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主権者のための選挙制度 > 2003年11月衆議院議員総選挙の分析とシミュレーション■2003年11月衆議院議員総選挙の分析とシミュレーション同様・類似のシミュレーションは各新聞社でも行われていますが、ここでの分析とシミュレーションの手法は、私のオリジナルです。 実際の結果・・・得票率と議席率は一致しているか?総選挙の結果(得票率と議席率)は下表の通りでした。
まず、下に並んでいる左と中央のグラフ(A・B)をよく見比べてください。左のグラフ(A)は小選挙区での各党の得票率分布=民意構成を図化したものです。中央のグラフ(B)は同じ小選挙区での各党の議席率=議会構成を図化したものです。この2つが同じ図形であれば、民意の反映(私が授業でいう「縮小コピー」)が完全であることを示していますが、両者を重ねてみた右のグラフをみてください。「同じ図形」とは言えないのではないでしょうか? 「小選挙区制は民意を歪めてしまう」ことがハッキリ示されていますね。
次に、同じ分析を比例代表の場合についてやってみましょう。下に並んでいる左と中央のグラフ(C・D)をよく見比べてください。左のグラフ(C)は比例代表の各党の得票率分布=民意構成を図化したものです。中央のグラフ(D)は同じ比例代表の各党の議席率=議会構成を図化したものです。この2つが同じ図形であれば、民意の反映(私が授業でいう「縮小コピー」)が完全であることを示しています。両者を重ねてみた右のグラフをみてください。かなり「同じ図形」になっていますね? 「比例代表制は民意を正確に反映する」ことが示されています。
下図(グラフE・F)は、「各党の得票率を100とした場合に、議席率がどの程度になるか」という観点から図化し、小選挙区と比例代表のそれぞれの得票率と議席率の差を表現したものです。得票率と議席率が完全に一致していれば赤色の線で描かれた図形になり、それから外れるほど民意の反映がうまくいっていないことを意味します。緑線の図形が今回の総選挙の得票率と議席率の一致度を表現したものです。これを見ると、小選挙区制では得票率と議席率がいかに一致しないかが、はっきり分かりますね。
もし全議員を「全国を1選挙区とした比例代表制」で選挙していたと仮定したら?今回の選挙の比例代表の得票数をそのまま使って、もし全議員を「全国を1選挙区とした比例代表制」で選挙していたと仮定したら結果はどうなっていたか計算してみると、次のようになります。
(注1)得票率は比例代表制のものを使いました。(注2)パソコンを利用して実際にドント式で算出した値を用いました。
どうでしょうか? 下のグラフ(G・H)の左右の図形は一見しただけでは違いがわからないほど同じになっていますね。重ねてみてもほとんど違いがありません。既に説明してきたように、比例代表制は、得票率と議席率の一致、すなわち民意と議会の構成が同じになり、民意の反映が正確になるのですが、この一致の程度は、選挙の規模が大きくなればなるほど高くなるのです。現行の衆議院議員選挙で実施されている比例代表制は全国を11のブロックに分けていますので、率の一致は全国を1つのブロックにしたと仮定したときほど高くはありません。しかし全国を1選挙区とすると、得票率と議席率は千分の1程度の違いしか生じません。
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