藤木稟と言えば『陀吉尼の紡ぐ糸』で鮮烈なデビューを果たし, 京極さんと同じような世界を描く作家. この作品も舞台を現代ではなく明治に設定し, どちらかというと暗い世界を描き出している. 鬼による神隠し, そして白骨死体と村人は暗い. しかし, 対照的に立花は逆に明るい. なぜなら, 監査役は別に見てるだけでいい. にも関わらず料理は豪華. 酒も飲める. 誰だって明るくもなろうというもの. 監査役という立場を謳歌する立花の楽しげな様子. だがそれだけに鬼という存在が極立っている. そして, 立花にも起こる怪異. 自分が鬼かもしれないと思う立花の思いはどういうものだったのだろう. まさか, 自分が子供を殺し食べたのか?気も狂いそうな恐怖だろう. 恐い.
この作品は中編という長さを見事に使い切った傑作. 人物がきちっと描かれており, 立花に感情移入してしまうと最後で唖然とさせられる. 驚きの結末.
ており, 立花に感情移入してしまうと最後で唖然とさせられる. 驚きの結末.
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