□ □ □ □ □ □
「社会とつながる」
世の中に、さまざまな活動をしている団体やグループは数多くある。 けれども、活動の内容を広く公開したり、外部の人々と交流したりするようなチャンスは、意外と多くないかもしれない。 セミナーハウスと呼ばれる施設には、多様なグループの人々が訪れる。 そこに数日間滞在するにもかかわらず、どんな活動が展開されるのか、周辺に住む人々が知ることはほとんどない。 また施設の利用者にとっても外部の人とかかわりをもつことはまずない。 短期間とはいえ同じ地域で生活するにもかかわらず、何ら接点がないのは、なんともさみしい。 そこで、利用者とその周囲に住む人々との間に新しいつながりを生み出すようなセミナーハウスを考える。 |
![]() |
■ □ □ □ □ □ □
「どんな場所に建てるか」
![]() |
このセミナーハウスは、京都市北東部にある住宅地の一角に計画される。 敷地は南北に長い長方形で、東から西へ緩やかに傾斜している。 敷地の西側には住宅が広がり、反対の東側は、幹線道路を介して斜面が立ち上がっている。 斜面には大学施設が建ち、道路沿いには商業施設が並んでいる。 すなわちこの敷地は、西側の、この地域に生活する人々と、東側の、この地域へ通勤通学、あるいは買物のためにやってくる人々の両方が交わる場所であり、セミナーハウスは、どちらからもアプローチできる施設であるべきである。 |
■ ■ □ □ □ □ □
「セミナーハウス:室内管弦楽のための練習場」
このセミナーハウスは、アマチュア演奏家のための練習施設とする。 対象は、室内管弦楽である。 オーケストラは、演奏会の開催によって活動の成果を発表し、聴衆との交流をはかっている。 練習の様子を公開することで、周囲の人々とのあたらしいつながりを持つことができるのではないだろうか。 |
■ ■ ■ □ □ □ □
「練習風景を公開する」
![]() |
![]() ![]() |
練習室はいずれも大開口をもつ。 大練習室と中練習室はセミナーハウスから飛び出すような位置に配置し、敷地に対して広く開口部を向ける。 また、小練習室はセミナーハウスから独立して、敷地内に分散して配置される。四方全周をガラス張りとして、閉鎖性を排除する。 |
■ ■ ■ ■ □ □ □
「人々を招き入れる」
セミナーハウスは敷地のほぼ中央に配置する。 それを囲むように、緩やかなカーブを描く2本のブリッジが設けられる。 さらに2本のブリッジの間は、敷地を南北に貫くモールとなり、周囲の人々を招き入れる。 敷地東側の幹線道路からは、敷地中央でブリッジと、また東北・東南角は円弧を描く斜面からモールにアプローチすることができる。 閉鎖的な敷地とせずに広く開放することで、周囲の人々が日常的に集まったり、通り抜けたりすることができるような空間をめざす。 |
■ ■ ■ ■ ■ □ □
「ギャラリー:練習風景を眺める」
緩やかなカーブを描く2本のブリッジは、空中で4本のギャラリーによって結ばれる。 ガラス張りのギャラリー内に展示作品はない。 敷地を訪れる人々は、モールやブリッジ、そしてギャラリーを歩きながら、練習にいそしむ演奏者たちの姿を見ることができる。 地域の人々にとってブラックボックスだった内部の様子が分かるようになるばかりでなく、 |
■ ■ ■ ■ ■ ■ □
「集まって過ごす」
![]() ![]() ![]() |
敷地の中央、大練習室と中練習室に挟まれるように、レストランを設ける。 施設を利用する演奏者用に限定せず、施設を訪れるすべての人々が利用できるレストランである。 テイクアウトをして外へ持ち出し、ブリッジやモール、を歩きながら、あるいは大階段に腰を下ろして食事を楽しむこともできる。 |
レストランで演奏者と地域の人々とが一緒に食事をしたり、テイクアウトをして屋外で食事をしながら練習の様子を眺めたりすることで、セミナーハウス内外の人々との間に、新しい接点が生まれる。 |
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「セミナーハウスに泊まる」
セミナーハウスは、練習室とレストランのほかに、宿泊室を備える。 宿泊室は全30室であり、室内管弦楽団の規模に対応する。いずれもシングルルームとして、宿泊者同士のプライバシーを考慮した構成とする。 宿泊室は南北に2棟に別れており、その間はには中庭を設けて居住環境に配慮している。オープンな空間をめざす敷地にあって、外部に対する宿泊者のプライバシーを考慮し、宿泊者は中庭で自由に過ごすことができる。 |
|