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> ソーラーライト奮闘記■ソーラーライト奮闘記 (3/3)
(14)消費生活センターから回答質問状を発送して10日ほど過ぎたころ、消費生活センターから、「貴殿からの質問を受理し、検討した結果、回答の要旨ができましたので、よろしければ御来課の上、説明させていただきたい」と連絡がありました。連絡をしてきた担当者の名前が、これまでの (若い女性の)担当者とは違っていました。私が質問状などを送りつけたものだから、担当者が変わったのでしょう。 質問状を送ってから10日しか経過していないうえに、口頭で回答するというのですから、中身はあまり期待できません。おそらく商品テストに関する質問に対しては、まともな回答はないだろうと予想されました。しかしここで争っても意味がないので、とりあえず数日後に消費生活センターに行くことにしました。 (15)消費生活センターの回答連絡があってからさらに10日ほどして、消費生活センターに行きました。出てきた担当者は、 最初に応対した若い女性職員ではなく、中年の男性職員でした。この職員は、たいへん温和な態度で私の話を真摯に聞く姿勢を示してくれたので、好感がもてました。また商品表示の担当者という若い男性職員も同席しました。 この職員は法律知識に明るく、信頼して話しあいをすることができました。 しかし消費生活センターとしての「回答」は、予想した通り、あまり中身のないものでした。私なりに要約すると次の通りになります。
私は、担当者が変わったこともあって、事の経緯を最初から説明し、わざわざ消費生活センターに足を運んだ最大の理由が、商品の交換や返金よりも、販売元業者の行動倫理を正したい点にあることを丁寧に説明しました。要するに、 ◎この商品は、潜在的に多くの消費者の期待を裏切っていると思われるにも関わらず、消費生活センターに相談が持ち込まれていない。それは、この商品が1個500円と安いために、消費生活センターに相談するなどという行動を起こすのが面倒で、いわば「泣き寝入り」している消費者が多いから である。逆に言えば、販売業者はそこにつけこんで、薄利多売で利益を上げている。販売業者のこのような「儲け主義」の態度に対して、私は問題を感じている。 ◎質問10にあるように、販売元業者は「1時間の充電で1時間LEDを点灯させることが可能で、約300回(もしくは約1年間)の満充電が可能」と言っているが、それが本当かどうか、第三者的立場から審査してもらいたくて商品テストの実施を要求した。にもかかわらず、私の意図をまったく理解せず、まるで小学生の自由研究のような結果を返してくるとは 残念である。再度、きちんとテストをやってほしい。 ということを繰り返し説明・要請したのです。
するとその時やっと、その中年男性の担当職員は、国民生活センターの商品テストに対して12項目の質問を並べた意図を含めて、私 がこの問題に対してもつ考え方の全てを理解してくれたのでした。そして彼は、「それならば、商品テストを再度行うよりも、むしろ私の気持ちを、改めて業者に伝えて改善を要望することにさせてもらえないか」と提案してきました。 その職員が言うには、今回のトラブルは死傷事故が発生したケースではないし、全国の消費生活センターに他に類似商品に対するクレームが寄せられていないという事情があるので、県消費生活センターとしては、私からの今回のクレーム1件だけで、直ちに注意喚起情報を発するとか、販売元業者を指導するなどの公的な(法的な)対応はとれない 。しかし他方、インターネット上で複数のクレームが確認できるのは事実だし、消費者である私の言い分は正しいので、それらのことを販売元業者に伝えて、その考えを聞くということはできる。その経過の中で事実上、消費生活センターが改善に向けて努力するよう要望したい、というわけです。
これを聞いて私は、はじめ少し不安を感じました。「それでは販売業者が聞き流すだけで終わってしまうのではないか」と。しかし、その職員と話し合いをするうちに、一か八かこの職員を信頼して、後事を任せてみようという気持ちになっていきました。そして、@期待を裏切るような商品表示をしないこと、Aきちんとした構造にすること、の2点をしっかり伝えて欲しいと言い残して、消費生活センターを後にしました。担当職員は、「私の代理人にはなれないが、誠心誠意、私の立場で話をする」と約束してくれました。
その後、念のため、私から担当職員に次のような文面のFAXを入れて、販売元業者への要望事項について確認しました。
(16)消費生活センターから業者へ文書で要請担当職員の話によると、その後、消費生活センターから、販売元業者に向けて、次のような内容の公文書が送付されたそうです。
この文書そのものは内容簡便なものですが、担当職員の話では、口頭で私の気持ち(上記FAXの文面など)を伝えておいた、ということでした。 (17)業者から「今後は取り扱わない」と連絡。実質的な勝利解決!消費生活センターが販売元業者に公文書を送付してから、1ヶ月以上が経過した2011年夏、消費生活センターからFAXで連絡がありました。
確かに、商品表示や内部構造の改善に対する回答にはなっていません。しかし「廃番商品とし会社として取り扱わないこととした」という回答は、それ以上の重みがあります。もちろんそれは、「商品の在庫がなくなるのを機会に」という消極的な態度かも知れません。でも、いずれにしても、「企業として一定の誠意をみせた」ことは間違いありません。
私は、実質的に勝利解決と考えてよいと思いました。そして担当者にお礼を述べて、今回の行動を終えることにしました。
(18)結論:「消費者主権」を現実化するために経済のあり方を最終的に決める力をもっているのは消費者である、という考え方を「消費者主権」といいます。政治のあり方を最終的に決める力を国民がもっているという考え方を「国民主権」というのになぞらえた言い方です。良品を選ぶ消費者の行為が、最終的に企業の行動に影響を与え、商品経済を良くしていくという発想が「消費者主権」を支えています。 しかし消費者は商品について常に十分な知識をもっているとは限りません。特に著しい技術革新によって、一般の消費者が商品の良し悪しを的確に判断することは非常に困難になりつつあります。そのため「消費者主権」を実現するためには、消費者の努力だけに期待するのではなく、消費者の立場に立って消費者を保護する行政が必要となるのです。「国民生活センター」(中央)や「消費生活センター」(地方)は、そのための機関です。それゆえ、国民生活センターや消費生活センターが本当に消費者の利益を第一に考えて行動するのでなければ、「消費者主権」は画餅となってしまい ます。 今回、商品テストを実施した国民生活センターは、その意味では相当いい加減な点があったと思います。しかし消費生活センターも最初はひどい対応でした。私が理詰めで追及したことが変わり目となって、最終的には私の話に耳を傾ける職員の働きで、事態は良い方向に向かいましたが、常にこのようにうまくいくとは限りません。 他方で、私たちにも心がける点があると思います。それは、商品に対する苦情は、インターネットに書き込むだけで終わりにしないで、業者に直接伝えるとか消費生活センターに持ち込むなど、具体的な行動にしなければならないということです。今回問題になったソーラーライトに関しては、インターネット上には複数の苦情があっても、消費生活センターに持ち込まれたものではなかったため、消費生活センターの理屈では形式的には「ノーカウント」の扱いでした。苦情をインターネット上に書き込めば、誰でも閲覧できるという意味で強みはありますが、法的なステージでは十分な力を発揮しません。私たちは、もっと「主権者」としての意識を持ち、行政 機関に対して要求していく態度を養わなければならないと思います。
【参考】関係機関 >>国民生活センター >>消費者庁 2011/08/12 初版
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