関本(せきもと)

 『新編相模国風土記稿』によれば、古くは坂本と呼ばれていた。「峠」あるいは「峠道」のことを「坂」と呼んでいたので、足柄峠に通じる「もと」を意味していたのだろう。 当時、「坂本」と呼ぶ地名の中には、この先に棲む「荒振る神」を強く意識していたように思われる。 その後、足柄峠や矢倉沢の関所の関係で関本と記されるようになったのではなかろうか。
 足柄峠に向かう道には多くの石仏が見られるが、『浅間大菩薩』や『富士登山』などの石碑もみられ、冨士信仰の道としても活用された。 また、ここ関本は道了尊講の宿場としても賑わった場所でもあった。
 

【石仏に使われている文字の解釈】
浅間:ご神体を富士山八合目以上とする浅間神社。
大菩薩:色々な悩みを聞いてくれる慈悲の菩薩。
三十三:三十三の観世音菩薩と関係があるものと思われる。この後、六十六度、八十八度と続く。
観世音:救いの声を感ずるとすぐに救いの手を差し延べる。
菩薩:悟りを求めて修行をする者。
道祖神:村の疫病や悪霊を防ぐ神。また、「あの世」の入口にある神。後に縁結びの神、旅行安全の神、子どもと親しい神とされる。
五輪塔:五つは地・水・火・風・空を表した供養塔婆または碑。

 

関本564番地付近の石仏群。五輪塔が多い。

関本287番地付近の石仏。『浅間大菩薩』、『富士登山、三十三度、大願成就』。

 

 

 

関本289番地付近の石仏群。道祖神2基も見える。

関本938番地の石仏群

 

 

雨坪