[ネタバレあり]
甘さの残るのは『亡国のイージス』と同じだが、やや緩和されたかと思える。
文体は相変わらずのくどさだが、ストーリーがストレートで簡潔な分読みやすい。
なぜ、保は、葵が乗ってない漁船を守るため命を捨てたのか。
気に入らない部分はいろいろあるのだが、やはりこの作品は面白い。
葵の父親がフロッピーと共に残した1行のメッセージに思わず涙がこぼれそうになった。
本を読んでの久しぶりのことである。
この作者はどうしても高村薫と比べてしまう。
意味の無い比較をする私がアホなのだが、高村ほどのものを持ちえない代わりに、高村が無くした物をもってはいないだろうか。
興奮と、哀感を与えてくれた、エンターティメントはかくあるべし。
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