バルサスの要塞
The Citadel of Chaos
Steve Jackson
1983
日本語版初版:1985年4月25日


邪悪な魔法使いのバルサス・ダイアが、柳谷に侵攻するため、着々と準備を進めている。偉大な魔法使いの一番弟子である「君」は、その計画を未然に防ぐため、単身、敵の要塞に忍び込み、バルサスを暗殺するのだ。

シリーズ第2作目にして、本作では新たに魔法という要素を取り入れ、ゲームに変化をつけようという工夫が見られます。スティーブ・ジャクソンの作品はたいていそうなんですが、作品ごとにいろいろと新機軸を取り入れていて、個人的にはかなり好きです。

魔法は、原魔法点(サイコロ2つの出目に6を足して決定)と同じ数だけ、魔法の術の中から覚えて使用します。魔法の術は、妖怪うつし、千里眼、火炎、愚者の黄金、目くらまし、浮遊、開運、防御、技術回復、体力増強、怪力、骨抜き、以上の12種類になっています。また、それぞれの魔法の術は1回使用すると忘れてしまいます。同じ種類の魔法を複数覚えておくことも可能です。

個人的なことですが、初めて遊んだゲームブックがこの『バルサスの要塞』で、それだけにいろいろと思い出のある作品です。途中に出てくる首だけの亡霊ガンジーに対抗する手段がなかなか見つけられず何度もやり直したことや、ページをめくっているうちに挿し絵が目に入っていてものすごく気になっていながら全然出てこなかった円盤人に、ゲームをクリアした後もいろいろ試してようやく会えてめちゃくちゃうれしかったこと、などなど。

ところで、今さらですが、シリーズ中でこの作品のみ、「妖怪」という訳語が使われていることに気づきました。他の作品では、たいてい「怪物」となっています。原書を持っていないのでなんともいえませんが、たぶん「妖怪」は"creature"か"monster"の訳なんでしょう。それがなぜ、この作品だけ「妖怪」なのかは謎です。……たいしたことではないんですけども。

※追加
と、思っていたら、『盗賊都市』でも、やはり「妖怪」という言葉が使われていました。訳者によるのかとも思ったのですが、それぞれ違う方なのでそうではないようです。


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