを通して、実践を交流したいと思います。


 3月の展開例「キャッチコピーコンテスト」
 2月の展開例「コミュニケーション力向上」(コンセンサスゲーム 『NASA』 の利用)
 1月の展開例「夢を語る」
12月の展開例「2時間かけて大掃除」
11月の展開例「みんなで進級・卒業しよう!」
10月の展開例「タテ割りホームルームで語り合う」
 9月の展開例「学校の周辺環境について考える」
 8月の展開例「人生の先輩に取材しよう」
 7月の展開例「将来への第一歩を踏み出そう」

 6月の展開例「中学校への手紙」
 5月の展開例「席替え」
 4月の展開例「仲間の輪を広げるホームルーム開き」

    


 3月 ホームルームの展開例 「キャッチコピーコンテスト」 


【1】テーマ設定のねらい
 ホームルーム活動の一年間を振り返らせる方法は様々にある。この企画は、今の生徒たちが日常的に慣れ親しむキャッチコピーを作成することによって、自分自身やホームルームを省みるというものである。
 ウイットの利いた、ユーモアのセンスあふれる生徒たちに「名(迷)コピー」をつくらせて、この一年の反省や思い出のまとめとしてみよう。そして、これらのキャッチコピーのなかから最も相応しいというものを全員投票で決定していくことで、認識を共有させていくこともねらいのひとつである。
 また、ビジュアル感覚を持ち合わせた生徒も多いので、できあがったキャッチコピーに写真や絵などを添付して、即席のポスターにしてみてもおもしろい。

【2】事前準備
@次のようなテーマごとに班分けを行う。
  A.行事見直し班
  B.遅刻なくそう班
  C.ゴミ分別班
  D.クラス目標班
  E.部活・委員会班
A班が決まったら、各テーマに基づいた次のような実態調査をアンケートなども含めて行っておく。
  A.成功した行事、失敗した行事と理由
  B.クラスの遅刻の状況
  C.毎日のゴミ分別の状況
  D.年度当初のクラス目標の達成度
  E.部活・委員会の参加状況や問題・悩み

【3】当日の展開
@実態調査の結果発表
  各班がテーマごとに調べた内容を説明しその結果わかったこと、これから改善すべきことなどを発表する。
Aキャッチコピーをつくる
実態調査の結果を踏まえて、班別にキャッチコピーづくりを 行う。その際、「わかりやすく、 インパクトがあり、  リズムがある」等の条件をつけておく。
B採用決定の全員投票を行う
各班から出されたキャッチコピーのなかから、テーマ別に一つずつ採用する。決定方法は、全員による投票とする。

【4】まとめ
 事前準備の段階で班員がどこまで実態を把握したか、その状況を全員がどの程度認識できたかによってこの企画の成否は決まる。単なるコピーづくりに終わらせないためにも、少し時間をかけたいところである。 また、事後にポスターとしていくために、雑誌や新聞の写真や文字を切り抜いて仕上げていくことと、貼り出す場所の工夫もさせてみよう。


    


                   ホームページへ

      


 2月 ホームルームの展開例 「コミュニケーション力向上」 
     (コンセンサスゲーム『NASA』の利用) 


【1】テーマ設定のねらい
 核家族化・少子化、テレビゲーム・自動販売機の普及、人間関係の希薄化など社会の様々な変化によって、コミュニケーションの苦手な子どもが増えているという。自分の思いを相手に伝えたり、相手の意見を聞きながら合意を図ることは、生きる上での大切な力の一つである。
 そこで、簡単なゲームを使ってコミュニケーション力の向上を試みてみよう。今回はコンセンサスゲームとして知られる「NASA」を取り上げてみたい。

【2】事前準備
(1)班分け(1班4〜6名程度)
(2)「NASA」問題用紙の印刷(人数分)

【3】当日の展開
(1)机を班ごとにつける。
(2)まず、各自で「NASA」問題に解答する。
(3)次に、班員が各自の意見を出し、十分話し合って班の解答を出す。
(4)最後に、答え合わせと集計を行い、比較しながらそれぞれの活動を振り返る。
   * 誤差=│順位−正解│
   * 誤差の合計=得点 (この問題では、得点は少ない方良い)

【4】まとめ
 一般的に、個人で考えた場合より、班員全員で考えた場合の方が良い結果が表れる。また、話し合いが活発かつ十分に行われた班ほど結果がよいのが普通である。班員が知恵を出し合い協力して合意を得る大切さやそれによる到達度の高さを理解させたい。


【NASA 問題用紙】
 あなたは班員と共に宇宙船に乗って月面に着陸しようとし、当初の予定では明るい方の月面で迎えに来る母船と一緒になることになっていましたが、機械の故障で宇宙船が着陸予定地点(母船とのランデブー地点)から200マイル(約320キロメートル)離れたところに不時着してしまいました。宇宙船もほとんど壊れ、載せていた機械や物品もかなり使用不能となりましたが、なんとかして母船にたどり着かなければ全員遭難してしまいます。問題用紙に書いてある物品は、不時着時に難を免れ完全なまま残っているものです。大事なものからその重要度に従って順位をつけなさい。

    
    


    

     参考文献 ニューカウンセリング 伊藤 博(誠信書房)




                   ホームページへ









        

 1月 ホームルームの展開例 「夢を語る」 


【1】テーマ設定のねらい
 日々のあわただしい中では、とかく自分を客観的に見つめ直し、自らの進むべき方向を確認し続けることは難しい。新年を期に、将来の自分についての考えを深め、夢を抱き、その実現に向けてどの様な努力をしたらいいかを考えさせてみよう。
 そこで、生徒一人ひとりが年末年始の新聞を読み、その中から自分の生き方に示唆を与 えてくれるような話題を見つけ出すという作業に取り組ませてみたい。そしてそのような示唆を受けて、では自分はこれからどのよう な努力を重ねていく必要があるのかを考えるきっかけとする。
 このような取り組みをクラス全体にも起こさ せれば、生徒相互の励みとなり、今後の学習意欲の向上や生活の改善にもつながるはずで ある。また、こてを契機に各自が新聞に親しむことにもつながろう。

【2】事前準備
 二学期末の段階で、生徒への趣旨説明を行う。その際、次の課題を出す。
(1)冬休みの宿題として、自分の生き方や夢に触れるような「こんな良いことが書いてあったよ」と共感できるような新聞記事をみつける。
(2)その記事を切り抜き、レポート用紙に貼って、要約をしておく。
(3)記事は、コラム・文化面・スポーツ特集等なんでもよい。範囲を限定しない。始業式後、編集委員は提出された切り抜きレポートを冊子にまとめておく。また、学級委員を中心に生徒の発表順も決めておく。

【3】当日の展開
(1)学級委員が、司会を担当し、各自が自由に意見交換ができる雰囲気をつくる。
(2)担任は、この活動の提案者として、簡潔に趣旨説明をする。
(3)発表順に従って、「記事のどこに共感したか」「自分の夢とは何か」「夢実現に向けてどんなことを始めたいか」を簡潔に述べていく。
(4)発表内容について、他の生徒は冊子を参考にしながら質問する。
(5)この内容を、一時間で収めるのは無理があるので、次回も続けることを予告する。

【4】まとめ
 この発表の中で深められたことを改めて 原稿にし、クラス文集としてまとめあげたいので、再度新聞記事を読み直すよう指示しておく。こんな活動を通じて、さらに新聞を読む、もっと新聞に親しむということにつながるだろう。  
 著名人に限らず、様々な人の生き方に触れた記事によって「自分の夢」がおぼろげながらも見えてくる。あるいは、「日常生活の中での努力」の必要性が意識できるようになっ たら、「行き先」を考える進路指導につながっていく。このことがクラスの色々な活動の活性化にも結びつくだろう。そんな視点を持って取り組ませてみたい。






                    ホームページへ








       


  12月ホームルームの展開例 「2時間かけて大掃除」 

テーマ設定のねらい
 年末大掃除は日本の季節行事の一つである。学校でも大掃除を行い、二学期に使った教室等をきれいにして、一足早く新しい年を迎える準備をしよう。
 自分たちの使う場所が自分たちの手できれいに整備されるというのは、実に気持ちのいいものである。具体的な目標を作って役割を分担し、要領よく全員で取り組めば見違えるようにきれいになる。
 成果がすぐにはっきりと現れるので共同作業の喜びが実感できる。美化(整備)委員を中心に、綿密な計画を立てて実施し、生徒たちと心地よい汗を流そう。

【2】事前準備
 美化(整備)委員は大掃除の要領を作りホームルームに提案し、了承を得る。
(1)清掃場所と人数配分

 (例)教室床   10〜12人(2グループ)
    教室前廊下 5〜 6人(1グループ)
    その他(黒板・壁・窓の桟・掃除用ロッカー・ごみ箱) 5〜6人(1グループ)
    特別区域  10〜12人(2グループ)
(2)清掃のポイント
  ・隅々の汚れを一掃する
  ・床にワックスをかける
  ・壁の落書きやシールを完全に落とす
  ・教室に設置されれた用具をきれいにする
(3)手順
  更衣→分担決め→用具の配布→机といすの移動→担当区域の清掃
  →用具の片付け→更衣→結果報告・評価

(4)担任と美化委員の仕事
  ・担任は生徒のいずれかの班に入る
  ・特別区域には、他の教員に入ってもらう
  ・美化委員は「何でも係」・・・・清掃している生徒たちの雑事を受け、スムーズに作業が進むようにする

【3】当日の目標
(1)体育着に着替え教室に集合する
(2)清掃要綱、特に清掃のポイントを再確認する

(3)清掃区域の分担を決める。希望を出し合って調整するか、くじを引いて決める。
(4)各グループに用具を配布する
(5)全員で机といすの足の汚れを落とし、いすを机の上に上げて廊下に出す
(6)清掃のポイントを中心に清掃を行う。
(7)それぞれの分担個所の清掃が終了したら、用具を元に戻し更衣する。
(8)各グループからの自己評価を発表する。
(9)美化委員の評価を発表する。
(10)意見交換を行い、改善点を整理する。

【4】まとめ
 目標や手順を十分理解し、用具や洗剤・ワックスなどを使いこなすことができれば、生徒たちは清掃作業を楽しみながらやるものだ。徹底した清掃を行うことで、日ごろの教室の使い方の反省が生まれ、日常の清掃のヒントが得られる良い機会にもなる。学年や学校全体で一斉に取り組めば、一層効果的である。






                    ホームページへ








     


 11月 ホームルームの展開例 「みんなで進級・卒業しよう!」 

【1】テーマ設定のねらい
 年度末になって必ず問題になるのが、「進級・卒業問題」である。これは、主に、学業 不振に起因しているようだ。学業不振は、個々の生徒によって様々な要素が考えられ、対応の仕方も多様である。基本的には、個別指導の分野であり、計画的・継続的なきめの細かい指導が望まれる。 一方、担任として、この「進級・卒業問題」解決を、集団指導の視点でとらえ、取り組むことも可能ではないだろうか。二学期末考査に焦点を合わせた計画的、組織的な学び合う学習活動をクラスに展開させ、年度末考査につなげる。併せて、協力し支え合うことの大切さも学ばせたい。

【2】事前指導
 学級担任が、各教科担当に取り組みの趣旨説明と協力依頼をする。その際、教科担当か らの助言や要望なども聞き、指導の参考にする。それを踏まえ、学級担任としての指導計画を立て、その趣旨と取り組みの内容を事前にクラスに伝えておき、各自構想をまとめさせておく(二学期中間考査終了直後のロングホームルームを活用する)。生徒からの質問や要望も受け止め、その後の指導に生かす。

【3】展開
(1)学習活動の概要
 クラス全員が、それぞれの一番得意(または一番苦手)とする一科目を選び、班編成する。各班ごとに学び合い、二学期末考査対策を立て、クラスにその取り組みを紹介し、クラス全体で進級・卒業に向けての学習活動を展開する。そのためには、各班がそれぞれの教科担任と連絡を取り一年間の学習のまとめや、予想される期末考査のポイントをなどをまとめる。各班制作の模擬テストの実施とその結果分析も考えられる。
(2)当日の展開
 一連の取り組みの第一段階として、二学期中間考査後の2回目のロングホームルームに設定する。
(ア)クラス担任は、事前指導を踏まえた上で、簡潔に趣旨及び学習活動の取り組の確認を行ない、班編成を行なう。班長・副班長は互選で行なうように指示する。
(イ)各班では、班長副班長を中心に、班としての学習活動の取り組み計画を立てる。
(ウ)各班長は、各班の学習計画をクラスの全体会議の中で発表する。
(エ)それをもとに、クラス委員の司会による全体討議で、質疑応答を行ない、要望を吸い上げ、今後のクラス全体の取り組みを確認し合う。
(オ)司会者(クラス委員)のまとめと確認に対して、クラス担任は留意点の確認を行なう。

【4】まとめ
 この学習活動は、クラス全体の学習意欲を高め、学習環境を整えることを意図としている。ゆえに、生徒にはこの取り組みを基礎として、その上に各自の努力を積み重ねることを促す。また担任は、生徒に優越感や劣等感を植え付けることのないよう配慮する必要がある。教科担任との連携がこの活動の成否につながるといえる。


                          ホームページへ








     

 10月 ホームルームの展開例 「タテ割りホームルームで語り合う」 

【1】テーマ設定のねらい
 必ずしも部活動が隆盛を極めているとは言えない現状。また、同じクラスに属していながら、殆ど会話のない者同志の存在。あるいは生徒会の役員選挙で、立候補者に事欠く学校等、生徒が他者とコミュニケーションを良好に築いて行くための状況はますます難しくなってきている。
 その一方で、親しい仲間内では饒舌に語る生徒たちも多い。つまり、生徒たちは語れないのではなく、語り方を知らない、あるいは語りたくないのだと考えることもできる。しかし、先輩から後輩へ語るという行為を通じて、伝統を伝えていくこと、つくっていくことは重要である。
 そこで、あらかじめ全ホームルームごとに、日常感じている不満や学校改善案等を募り、クラスや学年の枠を取り払い、学年縦割りでホームルームを行い、語ることを通じて、より良い生活環境を築くためにどうすべきかを考えるきっかけを指導したい。

【2】事前指導と準備
(1)各学年担任相互の共通理解を図っておく。
(2)当日の場所を決めておく(1−1、2−1、3−1は体育館というように)。
(3)各学年、各クラスのホームルーム委員に事前打ち合わせをさせて、当日話し合う内容のテーマについて、いくつかの候補をあげさせる。
(4)上記の候補を書いたカードを作る。
(5)当日の役割分担を決めさせる。
(6)1、2年生の発言しやすい環境作りを3年生に指導する。

【3】当日の展開
(1)目的と内容の焦点化
 各学年それぞれ指定された場所に集合したところで、担任から本時の目的について説明し、理解を図る。特に、このホームルームは多数決で何かを決議するものではないということ、学年相互でいがみ合うところではないことを十分理解させる。
(2)語り合うこと
 進行係(できれば3年生が望ましい)の指示に従い、あらかじめ作成しておいたテーマカードを代表者に引かせる。引かれたカードの発案クラスの学級委員に、テーマの趣旨を述べさせる。話しやすい環境を設定するために、ここでは他の学年や学校に対しての不満や注文という形をとってもかまわない。
(3)語り合いの展開
 1つのテーマで15分を目安に進行する。1時間で2つのテーマを取り上げる。語り合った結果、各学年で約束事を決めたり、学校や生徒会に対して要求することを決めたりしてもかまわない(ただし、多数決は取らない)。また、語られた内容を記録係はまとめて後日全員に発表する。生徒会はその内容を受け止めて、事後の活動に活かす。

【4】まとめ
 語り合いの目的は、学年を超えての意志の疎通にある。したがって、具体的な決定事項をみなくてもよい。また、全校一斉が難しければ各学年1クラスずつから始めたい。


    

 事前に準備するもの (1)「テーマカード」
              (2)「係分担表」(進行係・記録係・タイムキーパーの選出)
              (3)「記録用紙」
              (4)「まとめのアンケート」








                     ホームページへ










     

 9月 ホームルームの展開例 「学校の周辺環境について考える」 


【1】テーマ設定のねらい
最近、「生徒のマナーの悪さ」に関して、近隣の方々からの苦情が後を断たない。具体的な苦情内容としては「コンビニエンスストアー前での食い散らかしや、どこにでもべたっと座る"地ベタリアン"、登下校の自転車が引き起こす交通渋滞」などが多い。
このようなことに対して、学校はその責任を考え、真摯に対応しなければならない。 そこで、「学校に対するアンケート調査」を近隣の方々にお願いし、学校が発生源となって、地域に与えている影響(良い点、悪い点両方)を把握し、それらの問題を整理することで、地域に根ざす学校作りを生徒自身の手で取り組ませてみてはどうだろうか。

【2】事前指導
(1) アンケートのねらいをはっきりさせ、質問項目を考える。
(2) アンケート結果の整理方法、作業分担などを決めておく。
(3) 今回の活動目的・方法などまとめた「発案書(企画書)」を生徒自身に作成させ、担任と一緒に管理職に説明する機会を設ける。職員会議及び学年会でも了解を得て連携を図る。また、生徒会との連携も生徒に考えさせる。
(4) 訪問グループと訪問先を決め、実施に際しての服装や言葉遣いなどを検討しておく。

【3】当日の展開
(1) 調査結果を発表する
自分の学校が発生源となって、近隣の方々にどのような影響を与えているのか発表しあう。また、回りから見た学校のイメージを否定的にとらえることなく、素直に受け入れることが肝心である。

(2) 調査結果を検討する
いわゆる"地ベタリアン"の問題では、なぜ大人がその様子を見て「みっともないから止めろ」というのか、生徒自身は認識できていない。衛生面の問題だけでなく、集団で地べたに座っている状況が回りにどのように映るのかをディベートするのも一方法である。

(3) 調査結果をフィードバックする
「学校は学校がある地域とともに発展してきた。今後も一緒に発展しなければならない」という学校と地域の関わりを前提に、発表した内容について具体的にどのような対応ができるのか検討させる。例えば、生徒のごみのポス捨て問題に対しては、討論だけにとどまらず、ホームルームの時間を利用したクリーンアップ活動(駅から学校までの歩道清掃など)につなげられると良い。
また、「学校周辺の環境は、学校と地域が協力して整備しなければならない問題である」など、今回の活動で生徒自身が考えたことやこれから実施することなどを「調査結果報告書」として近隣の方々にプリントなどで報告するとよい。

(4) 学校全体の問題として
駅で騒ぐ生徒の問題、校内放送やクラブ活動での大きな声・音の問題どは、ホームルームの活動だけでは解決できない。今回の活動で知り得た情報を全生徒(生徒会)に伝え、地域の問題を学校全体の問題として捉えるきっかけとする。また管理職や職員会議にも問題を提起する機会を設ける。

【4】まとめ
地域の中に学校があり、学校を含めた全体の環境を整備することが、学校の教育環境の整備にもつながるのだという意識付けを行ないたい。


                     ホームページへ





    

 8月 ホームルームの展開例 「人生の先輩に取材しよう」 

◆テーマ設定のねらい
 普段、学校や家族という狭い世界の大人としかふれあいのない生徒たち。将来を思い描くにも身の周りにある職業に限られがちだ。人生の先輩から話を聞く事で、広く社会の場で働いている人たちの「職業に対する考え」、また「中学・高校時代」について話を聞くことで、一人一人の視野を広げる契機にしたい。

◆事前指導
・生徒が興味を持っている職業をアンケートをとって調べる。
・ なるべくアンケート結果に沿うようにして講師を選ぶ。(卒業生ならば生徒にとって身近な存在のでなおよい)
・ 講師の職業、略歴などを事前に紹介し、質問したい事柄を考えておくように促す。

◆当日の展開
1.講師の略歴を紹介し、20分程度の講演をしてもらう。講演の内容は
  (1) 現在の職業に就くために何をしてきたか。(その職業を選んだ動機なども含めて失敗談なども話してもらう)
  (2)中学・高校時代に何をしていたか。またしておいてほしいことは何か。
2.講演後、質疑応答をする(進行役の教員がうまく質問がでるように配慮する)。また講師も感想を聞きたいだろうから、講師に向けての感想を述べてもらってもよい。
3.フリータイムをとる。さらに質問したい生徒は講師から個人的に話を聞く。また時間があれば、レポートの一部になる講演の感想をそれぞれ書く。
4.これを機会に夏休み中に出会った人にも話を聴いて自由研究にしてもよいのではないか、と提案するなど、この経験を発展させるように導く。また夏休み中に、この講演の感想を含め、レポートを完成させることを告げる。

◆事後指導
  さらに様々な職業の先輩に話を聞くよう、奨励していくと同時に、そこから足がかりを見つけ、現時点で自分に向いていると思われる具体的な職業調べを2学期以降に続けて調べてもよい。

◆まとめ
  この講演会では一つの職業についてしか知ることができないので、多くの生徒にとって将来の希望と直結するような話を聞けたわけではないだろう。しかし、その職業に就いた動機などを聞く事によって、自分の将来は何がきっかけになるかわからないのだと気付くはずだ。様々な事に対して興味をもち、アンテナをはって毎日を過ごしていくという意識付けになればよい


      




                     ホームページへ














         

 7月 ホームルームの展開例 「将来への第一歩を踏み出そう」 

◆テーマ設定のねらい
 学校生活も軌道に乗ってきたこの時期、個人面談等をしていて感じるのは、進路に対する意識が薄いということである。そのため学校生活での目標がつかめず、進路決定の時期も遅くなってしまうようである。自分の進路が定まらないため、3年次での選択科目でさえ、何を選択学習してよいのかわからないというケースが多々ある。
(1)進路を知る
 まずこの先どのような進路があるのかを知ることから始める。あらゆる職業を知ることで、自分にとって興味があるものや、適したものを見つけことができる。必ずしもこれという職業が見つかるとは限らないが、それに近いものを得るだけでも十分である。
(2)自分自身が考えるきっかけを作る。
 同じクラスのメンバーの発表を聞くことで、まだ将来の職業について具体化していない生徒たちに刺激を与えたい。また、発表者もこのホームルームを機に実際に調べてみることで、自分の夢に一歩近づくはずだ。
(3)自分自身で考える
 希望の職業に就くためにとるべき進路について、今度は自分自身で調べ、考えていくことになる。

◆事前指導
 将来の職業を具体的に思い描いている生徒を個人面談などで事前に把握しておく。6〜7つの職業に絞り、彼らにホームルームの内容を伝え、将来の夢、考えるようになったきっかけ、考え始めた時期・志望の理由などを説明できるようまとめておいてもらう。

◆当日の展開
(1)憧れの職業を持つ生徒を紹介する。
(2)グループに分かれ、職業についての説明を聞く。(興味の有無に関わらない)
(3)質疑応答の後、発表者が移動し、別のグループで説明する。(これを3回繰り返す。)
(4)説明を受けた職業について、レポートを作成する。

◆事後指導
  「職業研究」というテーマはかなりの時間を要するものであるが、夏期休業を利用して自主研究にあたらせたい。自分のやりたいことは何であるかをゆっくりと考え、学部・学科や職業について「調べる・見学する」といった作業を実際に行うことで、夏休みを有効利用してもらいたい。

◆まとめ
 このホームルームは、進路の決定を迫るものではない。自己理解を深め、進路を見据えた上で、長期的な視野をもってもらうことに主眼をおいている。まずは、ゴール地点ともいうべき目標を持つこと。ゴールにたどりつくためには、今何をしなければならないのかという自分自身の課題が見えてくるのではないだろうか。新学年になり学習のペースをつかみかけたところで、進路を考えるきっかけを与え、自分自身の将来について意識を高めることで、この先の一歩進んだ進路指導につなげたい。


  





                     ホームページへ











  
  

 6月 ホームルームの展開 「中学校への手紙」 

◆テーマ設定のねらい
 通信機器が発達し、現代人は手紙を書くことが少なくなった。電話は遠く離れている人ともリアルタイムで話ができて便利ではあるが、音声はその場限りである。その点、手紙は誰でも書けて、その内容が書き手の個性と情緒を伴っていつまでも残され、好きなときにまた読み返すことができる。
 新学期が始まって二か月が過ぎ、初々しい 一年生も学校行事や中間考査を経験し、高校 生活にも少し慣れてきた。違う環境で育ってきた新しい仲間との生活の様子や現在の思いを、出身中学校の担任やお世話になった先生に手紙で報告する機会を作りたい。疎遠にな りがちな恩師への近況報告の機会だけではな く、これからの学校生活や進路を考える機会にもしたい。

◆事前指導
  (1)事前に目的と方法を示し、まとめの用紙と下書き用の便箋を配布しておく。
  (2)高校の様子や生活状況、入学後の感想や現在の思い、進路等をテーマに、書く内容を各自
   でまとめておく。
  (3)相手を傷つけないように配慮する姿勢や言葉遣いなど、手紙を書くルールを徹底するととも
   に、友人を差別する内容や悪口等は書かないよう指導する。
  (4)書いた内容について、担任が見たり添削を したりはしないことを確認しておく。

◆当日の展開
  配布された「手紙の書き方の例」を参考に前文を考えた後、予め準備した内容を本文と してまとめ、最後に末文を書く。例はあくまで一般的な書き方の例であり、必ずしもそれにこだわらなくてもよい。手紙は論文でも文学作品でもないので、形式にとらわれず自由に書く。伝えたいことを自分の言葉で素直に書くことが最も大切なことである。
 下書きができたら、ていねいに清書して、封筒に入れて封をする。

◆まとめ
  普段手紙を書かない生徒が、いざ手紙を書くとなると結構大変なものである。どう書いたらよいのかわからない生徒には、手紙の書き方の基本的なルールを教えることで、意外とペンが進むということもある。また、季節の挨拶のヒントを与えると、その先は簡単に書けるということもある。まずは書いてみる、 自分の思いを自分の言葉で書いてみるという 経験が大事である。
  中学校でも高校でも、教員は卒業生のその後についてはとても気掛かりなものである。 しかし、卒業生自身が語らない限り何もわか らない。高校生活が始まれば母校へもなかなか足を運べない。そんなとき手紙が大いに活 躍する。担任にとって卒業生の手紙はこの上なく嬉しいものである。そして、恩師から返事が届けば互いの感激が高まり絆が深まる。
  学年全体で取り組めば、まとめて中学校へ発送することができる。特に一年生の場合な ど、中学校にとっても貴重な進路の資料となる。担任団のメッセージを添えて中学校との連携を進めるきっかけにしたい。



 
               



       次のページへ          ホームページへ







   

 


 5月 ホームルームの展開例 「席替え」 


◆テーマ設定のねらい
 入学・進級して一か月もたつと、ホームルームでは「席替え」の要望が出始める。学校生活のよりどころとなるホームルームでの座席は、生徒たちにとって一番落ち着ける場所でありたい。 選択科目や少人数での授業が増えて、ホームルーム教室以外での学習も多くなってはいるが、学習活動の大半はホームルームで行なわれる。教科学習を充実させるためには、座席のような人的環境を快適に保つことが欠かせない。「席替え」をホームルーム活動の一つとして位置づけ、班を利用して進める。 決める過程を大切にし、決めたらみんなで守るという基本的なホームルーム活動のあり方を学ぶ機会としたい。 班は、清掃や校外学習の班を使うとよい。

◆事前準備
ホームルーム運営委員会は「席替え」のルールと決め方の原案をつくる。
(1)期間は中間考査後から一学期末まで
(2)ブロック制とし、班毎に座るものとする
(3)ブロックの割り当てが決めた後、班の代表者会議で個々の座席配置の原案をつくる
(4) ホームルームで原案を討議し決定する
(5) 決まったら座席移動はしない


◆当日の展開
(1)席替えルールと決め方の原案について協議 し確認する。
(2)班の希望を出し合う。特別な事情があり、それが正当と認められる班は優先的にブロ ックを取ることがで   きる。
    <例>(○認める、×認めない)
      ○:矯正視力が低い者がいて、黒板が見えないので前の座席のAブロックを希望する。
      ×:チョークの粉が飛んでくるのがいやなので後部座席のDブロックを希望する。
(3)ブロックの割り当てをくじ引きで決める。
(4)今後の手順について確認する。


◆放課後
  班の代表者会議を開き、班の境界線(隣・ 前後の座席)を協議して全員の座席を決め る。互いが落ち着いて積極的にホームルーム活動や教科学習に取り組めるよう、人間関係などに十分配慮しながら座席の配置をする。ホームルーム運営委員は同席し、必要に応 じて全体的な立場からの意見を述べる。担任は、教科担任等から聞いている情報を提供して、代表者に座席配置の参考にするよう促す。


◆次時
  班の代表者会議でつくった座席を原案としてホームルームに出す。質疑応答の後、挙手・採決で決定する。 担任は、各自の事情を考慮して、十分な話 し合いが行われたことを評価する。そして、決めたことはみんなで守り合うこと、それが一人一人の利益を守り、互いが気持ちよく学校生活を送ることにつながるのだということを強調する。



         
       



        次のページへ          ホームページへ






   

 4月 ホームルームの展開例 「仲間の輪を広げるホームルーム開き」 


◆テーマ設定のねらい
希望を胸に新しい学年を迎える。しかし、生徒の胸の内は希望ばかりではない。「知らない人の中でうまくやっていけるだろうか」「友達はできるだろうか」という不安や緊張と表裏一体である。そこで、今年のホームルーム開きでは、和やかな雰囲気の中で友達の名前を早く覚え、仲間の輪を広げることから始めよう。2・3年生でもクラス替えをしたときには、新しい集団づくりの一助にできる。

◆事前準備
(1)名刺交換会
B5版程度の自己紹介用紙と、B5版を4〜8分割した名刺用紙を準備する。自己紹介用紙は1人2枚(1枚は提出用)、名刺用は25五枚以上。白または色上質紙で。入学式または始業式当日に配布し、翌日までの宿題にする。名刺には自分を印象づけるキャッチフレーズを考え、氏名の前に付ける。例えば「英語大好き人間の」○田A子、「頭脳より体でクラスに貢献する」☆野B男・・という風に。

(2)名前ビンゴ大会
ビンゴ用紙(25マスの用紙)を印刷する。1人1枚ずつ。色上質紙の方が雰囲気が和む。クラスの生徒氏名を書いた紙を封筒に入れて準備する。

(3)ホームルームルール発表会
ホームルームルール5箇条の掲示用紙を準備する。掲示板にそのまま貼れるよう工夫しておく。

◆当日の展開
教室内の机と椅子を片付け、広いスペースを確保してから始める。

(1)名刺交換会
出会ったら握手を交わし、名刺を交換して自己紹介をし合う。そのとき必ずキャッチフレーズをつけて名前を言うこと。手持ちの名刺がなくなるまで行う。担任も同様に参加する。

(2)名前ビンゴ大会
机をもどし、ビンゴ用紙にクラスの生徒名(姓)を記入する。思い出せないときは名刺を参考にする。中央には担任名を記入させ、最初に○印をつけさせる。封筒から順に一人一枚ずつ氏名が書かれた用紙を取って読み上げ、その名前が用紙にあれば○印をつけていく。縦横斜め一列に○印がそろえばビンゴ。

(3)ホームルームルール発表会
提出された自己紹介用紙の「これだけは守ろう!ホームルームルール」を活用し、ホームルームルールを作る。なるべく早い時期に、多くの生徒があげたものを集約してルールとしてまとめ掲示する。

◆まとめ
できるだけ早くホームルームが集団として機能するよう、知らない生徒と言葉を交わし、楽しみながら名前と顔を覚える機会にする。集団としてバラバラの個人や小さな仲間同士の集まりから、仲間の輪と輪が鎖のようにつながり合う集団を作り上げるスタートになるよう活気あるホームルーム開きにしたい。 事前準備と当日の展開方法

展開例

<事前準備>
(1)自己紹介用紙、名刺用紙を印刷する。
(2)入学式または始業式当日に用紙を配布し、翌日までに作成させる。
(3)ビンゴ用紙を印刷し、紙に生徒氏名を書いて折って封筒に入れておく。
(4)ホームルームルール5箇条の掲示用紙を作っておく。

<導入5分>
○自己紹介用紙を回収する。
○本時の内容と目的、すすめ方について説明する。
○机と椅子を片付け、自由に動けるスペースを作る。

<展開40分>
○名刺交換会
握手を交わし名刺を交換して自己紹介をする。10分間で25人を目標に。(友達の名前と顔をキャッチフレーズ等から特徴をつかんで覚える)
○名前ビンゴ大会
 1.机と椅子をもどし、ビンゴ用紙を配布する。
 2.担任の姓を中心に書き、他のマスに生徒の姓を記入。
 3.封筒から順に氏名を記入した用紙を取り出して読み上げる。用紙に名前があれば○印をつけていく。   (縦・横・斜めに○印が並んだら、「ビンゴ」と言う)

<まとめ5分>
○どれだけの人と言葉を交わすことができたか、どれだけ多くの仲間の名前を覚えられたかを確認させる。
○今後も全員が協力し、仲間の輪を大きくしていく。

準備する「自己紹介用紙」と「名刺用紙」

 


    
次のページへ          ホームページへ