国有地囲い込み事件に関する参考資料

2002/5/17編集


      様

 

 以下の件につきまして、皆様方のご意見等頂けましたら幸いです。

 問題となっているのは、道祖神の向い側、I氏邸横にある、森本が従来使用してきた取水口にまつわる水利権についてです。

 そもそも水利権は、慣習上の権利であり、農業従事者にとっては死活問題ともなり得る重大な権利です。そして、その権利の性質上、ただ単に水を引き込む権利だけでなく、水源に立ち入る権利(川の場合は両岸に立入り、必要な範囲で利用できる権利)も当然含まれるものと解されます。

 また、通常の場合、川の両岸は一定の範囲内では所有権の対象とはならず、公共の財産とされているはずです。特に取水口付近の両岸については、水利権も絡んできますので、公共性が一層強くなってくるはずです。

 そこで本題に入りますが、以上の点を指摘して十数年以上も前から母が、I氏に対して、取水口付近については岸に立ち入ることができるよう、必要最小限度公共用地分は立入可能なスペースを残しておいて頂きたい旨お願いしていました。しかし、そのような申し入れはことごとく無視され、最近では岸に立つ余地が全くない程ギリギリまでコンクリートを打ち、更に車庫・自動販売機等を設置して、完全に立入不可能となってしまいました。

 確かに、対岸側(T1さん所有地)から入れば、取水口にマッチを張ることはできますが、水利権が絡んでいる公共の土地までをも自らの便益のために囲い込み、さも所有者のごとく振る舞う姿に憤りを禁じ得ません。

 一事が万事この通りですので、当事者間では全く話合いが成立しません。

 そこで、水利権というものの性質が、単なる個人的な財産権というよりは、村落共同体を前提としたものと思いますので、このような一笑に付されるような事案ではございますが、できましたら皆様方のお知恵を拝借致したく、恥を忍んで以上の通り包み隠さず申し上げる次第です。

 

平成13年6月23日  森本 優 拝


※平成13年6月22日夜、村の有力者であるT2氏に上記の件で相談に行く。

※同6月28日、市の道路・河川管理課の役人に現地に来てもらう。(既に前日に農事組合長の所で話し合いの場が持たれていたことを後で知るのだが・・。)役人は理由を示さず「一切問題ない」との返事。更に、将来的には私有地に編入することも考えられるとの発言。


左図 道路の正面からの不法占拠の状態(自動販売機、市で設置した柵、そしてゴミ箱の下が取水口)

右図 河川に沿った不法占拠の状態(河川と駐車場、柵が3メートル程不法に撤去されている)

 

 

水 利 権 侵 害 事 件 経過報告2

 

 7月1日に、K1農事組合長立ち会いのもとで森本・I氏の両紛争当事者が話し合う機会を設定していましたが、その前夜、K2自治会長のお宅に呼ばれ、貴重なご意見を頂きました。そしてその話の中から、村の政治に関わる重要な問題点が露呈されましたので、今回はそこでの話の要旨を皆様にお伝えし、以下の通りの提案をしたいと思います。

 

★K2自治会長の話の要旨

一、今回の事案に関しては、農事組合長にも自治会長にも、また市の方にも、紛争を解決する権限がなく、紛争解決の基準とはなり得ない。

二、この村にはこの村の「常識」があり、その「常識」は村民を拘束する。日本国の法律にも(更には憲法にも?)優位する。従て、法律を無視しても構わない。(国からの処分が考えられるとしても、阻止し排除できる自信がある?)

三、この村の「常識」では、国有地である河川の路肩(泥揚げ部分)は、たとえ水利権者が利用していたとしていても、自ら囲い込み堅固な工作物等を設置した者の方が優位する。すなわち、不法占拠であれ、占拠したという事実が尊重される。

四、以上から、訴訟も含め、問題をこれ以上広げないでもらいたい。(村八分にされたくなければ泣き寝入りしろということ?)

 

 以上が話の大まかな内容でしたが、話を聞き憤りを覚えるというより、唖然とし、また戦慄してしまいました。たとえ村の「常識」が村民の大部分(村の有力者?)の合意で成り立っているとしても、その「常識」をもって一方的に、一部の村民の人権(表現の自由等)を侵害し権利・利益を奪っても良いとでも言うのでしょうか。昔から「村八分」という言葉が使われてきましたが、晴天の霹靂のごとく、わが身に降りかかって来たというわけです。

 しかし考えてみれば、農事をもはやあまり重視していない農事組合なり自治会なりから「村八分」されたところで痛くも痒くもないわけで、私は、その場で徹底抗戦する旨伝え帰ってきました。

 翌朝7月1日、紛争当事者の話し合いがもたれる15分程前に、農事組合長の方から、組合長には水利権につき裁決権がないので出席を辞退するとの電話がありました。また市の道路・河川管理課の方でも、今回の事件につきノータッチを決めこんでいるようです。村の「常識」が立派に市に対しても通用しているのでしょう。

 

★森本からの提案

 村にこのような状況がもたらされたことに対して、たとえ自らは犯罪行為に手を染めなかったとしても、責任ある地位に立つ者は当然、何らかの責任を負わなければならないはずです。

 そこで森本は、まだ村の総会で「村八分」されたわけではないので、K1農事組合長及びK2自治会長に対して離任勧告を提案する次第です。

 

平成13年7月5日  森本 優 記


※7月8日頃、知人から紛争を知ったということで、現職の自民党国会議員が市の幹部役人二人を引き連れわざわざ現地の視察に訪れる。現公図を示して「公図上問題なし」との発言。更に、やんわりと、これ以上騒ぎ立てないようにと私に釘を刺す。同行していた市の幹部の一人は、「地籍調査の時、委託を受けた者の権限で国有地を私有地に編入した場合も考えられる」と語る。いずれにせよ、工作物が出来上がってしまえばどうしようもないとのこと。

※7月10日頃、県の用地課と市の地籍調査課とに相談に行く。


 

 

水 利 権 侵 害 事 件 経過報告3

 

 以前、I氏に対して、如何なる根拠をもって河川ギリギリにまで工作物を作り、自動販売機を設置するのか問い質したところ、十数年前の地籍調査の時に購入したとの返事が返ってきました。

 そこで今回は、地籍調査に的を絞って調べてみましたので、以下報告します。

 

 確かに、現公図(上掲左図参照)上では、I氏側の川岸に関しては、川岸ギリギリまでI氏の所有権が及んでいるように見えます。しかし、泥揚げ部分が国から払い下げられ、私有地に編入されたとするなら、それなりの番地が新たに付記されるはずです。従って、そのような付記がない以上、国からの払い下げはなかったと言えます。

 それでは、現公図の元となった昭和56年の「地籍調査前のマイラー図面」(上掲右図参照)で示されている泥揚げ部分はどこにいってしまたのでしょうか。

 取水口より下流(K3氏横)の、泥揚げ部分なしの川幅を基準とするなら、現公図上取水口より上流の泥揚げ部分は対岸(T1氏側)にしかないように見えます。そして、取水口より上流の泥揚げ部分を含めた川幅が旧公図と一致するのを市で確認してもらいましたから、現公図上では、I氏側の泥揚げ部分が対岸に移転しているような状況が示されています。

 市の担当者の話しでは、56年版の公図を元に現公図を作成するに際しては、川を挟む場合には、両地権者の同意を得て線引きをしているとのことでしたが、通常、対岸の泥揚げ部分を引き受けた形での境界設定に同意する者はいないはずですので、I氏・T1氏両地権者が同意した時点の現況では、両岸に泥揚げ部分があったはずです。また私個人も、両岸に一定の幅をとって赤のスプレーで印が付けられている路面と杭を確認しています。

 ところが、でき上がってきた現公図を見ますと、川岸ギリギリのところで線が引かれています。

 紛争地対岸の地権者であるT1氏のおばあさんの話によりますと、昭和57〜58年頃地籍調査の際、亡き祖父が他の地権者と共に立ち会い、両岸に一定の幅の泥揚げ部分を残した形で境界の設定に同意したとのことです。しかし、でき上がってきた公図を見ると、泥揚げ部分が対岸にはなくT1氏側に重複してかかっているとのことで、市役所に再三訂正を求めていましたが何らの回答も無く、その祖父も病気で間もなく(昭和58年に)他界し、その件もそのままになってしまったとのことです。

 この件に関して、1.なぜ再三の公図訂正要求に対して何らの回答もしなかったのか。2.当時の地籍調査に関する市側の責任者は誰か。3.現在において公図を訂正する手続きはないのか。以上の三点につき森本自身が、市に対して7月中旬に問い合わせているところです。

 以上のような事実からすると、同意以降現公図完成までの間に意図的な作為が介入したとしか説明できませんが、この件に関して、当時国から委託を受け地籍調査に関する権限を与えられ、現公図に影響を与えることのできる地位にあったT2氏はどのように説明されるのでしょうか。

 I氏の「地籍調査の時に購入した」との言をも合わせて考えるなら、T1氏所有地の対岸側の地権者三者の利益(国有地を私有地として囲い込むこと)のために、幾許かの金を得て、自ら都合の良いように公図の線引きをなしたと推測されますがいかがですか。

 以上のように推測するには以下のような事実が存在するからです。

 即ち、第一に、T2氏はI氏に紛争地側の土地を岸に沿って売却しており、強い利害関係が生じやすかったこと。第二に、T2氏は、地籍調査の数年後に、I氏敷地に隣接する御自身の土地につき、岸ギリギリまでブロックを積み上げて泥揚げ部分を敷地内に囲い込んでしまったこと。第三に、I氏との紛争に関して、村の有力者として調停をしていただけるよう母春代がT2氏に対して再三お願いしたが、断られ続けたこと。第四に、今回の水利権侵害事件に関して、村の役員及び主要人物がほぼ全員統一行動をとり、森本を潰しにかかってきたことについても、氏の存在を抜きにしては説明できないからです。

 土地に対する強い執着が、同じ利害関係に立つ者同士を強く結びつけ、密約関係を結ばせたものと推測しています。そして、その密約を実現させるために前回報告通りの犯罪行為や違法行為を、村の「常識」を盾に自治会が率先して支援したという空恐ろしい話に発展してしまったのだと私自身は推測しています。もし、そのような推測が誤りであることを氏自らが公の場で説明して頂けるなら、喜んで撤回致しますが・・・。

 

 村の責任者となろうとする者は、見識を高く持ち、たとえ村の有力者の過ちであったとしても、悪いことは悪いと言える良心と勇気が求められているのではないのでしょうか。更に、将来の紛争の種となるようなものを、自らは決して蒔くべきではないことは当然です。

 私は、村に住む一住民として、村の今の政治のあり方に強い危機感を覚えています。同じ住民の皆さんはどのようにお考えなのでしょうか。

 

平成13年7月31日  森本 優 記


※「経過報告3」の村内配布(約30戸)に対して、T2氏から名誉毀損での訴えの動きあり。しかし弁護士に制止された模様。

※村内選出の共産党市議会議員氏、紛争を努めて矮小化。自ら解決に乗り出す姿勢全くなし。


 

 

水 利 権 侵 害 事 件 経過報告4

 

 経過報告3にあるとうりの質問に対して市からの回答(上掲資料参照)があり、現公図の修正には関係地権者の同意があれば修正可能とのことでした。しかし、単なる過失であれば、同意という要件もさほど困難なものではありませんが、確信犯にたいしては、同意を求めることはとても困難なことです。まして、あと数年で取得時効(悪意の場合は占拠から20年)が完成する当事者にとっては、ここで同意して時効取得を中断してしまっては、せっかくの苦労も水の泡となってしまいます。従って、同意による現公図の修正はできないままです。

 ところで、関係地権者の同意によらないで現公図を修正する方法として境界確定訴訟があります。すなわち、地権者が、裁判所を通して、国(県)に対して境界の確定をお願いし、その確定された境界に基づき現公図を修正する方法です。これは、そもそも土地の境界は、公法上の単位として私人間で自由に定めることはできないものとされているからです。そこで裁判所は、地権者の同意の有無にかかわらず裁判所に提出された証拠を元に、自らの裁量によって具体的事案に応じた最も妥当な境界を確定することになります。

 この境界確定訴訟は、対岸地権者であるT1氏しか有効に提起できません。

 

 次に、今回の事件に関しては、森本・I氏間の問題として努めて矮小化しようとしている者たちがいます。しかし、そもそもの発端は、市から委託を受け村を代表して地籍調査に関与した者の不正行為にあり、その性質上村全体の問題となるはずです。更に、市側の関係者の関与も当然予測されるのであってみれば、市そのものの問題にも発展する性質のものです。それを紛争当事者間の問題に矮小化するのは、自身にとって都合の悪い事は無視したいという意図の現れでしかありません。

 名目上であれ、村の責任ある地位に立ち、また立とうとするのであるなら、自身にとって都合が悪いことでも、村のために誠実に対処するのがその者の責任というものです。また、市民の信託により政治家になっている者についても、その政治家としての資質が問われてくるでしょう。もし、このような態度が続くようであれば、自治会は私物化されているという噂もあながち嘘ではなくなるというものです。村の役員として据えられた木偶や、良心に従った自立的な活動ができない神輿であるなら、所詮村の「常識」によってしか動き得ないからです。

 ところで、ここ二〜三年前から森本に対して嫌がらせが続いてきました。当初その真の理由がいまひとつ分かりませんでした。しかし、今回の事件を経て全体像が見えてきて初めて、その意味が把握できたように思います。すなわち、このような嫌がらせも、予定された紛争を森本・I氏間の極私的・感情的ないざこざとして、問題を努めて矮小化し処理しようとの意図の下、前もって仕組まれたものだったのではなかったかと・・・。

 

 前回の経過報告で事件の真相を公にした以降、嫌がらせが続発しています(下掲資料参照)。明らかに森本の動きを封じようとする性質のもので脅迫ともいえるものです。もし、このような私生活の平穏を破る不正行為を自治会員(一人若しくは数人)が犯しているとしたら、それを許している自治会とは一体何なのでしょうか。自治会が私物化され機能不全を起こしている証拠にほかならないと言えませんか。

 自治会から相互扶助の精神が欠落し、私利私欲や保身のみがはびこるようになるなら、そして不正が正されずそのまま村の「常識」として今後もまかり通ってしまうなら、村の生活は不安と猜疑心に満ちたものとなってしまいます。このような自治会には決してしてはならないと思うのはただ私一人だけではないはずです。

 以上の理由から、当該紛争地の公図の修正及び取水口付近泥揚げ部分の不法占拠に関する問題は、紛争当事者間だけの問題であるはずはなく、本来村全体の問題として取り扱うべき性質のものであり、自治会の立て直しのためにも、過去の不正は村人全員の力で正してゆくべきものと私は考えます。

 皆様方の良識あるご検討をお願い致します。

 

平成13年12月10日  森本 優 記

嫌がらせのほんの一部

左図 9月6日、取水口内に粉末状の異物が投げ込まれているのを発見。南甲府警察署員によって検体を採取してもらう。

右図 11月12日、森本が管理しているアパートの階段裏に放火の跡があるのを発見。A4大の掲示物が消失。


※平成14年1月16日に、開設されたばかりの某法律事務所に今回の件で相談に行く。市側の対応がおかしかったこと、そして某現職国会議員の言動に不審な点があることから、資料を渡し調査を依頼する。


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