出力1KW免許取得

 1981年(昭和56年)に開局以来、20年を経過したのをきっかけに、いままでの出力200Wから、1KWへの変更検査をうけ免許を取得しました。
 検査は、最近始まった業者検査で受けた結果、申請から約2ヶ月で許可になりました。
 これから、免許の取得を考えておられる方のために、失敗したこと、苦労したことなど中心に、経過を記しました。(無線装置の結線図


1. 変更申請書の提出


(1).変更申請書の様式
  o 変更申請書は、
   ・ アマチュア局の無線設備等の変更申請(届)書
   ・ 無線局事項書及び工事設計書
   ・ 上記の添付図面(系統図)
   が必要であるが、作成方法は、従来の手書きによる方法の他、FDによる方法がある。
  o 最初FDでやろうと思い、インターネットの「電波利用のホームページ」からプログラムをダ 
   ウロードして、入力してみたが、印刷結果が分かりにくく、自分でも見やすい従来方式と
   した。
  o この従来方式の申請書(無線局事項書及び工事設計書)も、「電波利用のホームページ」
   にワードと一太郎の両方とも様式が登録されており、ダウンロードして使用した。
  o 最初にワードで記入してみたが、罫線がずれてどうもうまくいかないので、一太郎に変更し
   て記入したところうまくいった。
  o 工事設計書は、所定の欄の中に記入できないため、隣の欄の罫線を削除し、はみだして
   記載した。
    なお、変更申請(届)書は、手書きで作成した。
    (JARLのアマチュア局変更用紙一式を購入して使用)

(2).申請書記載内容
  o 今回の申請は、HF帯オ―ルバンドを1KW、50Mhzを500Wで予定しており、リニアアン
   プは、エキサイターがアイコムの「IC775DXU/200」(HF)と「IC736」(50Mhz)であり、
   同じアイコムのの「PW−1」に決めた。
  o 「PW−1」の説明書には、送信機の記載方法が記入されておらず、アイコムに問い合わせ
   した結果、第2送信機として申請する旨の回答があった。
   (第1送信機は、IC775でリニアアンプを増設する方法)
    また、終段管は、MRF150MP×8、電圧45Vとのことであった。
  o 私の場合は、50Mhzを申請する関係で、第1送信機をIC775、第2送信機を50Mhz用
   のIC736、第3送信機をPW−1とした。(これは後で述べるとおり誤りであった)
  o モードは、A1,A3,A3J、F3のほか、パケット通信装置、RTTY装置、SSTV装置を付加
   するため、F1,F2,F5を追加した。
  o 添付図面は、第1送信機と第2送信機の切り替え、リニアアンプのスルーが可能なように
   系統図をワードで作成した。
  o また、パケット通信装置、RTTY装置、SSTV装置を付加するための系統図と付加装置の
   仕様を記載した図面をワードで作成した。
  o もう一つ、リニァアンプの説明書についていたブロックダイヤグラムをコピーして、系統図として
   添付した。


リニアアンプIC−PW1(HF1KW、50MHz500W)
入力2回路、出力4回路、アンテナチュナー付きを使用

 

2. 無線局変更許可と事前点検

(1). 無線局変更許可
  o 1月20日には、もう無線局変更許可が届いた。(大型封筒で返信用封筒も返送されたので
   もしかしたら返信用封筒は不要かも)
    これによると、受付は、1月12日、許可は1月17日となっており、非常に早く感じた。
  o このほかの、書類として、
   ・ 事前点検表の提出について
   ・ 認定点検事業者制度のご案内
   が添付されていた。
  o 認定点検事業者制度については、従来のいわゆる官庁検査と点検業者検査の選択がで
   きることになり、この案内文と49社の事業者リストががついていた。
  o 業者検査と官庁検査との違いは、業者検査は検査までの期間が短いこと、休日に検査が
   受けられることなどのメリットと、3万円程度(業者が決めた価格)の費用がかかることのデメ
   リットがあり、検査内容は、業者検査がシビアで細かいといわれている。
   (通信局の検査の場合15400円、業者検査の場合の事務手数料2450円)
  o 私の場合は、会社勤めをしていること、できるだけ早く検査を受けたいこと、経済的に余裕
   があることなどから業者検査を選択した。(業者をほぼ決めていた)
  o さっそく業者に連絡したところ、変更許可の内容(ファツクスで送付)、通信局の担当の名  
   前などを聞かれ、事前点検表の作成し、その後検査となるとのことであった。

(2).事前点検表の作成
  o 「事前点検表の提出について」の文書には、調査の範囲、調査を方法と次の書類が添付さ  
   れていた。
    ・ アマチュア局検査事前点検表No.1
      (アマチュア局の設置場所等検査職員が訪問するのに適する交通機関及び付近略図)
    ・ アマチュア局検査事前点検表No.2
      (通信機試験成績表)
    ・ アマチュア局検査事前点検表No.3
      (電波障害調査結果)
    ・ 電波障害調査のお願い
  o この中では、電波障害調査が課題で、調査の範囲等の指示はなく、業者に確認したとこ
   ろ、自宅周辺に隣接した家を含めて、調査対象を選択するようにとのことで、私の場合は隣
   接した8軒を選択した。
  o 調査対象には、事前に「電波障害調査のお願い」を配布したうえで試験電波を発射し、支障
   なしの場合に、(障害があれば対策後となる)電波障害調査結果に印をいただいた。

(3).電波防護指針に基づく自己点検
  o 1999年10月1日から電波法施行規則が改定され、自己点検が義務づけられ、業者に確
   認したところ、計算結果を検査時に確認するとのことで、これが守れない場合は、アンテナな 
   ど設備の変更や場合によっては出力の低減が必要になるとのことであった。
   (JARLのホームページよりダウンロード)
  o 自己点検の内容は、次の通りである。
   ・ 「半波長ダイポール」、「単一型・垂直型」、「ビーム型」、「その他」のアンテナごとに最も近
    い隣家への電界強度を計算し、基準値を下回ることを確認するものである。
   ・ 電波の型式により平均電力率が定められており、電信 0.5、SSB電話 0.16、
   FM電話、RTTY、SSTV 1.0で、私の場合最も厳しい、1.0となりる。
  o 幸い隣家との距離が、最低でも13Mあり、基準値の低いハイバンドは、ビームアンテナを
   使用しておりアンテナも高いためクリアできた。
   (ハイバンドでは、垂直系アンテナの高出力はクリアできない、最大200W)


3. 電波障害調査と対策

(1). 使用アンテナ(タワー3基使用)

周波数

名   称

地 上 高

型   名   等

1.9M

短縮 逆V

15MH

自作

3.5M

1/2  逆V

15MH

自作

3.8M

スローパー

22MH

自作

7M

短縮 八木

17MH

AFA40   2ele モノバンド

10M

1/2  ダイポール

15MH

自作

14M

八木

23MH

CL20DX  5ele モノバンド

18M

短縮 八木

13MH

248A    3ele デュアルバンド

21M

八木

17MH

CL15    5ele モノバンド

24M

短縮 八木

13MH

248A    4ele デュアルバンド

28M

八木

15MH

CL10DX  6ele モノバンド

50M

八木

25MH

CL6DXZ  8ele モノバンド

  o アンテナは、次の3系列とし、LPF、CMFを直列に設置した。
   ・ No.1 ――― 14,21,28,18/24M
   ・ No.2 ――― 1.9/3.5、3.8、7,10M
   ・ No.3 ――― 50M 

(2). 自宅
  o 調査の前に、試験電波発射届けを郵送したうえで、自宅の調査から始めた。

障害内容

障  害  対  策

o 1.9/3.5M 玄関のチャイムが鳴る。
・ 私の家は、母屋と離れの2軒となっており、電話がNTTのホームテレホンで結ばれているが、高出力時に玄関のチャイムが鳴つてしまう。

・ 対策として、チャイムの回路にコモンフイルターを自作して取り付けたが止まらない。
・ 市販の電話用フィルター(ホームテレホン6芯用)を取り付 けたが効果がない。
・ チャイムの回路のコモンフイルターを3個に増やし、0.1 マイクロのコンデンサを入れたら止まった。

o 21,18/24M テレビ画面が揺れる。

 (各種フィルター写真・解説

・ ビデオの入力に、挟み込み式のフィルターを取り付けした ら、少し緩和された。
・ アンテナ直下に、市販のハイパスフィルターを取り付けたが、ほとんど効果が見られなかった。
・ ビデオの入力に、挟み込み式のフィルターを取り付けした ら、少し緩和された。
・ アンテナ直下に、市販のハイパスフィルターを取り付けたが、ほとんど効果が見られなかった。
・ アンテナ切替器を接地したところ、21Mは効果があったが、18/24Mはかなり低減したものの障害は残った。
・ リニアの電源のコモンフィルターのフェライト鉄心を大きなもの(直径5cmを2個)に取替えたら、18/24Mでほぼ止まったがまだ少しでている。(リニアは200V15A程度で容量不足であった)
・ LPFをよく調べてみたら、PEPが1KW、CWは500Wで、これでは容量不足であることに気がつき、大容量のものと交換したが効果が見られない。(シャックのテレビであり、あきらめた)
・ このほか、テレビの回路にコモンフィルターを自作して取り付けたが,効果が無く逆に映像が悪化した。
・ テレビの回路の外皮を接地してみたが、効果がなかった。

o 電話に、音声、CWのクリック音が入る。

・ 挟み込み式のフィルターを、取り付けしたが止まらず。
・ コモンフィルターを、自作して取り付けたら止まった。

(3). 近所
  o 我が家を取り巻く8軒を対象として、調査を実施することとした。
  o 通信局の資料に土曜日2回、日曜日2回の試験電波発射日時を記載して配布し、予定の
   時間にCWで、各バンドを2−3分ずつ割り当て試験電波を発射した。
  o 1週間後回収し、障害がある3軒については、別途障害調査を実施する旨伝え、障害のな
   い5軒から印を頂くと共に、障害が出たら遠慮なく申し出ていただくように申し添えた。
    このとき、、全戸にご迷惑のお詫びとして、菓子折りを配布した。
  o 障害調査は、1級アマチュア無線技士の資格を持つ友人に協力をお願いした。

障害内容

障  害  対  策

o 1軒目 パルスノイズ

・ TVアンテナの方向がずれていたためまず直したうえ、試験電波を発射し、少しパルスノイズが発生したため、挟み込みフィルター5個を挿入し、念のためビデオのコードにも同じものを3個挿入したら止まった。
・ 原因不明のパルスノイズが発生していたが、アマチュア無線と無関係であると説明し、了解を得て印を頂いた。

o 2軒目 パルスノイズ

・ TVの接続部分不完全であり改修し、試験電波を発射したが障害は発生しなかった。
・ 上記と同様に原因不明のパルスノイズが発生しており、同様に説明し、了解を得て印を頂いた。
・ 念のため、挟み込みフィルター5個を挿入しておいた。

o 2軒目 パルスノイズ

・ TV線の途中で接続が露出しており、これを改修し、試験電波を発射したが、障害は発生しなかった。
・ 上記と同様に原因不明のパルスノイズが発生しており、同様に説明し、了解を得て印を頂いた。

o パルスノイズの発生原因は不明であるが、配電線の可能性があり、東電に連絡し、調査
 中である。


4. 変更検査

(1).検査日の調整
  o 認定点検事業者制度の業者に連絡し、2/17・18の土日を希望したが、予定があるとの
   ことで、やむを得ず2/19の月曜日に休暇を取って受けることとした。
  o 所要時間は、2−3時間とのことで、午前9時からに決まった。

(2).検査の概要
  a 書類の審査
   o 検査の開始の宣言の後、関係書類の審査が行われた。

項  目

審   査   内   容

無線従事者免許証

資格、免許証番号の確認を受けた。

無線検査簿

新規購入した検査簿を提示し確認を受けた。

電波法

新規購入した12年6月1日付けの抄令集を提示し確認を受けた。

変更申請書(写)
変更許可書

申請内容の確認を受けた。

時計

電波時計を提示し確認を受けた。

事前点検表

・特に電波障害調査結果について、試験電波の発射状況、電波障害の発生状況、対策の実施状況について書類を確認し、今後電波障害が発生した場合の対応について質問があった。
・これについては、近所と親密な関係にあり、問題があればすぐに申し出ていただけるようにお願いしてある旨を回答した。

電波防護指針に基づく自己点検

準備してあったが、変更検査は不要とのことであった。
(新設は、対象となるとのこと、対象でなくてもチェツクしておく必要がある)

  b アンテナの調査
   o 申請書に記載された、アンテナの型式について、現場にあるかどうか確認を受けた。
  c 機器の調査・測定
   o 送信機、リニアアンプを申請内容と照合確認後(技適番号)、終端型電力計を接続し、
    各バンドA3モードで、電圧、電流電力の測定を実施した。
     測定結果は、HFが900−1100W、50MHz600Wであったが、測定誤差もあり、
    20%以内なら良いとのことであった。(当然モードによって出力が異なる)
   o 大型のアナライザーで、周波数の測定確認が行われた。
   o 付属装置のパケット通信装置、RTTY装置、SSTV装置について、確認を受けた。
  d 試験運用
   o SSBでの交信を指示されたので、7MHzを使用し福島県の移動局と、出力1KWでレポ
    ート交換を行った。

 (3).工事落成届けの提出
  o 検査結果の提示を受けて、工事落成届けを提出するつもりであったが、業者の方で検査 
   結果を整理し、まとめて提出するとのことで、業者の用意した委任状の提出を提出した。


5.変更許可・感想

 o 申請から約2ヶ月後の3月13日付けで、許可証が届き晴れて出力1KWの運用が可能と
  なった。
   業種検査制度の導入により,許可までの期間がかなり短縮されたと感じている。

 免許を受けての感想
 o 今回の変更許可においての感想は、次の通りです。
  ・ 電波障害対策は、発生源の考えられる対策をすべて実施し、まずきれいな電波を出すこと
   が大切である。(LPF+CMFは絶対に必要)
  ・ 電波障害が発生する場合は、出力を低減することを含め、徹底した対策を実施すること。
   (変更申請の修正は,何回でも受け付けてもらえるとのこと)
  ・ 近所とのコミニュケーションを良くし、問題があったらすぐに連絡がくるようにすること。
  ・ 業者検査は,提出書類が決められており,検査内容が細かいが,許可までの期間がかな
   り短縮となる。