入山二日目、塩川から三伏峠への稜線を登る。中腹辺りまでは比較的快調に進むものの、次第に雪は深まり、天候の悪化、疲労の蓄積も相俟って、歩みは益々遅くなっていく。予定より数時間遅れ、午後三時頃、峠に到着。小屋はほぼ雪に覆われた状態で壁の一部がかろうじて露出している程度。降雪の中、テントを設営、氷を落とし、休息する。翌朝、既に天候は回復していた。薄く空にたなびく雲の向こうを、朝日が登って行く。

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