住民主体の情報網構築への提案 

 

森本 優

2008/02/09


 

 時代は今、大きな音を立てて変わりつつあります。

 進行する地球温暖化と異常気象・自然災害、拡散する地域紛争とテロ、市場経済による国内外での所得格差の拡大、投機マネーの動きと世界経済の混乱、等々。これら様々な難しい問題が噴出してきているのは、これまでの政治・経済活動に対して、今、深く反省が求められているからなのではないでしょうか。

 ところで、経済の自由化・グローバル化によって経済戦争の「勝者」になるのは、ほんの一握りの国際企業群と巨大な投機マネーでしかないと考えます。

 そして、国民なり市民なりは、その企業群や投機マネーから施される「おこぼれ」に与りさえすれば、上手く飼い慣らすことができると踏んでいる者たちの驕りも透けて見えます。

 しかし、実際のところ、利潤・効率のみを求める市場原理に裏付けられた新自由主義においては、所得格差に止まらず、「おこぼれ」に与れない弱者の切り捨てと、特に農村の過疎化・消滅を招来することになります。そして、個々人の人間としての誇りや尊厳は踏みにじられ、地域コミュニティーは物理的にも、また精神的にも崩壊してゆきます。唯物功利の穢土では、道徳観念は衰退せざるを得ないからです。

 

 このように、経済の自由化・グローバル化という大きな波に呑み込まれ、農村が洗い流され疲弊し消滅してゆけば、日本という国は、本当に、ちょっとした変化にも耐えられない脆弱なものとなることは必定です。

 確かに、国としての誇りや尊厳をかなぐり捨て、「同盟国」に完全に従属して「利益を分かち合う」(私腹を肥やす)ということは、この国の「支配層」(エスタブリッシュメント)にとっては、当然のこととして既に予定されていることなのでしょう。

 しかし、今後、地球温暖化の影響が、自然災害という形だけでなく、政治・経済の分野でも徐々に大きく現れ、それに伴い環境難民や地域紛争等の、日本だけでなく全世界をも揺るがす重大な事態が発生してくることも危惧されています。

 そうであってみれば、自身が住む地域やそして日本という国を真に愛する人が、今務めてなすべきことは、経済の自由化・グローバル化の波に呑み込まれながらも、人間としての誇りや尊厳を保ち、それに洗い流されることのないしっかりとした基盤・礎を各地域に築いてゆくことなのではないでしょうか。

 すなわち、自立した経済基盤を持ち、若者たちが定着したくなるような環境を整えてゆくことが今必要なのだと考えます。(「てるてる村」創出支援事業の提案 参照)

 

 その為には、先ず、地域住民が主体的に、各地域が抱える問題を共有し合い情報を交換し合う中で知恵を出し合って解決の糸口を見出すことのできる場を、早急に整備してゆかなくてはなりません。

 そして、そのような場で人材を発掘し育成してゆくことが必要です。

 また、地球環境にとってだけではなく人間にとっても、「豊かな生活」とは何か、また、貧しくとも誇りと尊厳を持って生きるとはどういうことなのかを、多くの方々に考えてもらえるような場でもある必要があります。

 更に、このような、行政や権益団体ではなく、住民が主体となった情報網の構築の過程で、時代に即した重要事項に関して、住民・NPO・NGOレベルで、戦略・戦術を練るような機会も当然必要になってくるのではないでしょうか。(地球連邦構想案 参照)

 以上です。

 


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