その5 簡単な営業規則のおはなし・・・


 駅のおしごと関係のお話を連発したところで、そろそろ、簡単な営業規則のおはなしをしようと思います。

 鉄道屋は、基本的に「営業規則」や、「運転規則」に縛られておしごとしております。

 その規則に準じておしごとしていれば、何かあった際、その係員の立場と安全が保障されるのです。

 まぁ、道路交通なんかも同じ理屈なんですが、結局、自動車なんかも運転者がするべき主張をしないから、何かあった際、運転者が損するわけですが・・・

 一応、まず、乗る方のヒトの見地でみた、規則関係をさらっと・・・

 まず、乗車券。

 乗車券一つとっても、結構いろんなのがありまして、いわゆる一般的なのから・・・

普通乗車券:いわゆる、キップです。民鉄の場合、ほぼ券売機で買えます。6歳から12歳まではこども運賃で、いわゆる半額です、但し、10円単位で計算するのですが、端数が出てしまう、10の位の奇数、JRの場合は、切り捨て、民鉄の大半の場合は切り上げのスタイルになります。

回数乗車券:まぁ、見たまんま回数券です。区間限定で、11枚つづりで10枚分の運賃です。有効期限は、民鉄は2ヶ月なのがポピュラーか?・・・JRは3ヶ月でした。券面の区間を乗車する分には問題ないのですが、その区間外を乗車する際、乗り越し精算が「打ち切り計算」になり、完全に損になります。実際、この手のトラブルも私がいた駅ではたまにありました。と言うわけで、乗り越し前提の場合は、回数券を使わずに、別に普通乗車券を買いましょう

 また、この回数券、その昔、長い短冊みたいなスタイルで、一番上の所に有効期限のスタンプが押してあった関係で、切り離し無効でしたが、最近は、券売機なんかでも発行でき、短冊スタイルのも、全券面にスタンプを押すなどの対策で、切り離しOKになっております。

定期乗車券:いわゆる定期券です。運賃の形態はキップや回数券とは根本的に違います。キップモノは、最初の3キロが○○、それから5キロまでが○○・・・と、結構アバウトな距離計算なのですが、定期の場合は、1キロ単位で細かく計算してあります。また、実質的な割引率も、往復切符を30回使った金額から計算すると、通勤定期で半額近くになると思います(○浜○行の例)。

 通学定期に至っては、民鉄の場合、だいたいそうかと思いますが、2割くらいの運賃になります、だから、不正乗車はすんなよ!!>学生諸君

団体乗車券:25人以上になると申し込めます(会社によって変わると思いますが・・・)。一般の団体ですと、普通運賃の2〜3割引、学生の団体だと、5割引(こどもは、小児運賃の3割引)になると思いました。

 また、学生団体の場合は、人数により、引率の方が無賃(タダ)になる特典もあるようです。

 但し、前もって申し込みしてもらうシステムになってまして、いきなり・・・というのは少々きついと思います。

 ○浜○行の場合、電車の容量の問題もあり、大体、ご乗車いただく列車を指定する感じになります。

 そうしないと、団体が3つくらいバッティングしたとき、パニっちゃうもので・・・

 乗車変更・・・

 原則として1回できます。

 同種類(要は普通の切符から別の区間の普通の切符・・・って感じです)の乗車券なら変更できるようです。

 あとは、区間変更も基本的にできます

 たとえば、逗子から品川までの○浜○行の乗車券があって、やっぱり、横浜からJRで行くわ・・・と言うとき、横浜の駅でその申請をすると、区間変更の取扱をしてくれます。そういった変更はできますので、遠慮なく係員に申し出て下さい。

 また、券面の区間の途中からも乗車できます。たとえば、横浜から横須賀中央までの乗車券を持っていたら、日ノ出町から乗ってもOKなのです(日ノ出町は横浜と横須賀中央の間になります)。途中から乗ることにより、差額が生じても、現状は払い戻しの対象になりません。また、近距離の区間ですと、途中下車はその先を放棄させられますが、「鉄道営業法」が今度改正になれば、うまくいくと、差額を払い戻してくれるようになるかもしれません。

 なお、回数券・定期乗車券での乗車変更はダメですので・・・

イカサマ・・・

 いわゆる不正乗車です、規則書では、その該当区間の普通運賃とその2倍の「増運賃」を収受する・・・ってなっております。

 まぁ、不正乗車一つとっても、結構いろんなのがあります。

無札:要は、キップを買わないで乗車した・・・というスタイルのモノですが、本当にそのスタイルの場合、大体、降りる駅でお金払ってくれるので不正になることはほぼありません。規則書上のモノの場合が普通です。

無断区間外乗車:定期乗車券に多いのですが、券面の区間外をちゃっかり通るってヤツです。ネタにも書きましたが、大体は、いかにもイカサマやってます・・って感じで通るので、駅員さんには筒抜けだったりすることが多いです。ちなみに、コレで発見されると、増運賃ツキでお金を取られた挙げ句、不正の手段に使った乗車券は「無効として回収する」事になっております。

 3ヶ月とか期限の残った様な定期券ではそんなアホなマネはしないように・・・って、今、自動改札だからこんなんできませんけどね・・・

中間無札:いわゆるキセルってやつです。一番ポピュラーなのは、逗子〜横浜の定期を持っているヒトが、東京から帰るのに、初乗り運賃の切符を買って、逗子では定期で降りる・・・と言うヤツ。

 最近は、自動改札が「入場チェック」なんて機能を使うようになったため、コレもできなくなってるのですが、つい最近まで、「普通でしょ」とも言えるイカサマでした。正直、この程度は常連さん割引でしょ・・・って思う部分もあるんですが・・・

 悪質なのは、定期の中間無札・・・

 逗子〜東京まで通ってる人が、逗子〜大船と、品川〜東京の定期を買うと、まともに買うより安く上がったりして・・・途中で下車することもないし・・・なんて向きだとこういうイカサマもなさるようです。

 発見された場合、定期同士ですと、新しい方の通用開始日からの計算になりますから、金額もでかくなります・・・

期限経過:定期券の期限を過ぎているのにちゃっかり乗っちゃうイカサマ、コレも、大体期限の所をわざわざ隠して通ってくれるモノだから駅員には、あらまし筒抜けなのですが、コレの場合、期限の切れた日を起算日にして、経過した日数の往復の運賃+2倍の増運賃を収受と言うことになっております。

 要は、日数分の往復の3倍取られるって事ですね。

 一般的には、切れた翌日とか2〜3日くらいだと、大体悪意がないので、切れた定期は回収しますが、片道普通運賃をいただく・・・ってのが普通だと思います。

改ざん:最も悪質といえる、乗車券の改ざん・・・

 コレも定期同士の中間無札と同様、その定期乗車券の通用開始日からの計算になります。 有効期限の書き直しなんかが多かったのですが、古い定期をそのまま書き直したりすると、3年モノとかになるれば、収受額も何百万コースになります。

 実際、私が発見したのは、安い方ですが、収受額は30万円ほどになりました。

 改ざんに関しては、自動改札の駅では、磁気情報になりますので、券面の改ざんはしても意味ない時代になりましたので、磁気情報関係に詳しいヒトじゃないとできない時代になりましたね・・・

 あと、回数券の二重使用とかあったのですが、コレも自動改札の時代、まずできなくなりました。

 乗車券類の払い戻しに関しては、ぽっぽやさんのホームページに入ってますので、ココではリンクのみにしようと思います。