研修の提案

 感想をいただけると幸いです。ホームページを通して、実践を交流したいと思います。

 3月 「担任としての成長を測る」
 2月 「担任のこなす教育事務」
 1月 「学校生活の基盤『健康と安全』を考える」
2月 「学習に関する内規の見直しから、学校の個性化を打ち出す」
1月 「ガイダンス機能を発揮した進路指導を考える」
0月 「生徒の学習意欲を引き出す」 (今月の付録: 授業改善のために参考の1冊
 9月 「全教職員による教育力アップのために
 8月 「コンピュータ利用 ステップアップ
 7月 「個人を育て、集団を育てる行事の進め方
 6月 「保護者との『共育』」
 5月 「リーダーを育てる
 4月 「予防的危機管理

ライン


 



      


 3月の研修  「担任としての成長を測る」


〔1〕 教師も一年のまとめを
 3月は、担任としてまた教科担当者として、生徒との対応や事務処理に追われ、落ち着かない月である。 しかし、どんなに忙しくとも、教師としての自分自身を振り返る機会を作り、客観的に見つめ直してみたい。それが成長のもとになる。

〔2〕 教師組織の一員として振り返る
 教師としての自分を振り返るとき、その対象は、授業実践や担任としての活動についてであったり、分掌の仕事であったり、いろいろと考えられる。 しかし、これらは全て「教師組織の一員として自分をどう活躍させたのか」という結果である。 したがって、個々の活動を省みながら、全体として次のような点について、自分自身の成長を測ってみることが大切である。

【成長を測るポイント】
(1) 教師としての力量はどれだけ向上したか。
  (経験したことのないことに、どれだけ効果的に対応できたか。今までうまく解決できなかったこと が改善できるようになったかなどで測る)

(2) 教師集団を学習共同体として高める一翼をどれだけ担えたか。
  (職員会議、担任会議、分掌会議 等で問題提起を行ったか。自分の考えを発言したか。教師どうしの和をつくれたかなどで測る)

(3) 教師集団の一員としてどれだけ協働実践を果たせたか。
   (全体の方針に沿って活動できたか。自分自身の役割を理解して、 果たしていたか。活動を研修会等に反映できたかなどで測る)

〔3〕 評価に客観性を持たせる工夫
 評価のアプローチとしては、まず自己評価を行うことである。自分自身が考えない限り、客観性のある判断を得ようとも思わないはずである。 また、客観性のある判断を得るためには、他の人と話し合う機会が必要である。フォーマルな機会ばかりでなくてよい。インフォーマルな場もどんどん活用して、教育談義の中から客観的な判断を得ればよい。

〔4〕 評価の中から学び合う保護者会
 教師としての活動を振り返り、自己を評価するとき、本来、保護者の意見も必要である。 そこで三学期には、テーマ自由のフリートーク形式の保護者会が、保護者と担任の両者にとって効果的である。 担任や学校の評価も含め、自由な発言を規制せず、保護者が求めている本音を知り、自己評価に生かしてみる。 このような試みは、保護者と教師との信頼関係を築き、共に学びあう姿勢を生み出すことにも通じる。






                   








       


 2月の研修 「担任のこなす教育事務」  


〔1〕生徒に及ぼす教師の実務・事務作業
 年度末が近づいてくると、仕上げな ければならない様々な実務的・事務的な仕事が大変気になる。 自戒的な意味を込めて、私たち教師はこれらの作業と期限に対し、苦手意識と若干のルーズな面を持ち合わせているのではないだろうか。
 実務・事務作業に対する不誠実な遂行や遅滞などは、教職員への影響だけにはとどまらない。最終的には生徒へ影響を及ぼし、信頼までも失ってしまうことになりかねない。出席簿の管理や成績表の記入作業の中で、生徒一人ひとりを改めて見つめ直すことは、適切な指導や助言などに結びつく。教育事務は雑務ではないことを強く強調したい。

〔2〕担任がこなす実務・事務作業
 出席簿から調査資料の作成・提出など、教師が行うべきことはたくさんあるが、担任に関わる実務・事務的作業としては次のようなものがある。
 ショートホームルームの運営、清掃活動の指導、出席簿及び日誌の管理、問題を抱えた生徒及び家庭との対応、学校行事への保護ysの出席調査及び集計、定期試験・実力試験の成績処理、通知表の作成、生徒指導要録の作成、担当委員会の指導等々。
 どれも生徒と直接的に関わる内容であることを再度認識しておきたい。また、これらの仕事は、毎日着実ににかつ確実に行われなければならないレベルのものである。このことは、実務・事務作業に関わる研修を進める上で最も基本的な前提になる。

〔3〕担任の実務・事務を進める工夫
 担任の実務・事務作業が生徒に直接的な影響があるとわかっていても、そこに滞りや甘えが生じる原因をしっかり把握することがまず大切である。授業準備ができない原因、問題を抱える生徒や保護者との対応が進まない原因などの現状が浮かび上がるだろう。これらの阻害要因を排除する工夫を担任会及び全体の研修の場で考えなければならない。その結果は、教職員の協働体制を作り出し、学校運営を見直す良いチャンスにもなるはずである。

【実務・事務を考えるポイント】
(1)毎日の定例作業の効率化を図る
(2)作業効率を図るアイディアの紹介
(3)作業効率を上げる物品の紹介
(4)教科内での作業分担を見直す
(5)生徒指導に全体で取り組む工夫 遅刻指導・清掃指導・授業指導等
(6)学校行事を見直す
(7)授業カリキュラムの見直す
(8)授業方法を見直す
(9)成績処理の効率化を図る
(10)教員組織の見直し 
                   など



                   





       

 1月の研修 「学校生活の基盤『健康と安全』を考える」 


〔1〕 学校が担う「健康と安全」
  学校における教育活動が、有効的に営まれるためには、生徒そして教員の「健康と安全」が第一の条件である。
 健康管理は個人や家庭の責任という意見もあろうが、「学校での予防的健康管理」としてとらえ、安全管理と同様に学校もその責任を担うことになる。
 したがって、学校生活における生徒の健康や安全を阻害する要因に対して、私たちは常に注意を払い、それらを取り除き、問題を解決することに力を注がなければならない。

〔2〕「心と体」の健康問題
 担任は健康診断の結果や毎日の生活の中で、生徒の「体の健康」に配慮することに努める。 個別対応が必要な場合は、保護者との面談を行い、授業担当者やクラブ顧問などとの連携も進めておかなければならない。 ところで最近は、「心の健康」に配慮しなければならない場面が多くなった。 生徒の「心の健康」の変化を機敏に見ぬ抜くには、普段の教師の洞察力がものを言う。授業中の様子、遅刻・欠席・早退の数、クラブの参加状況、保健室の使用回数など、シグナルが発信されているところは多い。
 後はそれを認識できるかどうかである。それには、担任ばかりではなく、授業担当者、クラブ顧問、養護教諭など、すべての教員による組織的な協働体制を整えておくことが必要である。また、生徒からの情報も軽視できない。

〔3〕予防的観点を重視した安全管理
 学校における安全管理は、事故を未然に防ぐ予防的な配慮を常に念頭において、生徒の学校生活を見直すことから始まる。 登下校時における交通安全、自習時間の過ごし方、授業・クラブ活動中の事故対応、学校設備と安全、事故発生時の連絡手順、行事と生徒の疲労度との関係等、「一日、そして一年を通した見直しの眼」をもって予防的改善を加えていきたい。

【健康・安全研修のポイント】
@ 健康・安全に対応できる教員組織
A 個人面談・ホームルーム活動の活用
B 教室環境(施設)と健康・安全問題
C 清掃問題と健康・安全問題
D インフルエンザ等への対応
E 生徒・保護者及び事務・用務・警備職員からの資料収集の方法
F 交通安全教育
G 防災への対応
H 年間の行事配置の見直し
I カウンセリング勉強会                               など

 また、生徒の場合と同様に「教職員の健康と安全」も学校運営の基盤。労働環境の整備を管理職へ積極的に求めていくことも大切なことである。





                   








    


          

 2月の研修 「学習に関する内規の見直しから、学校の個性化を打ち出す」 


〔1〕権威ある成績判定のために
 各教科から成績一覧表が提出される日、担任は一喜一憂する。 特に、3年生の場合には、2学期までの成績が調査書の発行に関係する。また、卒業を左右する場合もある。就職の内定を得ている生徒や専門学校等にすでに合格している生徒もおり、 周囲に及ぼす影響も大きい。 成績会議において、教科担当者から提出された学習評定について、全員で検討し、校長が卒業等を認定するとき、「学校内規」が判断の根拠として尊重される。
 ところで、成績会議では、個々の生徒への内規の適用について、教員間の意見の相違が表面化し、会議が紛糾する場合が度々ある。「教育課程」「学習指導の方法」「評価の方法」「単位認定の基準」などの内規について、教員相互の理解の共有のために、また学校としての権威ある判定とするために、研修によって検討し直す機会を設けることが必要ではないだろうか。

〔2〕変化に対応した学校内規
  「学校内規」の内容に違法性がない限り、各学校で定めている内規に教師も生徒も拘束される。 従って、昔からの内規で、卒業や進級等を判断し続けることは、今の時代においては、生徒や保護巣者に対して不利益を与えかねない。
  学校に対する社会からの様々な要請や生徒の実態をスピィーディに且つ的確にとらえながら変化することが求められている。 さらに、内規が生徒を拘束することから、進級・卒業規定など、生徒に直接関わることは、そのシステム的なこと共に、生徒と保護者に対し十分に説明がなされていなけらばならない。

〔3〕学習の内規を学校の個性化へつなぐ
 今盛んに「学校の個性化・特色化」 をどう作り出すかということが、緊急な課題として各学校に課せられている。 コース制や総合制など、学校の課程そのものが特色を表す学校もあるが、各学校で定めることのできる内規は、学校独自の個性化づくりに役に立つ。
 学習に関して、進級や卒業に必要な必修得教科や科目及び出席数を学校の理念に基づき制定することは、学校の個性作りの一つの方向性である。

【学校内規についての研修ポイント】
(1)学校内規の法的根拠
(2)学校内規を定める手順と運用方法
(3)学習指導要領の学習(卒業単位数、 履修と修得、卒業認定等に関わる出 席数の割合、一単位の学習標準時間
(4)学習指導についての共通理解(赤点、 追試、レポートなどの扱い方)
(5)生徒と保護者へ説明機会の持ち方

  などが考えられる。





                   






      

 11月の研修  「ガイダンス機能を発揮した進路指導を考える」

〔1〕「新進路指導」のスタート
 「進路指導」というと、進学先や就職先についての調査活動であったり、進学や就職の実績を上げるための補習授業的なものであったりすることが多いのではないだろうか。
 このような取り組みは、卒業直後の生徒のダイレクトな希望を実現する上では否定されるものではないが、現在、学校が「社会から要請されている進路指導」の内容とは大きなギャップがあると思う。
 教師である私たちに、今求められている「進路指導」とはどのようなものか。その定義も含めて、勉強し合う姿勢が強く求められている。

〔2〕21世紀に求められる生きる力
 様々な価値観が容易に認められる傾向が強い現代社会は、「思いもよらない多様な場面」に直面させられることが多い。そして、それぞれの場面で「安易な選択」も可能であり、「わがままを通す適応」も可能である。
 しかし、このような選択や適応は、個人の衰退させ、さらに社会集団をも衰退へと導くことは明らかである。
直面する困難な場面において「個人と集団の活動」をより良い方向へと導くには「選択への力」と「適応への力」の育成が特に大切ではないだろうか。
 これからの進路指導においては、個人と集団とが関わる教育活動を通して、このような生きる力を育て、生徒の「人生実現」を支援するためのガイダンス機能を組織的に発揮することが求められている。

〔3〕具体的なガイダンスを導く指針
 全ての学校は、設立以来の様々な実践的取り組みから導き出された「教育方針・方法」を手にしているはずである。それは移り変わる生徒の実状に則しながら、教師・保護者・地域によって作り上げられている。 従って、その中には、教育に対する各校の独自性が盛り込まれている。
 まず、このような各校の教育方法・方針を見つめなおすことが大切である。そこから、学校独自の「ガイダンス機能を発揮した進路指導の方針・方策」や「目標作り」などの手がかりが得られるであろう。

【取り上げるべき主な研修内容】
(1) ガイダンス機能の重要性についての教員の意識作り
(2) 進路指導とガイダンス機能との融合方法の検討
(3) 授業やホームルーム活動など、様々な教育活動の実践と「進路指導」との関わりを分析し、各教育活動に「進路指導のための目標」を定める。
(4) 卒業までを見通した、各学年ごとの進路指導に関わる目標作り




                   










           


 10月の研修 「生徒の学習意欲を引き出す」 

〔1〕学校としての緊急的課題
 学校は、様々な人との出会い、集団活動の体験、授業における学習など、生徒の成長にとって有益な活動の場面を数多く提供している。このような中で、生徒と教師は、授業よる学習活動に多くの時間をあてていることは言うまでもない。
 しかし残念ながら、授業による学習の楽しさが、生徒に十分に浸透しているとは言いがたい。学校が担うべき緊急的な課題として、「学習機能の活性化」を改めて考えてみたい。

〔2〕活動のための共通指針
 一人の教師や、一つの教科による「教科研修」だけで、全校的な学習活動の活性化を実現することは難しい。 そこには、「学校の持つ多様な価値を理解しながら、全校的に進める授業研修」が必要である。
 そして、学校としての具体的な取り組みのために、次のような「共通の指針」を全員で確認しておきたい。
(1)入学した生徒の特徴を理解し、学校への適応を図る。
(2) 学習活動の活性化は、授業研修だけでは達成できない。特別活動等を含めた、生徒の学校生活全体の問題と してとらえる。
(3)三年間後、どのような18歳に育てようと考えているか。学校としての目標を持つ。

〔3〕研修のポイント
(1)「不本意入学生徒」「無気力生徒」 の目を学校へ向かせるための研修
  ○ 学校に対するイメージや高校生活への期待等に関する調査・分析
  ○学校への適応を進める方法
  ○行事やホームルーム運営の活性化
  ○期待する三年後の生徒像
(2)進路学習との連携を進める研修
  ○三年間の進路学習計画
  ○授業と進路学習との連携
(3)授業についての研修
  ○生徒の努力が認められる授業及び評価方法作り
  ○班などの集団を活用した授業作り
  ○成功体験を生かした授業作り
  ○学習の意味を考えさせる方法
(4)定期試験についての研修
  ○試験前の雰囲気作りの方法
  ○試験後のフォローの方法
(5)教育課程ついての研修
  ○学習意欲を引き出すような授業の再編・単位数の組替え

  「学習機能の活性化研修」は、「授 業研修」だけではカバーできない。生徒の学習意欲を引き出すもとは、「学校全体の活性化研修」の中にある。


     

<今月の付録>   
「月刊ホームルーム」には、
「情報ラウンジ」というページがあり、教師にとって便利なグッズや役立つ情報などを紹介しています。今月は「授業改善のために、参考の一冊」というテーマで、カリフォルニア大学バークレー校の実践を記録した本を紹介しました。今月の研修ノートと関連があるため、今月は特別付録として「情報ラウンジ」のページも紹介します。

 情報ラウンジ   「授業改善のために 参考の1冊」 

 今月の「担任の研修ノートF」では、「生徒の学習意欲を引き出す」ための研修が取り上げられている。 この研修のためには、「学校全体の活性化」という大きな視点からのアプローチが必要であるが、その中にはもちろん、授業についての研修も含まれる。
 そこで、ここでは「授業改善のアイディア」と「授業評価」に関する大学の取り組みをまとめた一冊の本を紹介する。「授業の活性化研修」の参考にしてはどうだろうか。
 なお、ここで取り上げられている「アイディアや授業評価の方法」は、大学での授業実践によるものであり、高校や中学校では多少のアレンジが必要なものもある。しかし、「全校的に取り組む授業評価や分析の方法等」については、大学の方が先駆的な面もあり、大変参考になる。

◆インフォメーション
  「授業をどうする!」  カリフォルニア大学バークレー校の 授業改善のためのアイディア集
   ・発行  東海大学出版会     電話 03(5478)0891
   ・定価  1500円+税  

            

 第1部は、カリフォルニア大学バークレー校において、学生から選ばれた優秀な教員39名に、優れた授業を行なう方法についてインタビューした結果をまとめたものである。 「第1章 授業準備のための十の戦略」「第3章 授業の流れと展開」「第5章 自発的に学ばせる方法」「第7章 エキサイティングな授業展開」など、興味ある実践報告である。どこから読んでも役に立つ。
 第2部はMinute Paperという記入用紙(システム)を利用した授業改善の実践例が紹介されている。 これは、授業の最後の一分間で「授業評価及び授業におけるポイントと疑問点」を学生が書きこむものである。Minute Paperは、もともとバークレー校の物理学の教員が実施していたものであるが、紹介を受けた東海大学で、東海大学式Minute Paperとして改善したものを本書では紹介している。具体的な例を用いた分析の方法も非常に役に立つ。


                   









        

 9月の研修  「全教職員による教育力アップのために」 

〔1〕行事を活用して視野を広げる
 文化祭や体育祭などの行事をこれから実施する学校も多いことであろう。
 これらの行事の実施にあたっては、教員も生徒も普段以上に、事務職員・用務職員・警備職員等多くの方のお世話になる。
 このような機会は、生徒にマナーに関する意識を高めさせたり、教員以外の専門職員への理解を深めさせる良いきっかけになる。
 このことについて、ホームルームでどのように対応するか、担任会などで研修を進めておく必要がある。
 一方、教員には「学校の教育力」について考えるきっかけを与える。行事というフィルターを通して見ると、生徒は学校生活の中で様々な職員とよく接していることがわかる。 
  このことは「生徒の成長には、様々な個性(教職員)がバランスよく関わり合うことが大切である」ことを明らかにしている。そして、全教職員がバランス良く生徒と関わり合う「協働体制作り」が「学校の教育力アップ」につながる。
 行事という機会は、「協働」についての理解を深める、絶好のチャンスに成り得る。

〔2〕教員の知らないこと
 文化祭での各クラスの活動内容等について、教員よりも詳しく知っている事務や用務職員の方がいて驚いたという経験を持っている教員も多いのではないだろうか。これは、教員以外の職員の方々が生徒たちとしっかりと接しているから出てくることである。
 同様な例は、他にもたくさんある。美化委員会の生徒やその活動における生徒どうしの関係などは、用務職員の方は詳しいだろう。また、生徒はそこで様々な刺激を受けて成長しているはずである。
 他にも、生徒会の生徒たちは教員以外の職員の方々と接する機会が多く、いろいろな助言を得ているはずである。 このようなことは、生徒を様々な面からサポートし、励ますことにつながっている。協働体制作りの一つとして、教員以外の職員との連携の方法について、研修を深める必要がある。

【研修のポイント】
 (1) 機会の設定
   事務・用務・警備等の方々と教師及 び生徒との交流の場を設定する。
 (2) 共有認識の確認
   「教育方針や生徒との具体的な対応の方法」等について、事務・用務・警備等の方々と話し合い、確認する。
 (3) 生徒へのフィードバック
   励ましの一環として、生徒へのフィ ードバックの方法を考える。



                   








      

 8月の研修 「コンピュータ利用 ステップアップ」 

〔1〕担任も計画研修
 生徒とともに担任も研修計画を立て、満足できる夏にしたい。そこで今回は「コンピュータをもっと有効に使う」ことを研修テーマとして考えてみる。 コンピュータに慣れ、教科指導やホ ームルーム経営に役立てるには、ある程度まとまった時間が必要である。夏休みを有効に活用してみよう。

〔2〕自前講習会(校内研修会)の企画
 最も手軽に研修機会を得る方法は、コンピュータに詳しい教師を講師とした研修会を、学校内で開くことである。講師役の人の日直などに合わせて依頼してみてはどうだろうか。
 この方法の利点は、研修後も各人の予定に合わせて、学校のコンピュータを自由に利用できる点である。研修内容は、参加希望者が身につけたいと考えていることを中心に企画すればよい。次に教科指導やホームルーム活動にすぐに活用できる今日的なテーマをあげておく。

 (1) 授業プリントやホームルーム通信などの作成のために
   →デジタルカメラ等からの画像の取り込みや加工方法
 (2)他校での授業や特別活動及び研究会など情報収集のために
   →Eメールやインターネットの利用方法

〔3〕個人でトライ
 ハード的な設備やインターネット接続業者との契約が整っていれば家庭でも、上のような研修を行うことができる。その際参考になる書籍を一冊あげておく。この本は、インターネットに初めて挑戦する人には大変便利である。
      
    月刊 初歩のパソコン特別号 教師のための初歩のパソコン
   (株)エクシードプレス 1800円 A4版130頁程度
   
  「グー」や「ヤフー」など、代表的な検索エンジン(インターネット内の膨大な情報の中から必要なものを探し出して、表示してくれるシステム)の使い方から始まり、情報の保存の仕方まで、書かれている通りに行えば良い。 また、付録(CD─ROM)として成績処理や出席管理のプログラムがついているため、加工して利用できる。 「教師のため」と表記しているだけあって、一般のコンピュータ関連の書籍よりずっと利用しやすい。

〔4〕インターネット利用上の注意
 インターネットの利用にあたっては
 (1)受信情報の真偽を見極めること
 (2)発信情報について責任を持つこと
 (3)個人情報や著作権へ配慮することなど、最低限のモラルや責任を持たなければならない。


                   


        









       

 7月の研修 「個人を育て、集団を育てる行事の進め方」 

〔1〕行事を活かす
 学校行事には、生徒個人と生徒集団とが相互的に関わり合う機会が豊富に存在し、その過程を通して個人と集団とが一緒になって成長できる。
 行事の持つこのような効力を積極的に活かすための研修に取り組み、生徒の成長を楽しんでみよう。

〔2〕行事を育てる
 行事を設けた当初、行事は全教職員の共通理解のもとで計画されていたであろうが、一般的には、回を重ねるとともに、また教員の異動が進むとともに形骸化する傾向がある。
 しかし長い期間にわたって行事の活用方法を全員で理解し、行事の持つ力を発揮させ、三年間で頼もしく成長した生徒を送り出している学校も多い。
 優れた実践例を参考にしながら、現在行われている行事をどう育てていくかという観点を持って研修を進めることが大切である。

【研修のポイント】
(1)各行事の目的の再確認
(2)行事に関する経験の交流
(3)行事の運営母体(分掌など)と学年との連携
(4)各行事の目標と評価の方法
(5)学年としての集団的取り組み
(6)生徒の成長を評価する方法
(7)ホームルーム指導の方法
(8)担任間の役割り分担や補い合い
(9)教員の個性・特技を活用する方法
(10)学年を超えた生徒どうしの関わり方
(11)生徒会(実行委員会)の指導方法
(12)実施後のまとめの方法
(13)行事の適切な再配置

〔3〕行事におけるホームルーム運営
 行事において、生徒と直接関わる担任の役割りは大きい。担任内で取り組みの意識に大きな差が生じていると、生徒へ多大な影響を及ぼすことになる。
 担任内で、上の「ポイントC・学年としての集団的取り組み」方をまず確認しあう。 そして、行事に関わるホームルーム運営の方法について、各担任が持っている今までの豊富な経験を情報として交換しあう学年会を企画するとよい。

【ホームルーム運営の研修ポイント】
(1)行事に関わる生徒の係決め
(2)係生徒の事前指導の方法
(3)リーダーの育て方(5月号参照)
(4)ホームルーム討議の仕方
(5)ショートホームルームの活用方法
(6)係生徒とホームルーム全員との関わり合い方
(7)行事終了後のまとめの持ち方
(6)他の研修会・実践事例・教育雑誌な どの紹介

 学年会で上のような情報の交換を行 うことによって、安心してホームルーム指導に関われる。このことは、担任内の凝集性を高めることにも通じる。


                   



 


      









    
 

 6月の研修  「保護者との『共育』」  

〔1〕保護者と共に歩む意識づくり
 新しいクラスで、いくつかの行事を経験したこの時期、順調なら生徒の動向は安定期に入るといえるが、逆に、家庭への連絡が増加することもある。
  担任として、また学校として、保護者とどのように連携を進めていくのが良いのであろうか。早い時期に、担任会や全校研修会などを通して、保護者との「共育」の進め方について、共通理解を深めておきたい。

〔2〕学年としての「共育」の進め方
  保護者との「共育」を進めるためには、保護者と学校とが、気軽に相互交流できる「場」の存在が不可欠である。 「交流の場」としての「保護者会」の持ち方などについて、全員の経験を紹介しあいながら研修を進めると良い。

  【研修のポイント】
  (1)保護者会の持ち方の工夫
  (2)保護会の内容や進め方
  (3)保護者と担任の問題意識の相違点(生徒を見る目の違いなど)
  (4)「共育」を進める具体的な方法
  (5)保護者からのリーダー選び
  (6)パイプづくり(ホームルーム・学年・各分掌の通信の発行など)
  (7)保護者への日常的な連絡方法
  (8)学校行事への保護者の参加促進
 
  特に、直接的な交流が可能な保護者会の持ち方については、いろいろな工夫を考える必要がある。以下はその一例である。

  (1)休日での開催
  (2)複数クラスでの合同の開催
  (3)地域別の開催
  (4)生徒を交えた形成
  (5)パネルディスカッション形式
  (6)授業参観形式

 機動力の発揮しやすい学年という集まりは、学校改革の旗手にも成り得る。

〔3〕学校としての「共育」の進め方
 
学校を開放する場を用意することと共に、教師が積極的にPTAなどの交流の場に参加することが求められる。 まず「場」づくりにおいては、今後、 授業・校内行事・クラブ活動などに関わる学校開放の推進が、注目の的になるであろう。どのような方法が最も適しているのか、学校の個性を発揮できる方法を研修会で考えてみてはどうだろうか。
 
また、PTA活動についての理解を深める研修も大切である。PTAは任意性の強い団体ではあるが、「共育」において、大変重要な役割を担っている。ところが、この重要性についての理解が浅い教師が多いのではないだろうか。 保護者と教師が対等に向かい合うP TAの活動を理解し、適切な関わり方についての研修を深め、積極的に参加する時間を作り出したい。


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 5月の研修 「リーダーを育てる」 

〔1〕リーダーがいない?
 
どれくらい前からだろうか。「うちの生徒の中には、リーダーがいないから、ホームルーム活動は無理だよ」というような話をよく聞くようになった。しかし、この言葉は「リーダーとして、活躍した経験をもつ生徒が少ない」と言い直した方が正しいと思う。     

〔2〕
リーダーを育てる研修
 適切な機会さえあればリーダーシップを発揮できる生徒は必ずいる。委員会や係活動など全員が活躍できる機会を設け、隠れている能力を引き出し、支援する力量を身につけよう。そのためには、次にあげる6つの視点を中心に、研修を深めると良いであろう。

【リーダーを育てる研修の視点】

(1) 生徒に良い影響を与える担任・担任団のリーダーシップづくり
(2) リーダーを育てる教師の意識づくり・教師のネットワークづくり
(3) 生徒がリーダーとして活躍できる場 (係・委員会)づくり
(4) どのようなリーダーにも共通する活動原理づくり
(5) リーダーを支える雰囲気づくり・サ ブリーダーづくり
(6) リーダー生徒と、それを支える教師との関係づくり

〔3〕研修で獲得すべき3大要素
 上の(1)〜(6)の中で、特に大切な項目を3つあげる。
 1番目は、「(4)どのようなリーダーにも共通する活動原理づくり」である。リーダー経験のない生徒は、事の進め方を知らない場合が多い。そこで、どのようなリーダーにも共通な活動原理を明らかにし、その原理にそって、安心して生徒が活躍できるように、支援することが大切である。具体的には、担任学研究会で提唱している「働きかけ五原則」、つまり、「個を大切にする意識の共有目標の共有情報の共有責任の共有時間の共有」という原則を活用するとよい。
 2番目は、「(5)リーダーを支える雰囲気づくり・サブリーダーづくり」である。リーダー生徒が、失敗を恐れずに活躍できるためには、全員によるフォロアーシップが大切である。そのためには、リーダーとホームルーム成員の間に入って緊張を和らげ、また、リーダーに対しても発言ができる、サブリーダーの発見と育成について、特に心がけたい。
 3番目は、「(6)リーダー生徒と、それを支える教師との関係づくり」である。生徒を励まし、あわてずに優しく見守ることの大切さを修得したい。
 以上のような視点を意識し、まず学年団で研修を進め、ホームルームリーダーづくり、学年リーダーづくり、生徒会リーダーづくりと、少しずつ輪を広げてみてはどうだろうか。

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 4月の研修 「予防的危機管理」 

〔1〕担任にとっての危機管理とは
  新しいホームルームがスタートするとき、担任は楽しみと同時に、独特の緊張感を覚えるものである。 この緊張は、無事に生徒たちを進級や卒業へと導く大役に対する責任と、これから出会ういくつかの困難に対する不安からわき出るものであろう。
  ところで、生徒にとっては、不安感と緊張を抱えたままの担任より、指導への見通しと、そこから生ま れる余裕を持っている担任の方が、はるかに頼れる存在である。 そこで、このような担任であるためには、個々の問題への対応能力以上に、困難な状況を作り出さな いための、予防的な危機管理研修を通して、予防的な実践力をつけることが求められる。

〔2〕3年間を見通す
  これから直面する困難は、生徒の生活や成長の時間経過を追うことで、予測できるものが多い。 例えば、5月の連休明けの頃から、増え始める遅刻や不登校、体育祭など行事に関わって増え始め る生徒同士のトラブル、中間考査の頃から始まる学習からの逃避などである。
 このような問題発生を未然に防ぐための危機管理研修においては、次のような内容が修得すべきポイントとして考えられる。

(1)生徒の生活の仕方と発達段階(学年)に応じて発生する、頻度の高いトラブルの内容と発生の時期につおいて
(2)トラブルの発生を未然に防ぐための指導方法や内容の検討及び指導の開始時期について
(3)生徒から投げかけられるサインの読み取り方について

  この研修の成果によって発揮される日々の指導実践は、トラブルの発生に追われる指導に比べて、 意欲が湧くものになるであろう。

〔3〕協働体制づくり
  多くの教師にみられる「抱え込み」の意識は、思い違いの意識であることに気づきたい。生徒一人 ひとりの成長は、担任一人ではなく、教師の集団で担うものである。
  つまり、「担任にとっての予防的危機管理の研修」を、「学校にとっての・・・」としてとらえ直し、全ての教師が、自己の役割を果たす協働体制を確立することが、研修の成果をより高めることになる。             

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