三田市ワシントン村風力発電計画

はじめに
 はじめにお断りしておくが、標記のような計画がどこかに存在しているわけではない。これはあくまで筆者の思いつきにすぎない。このような思いつきに至ったどーでもいー経緯については別にまとめたが、そんなわけで、この件は三田市、神戸市、兵庫県などとは何の関係もないので、それら諸機関へのお問い合わせは控えていただきたい。
 こんな思い付きが日の目を見ることはないかもしれない。が、もしこれに触発された計画が一部でも実現するなら、筆者の喜びとするものである。(そんときはなんぼかちょーだい<(^^;;)

自然条件−風速
 三田と近辺の気象庁観測所における年平均風速は次表のとおりである。
年平均風速(m/s)
三田大阪神戸姫路京都豊岡
2.23.33.32.81.61.3

三田の月平均風速(m/s)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2.1 2.3 2.5 2.5 2.3 2.2 2.2 2.3 2.1 1.8 1.8 1.8 2.2

 三田の風速は、沿岸部の大阪、神戸、姫路よりは弱いが、内陸部の京都や豊岡よりは強い。海岸からの距離が約 25km で、六甲山(標高930m)の陰という条件のわりには強いほうと言えるだろう。

自然条件−地形
 上にも述べたように三田市は六甲山(標高930m)の北約 15km に位置する。さらにその北約 15km ほどの能勢、篠山付近にも標高 700〜800m の山があるが、東西には目立つほどの山は見られない。
 気象庁AMeDAS の三田観測所(三田市消防署)は、武庫川畔の標高約150mの地点である。一方、ワシントン村は三田市街地から約 5km 西北西の、標高200〜250m の高台にある。これより約 3km 南の寿栄会有馬高原病院のあたりが周辺では最も標高が高いが、ワシントン村からこの病院へかけて、標高差はあまり無く、付近一帯が周囲よりやや突出している。この高台の近辺に障害物はないので、武庫川畔の市街地よりは風が強いものと推察できる。
地形図
国土地理院「数値地図 50m メッシュ(標高)」をオリジナル・ソフトで表示。

NEDO「風力発電ガイドブック」では、風況に関する評価として
地上高30mでの年平均風速が6m/s以上であることが望ましい。
としている。因みに三田の風速計地上高は 25mで、やや低いが、25〜30m では風速にそれほど大きな差はなかろう。三田の風速が 2.2m/s ということは、ワシントン村が地形的にこれよりかなり強風だとしても、6m/s を望むのは無理があるかもしれない。実際、上記「ハンドブック」の風況マップでは、三田周辺は 4.1〜6.0m/s の範囲がせいぜいのようである。
 しかし、上記の風況マップは地形も考慮しているとはいえ、「1kmメッシュの地形因子による重回帰分析」というかなり粗いものであるし、風のような局地の変動の大きい現象の推定には、現在の技術でもかなりの誤差は避けられないだろう。およその目安としてはこの種の風況マップも有効であるが、あまり過大に信用すべきではない。むしろ地元住民の証言や専門家の見解に耳を傾け、さらに通年の現地観測があることが望ましい。

 兵庫県内における風力発電実績
設置者設置場所定格出力台数メーカー用途
1990NEDO/関西電力兵庫県六甲アイランド16.5kW2ヤマハ発動機試験研究
1996関西電力兵庫県生野町150/30kW1Nordex実証試験
(NEDO「「風力発電ガイドブック」より)

 この他、神戸市では「錨山・市章山」において1981年から、出力 5kW のダリウス風車によって電飾を行っている(木村壮三「わたしが選んだ風車」)。
 筆者の子供の頃はあそこは「みなと祭り」の時だけ電飾されていたが、今は毎晩のようである。しかしわずか 5kW の「モデル事業」にすぎないようである。

その他、調査事例
#000001* JST COPYRIGHT
CN 01A0254718, E01101075, S01051160
TI 緑町淡路ふれあい公園における風力開発フィールドテスト事業(風況精査)報告書   (兵庫県三原郡緑町S)
AU (新エネルギー・産業技術総合開発機構); (兵庫県緑町役場)
JN N20010230 緑町淡路ふれあい公園における風力開発フィールドテスト事業(風況精 査)報告書 平成12年
VN PAGE.63p 2000
CI (A) (a1) (JA) (JPN) (写図23, 表29)
AB 神戸淡路鳴門自動車道緑パーキングエリアに隣接する公園の観測地点で風況を1年 間観測した。風速・エネルギー密度37W/m2等の風況特性から風力開発に適し ているとは言い難かった。平均風速は地上高20mにおいて年平均2.6m/sと 基準未満であり,風速の乱れは大規模であった。風向はWNW‐ESEの風軸上に 出現率計63%と安定し,風向出現率‐風速関係は良好であった。最大瞬間風速で は一般的な風車の耐風速を超える可能性は低い。また,騒音,電波障害等の環境へ の影響も少ないと評価された。
CC NB03120Q, LB03060X (621.311.24, 621.548)
KW 兵庫; 風; 風向; 風速; 気象観測; 風力エネルギー; 風力発電; 環境インパクト; 敷地選定; 機械騒音; 電磁干渉
FT [緑町]
(JICST 文献検索による)


どーでもいー経緯
 筆者が三田市のカルチャータウン、ワシントン村について知ったのは、トーテムポールの縁によるものである。神戸市と米国シアトル市が姉妹都市になった時、シアトル市からトーテムポールが贈られたが、そのポールを作った Joe Hillaire さんのことを 筆者のウェブページに書いておいたところ、それを読んだ Robert Stauffer なる人物から mail を貰った。最初は
Joe Hillaire was from the Lummi Tribe near Bellingham Washington. His carving skills were considered by most experts to be very simple and not very good, though he was good at promoting himself as a folk artist. A few of his poles still stand in Washington. Joe Hillaire, who died in 1968, was not a chief, though sometimes people would call him chief and he was known to use that title to be seen as important. The songs and dances that Joe Hillaire "gave" to Tillicum Village, were made up by him, and are not traditional.... meaning they were not handed down from ancestors as is the custom. Joe did this to make some money.

などと書いて来るので、「なんぢゃこいつわあ!」と思ったものだが、いろいろ聞いてみると、三田市のワシントン村という所のトーテムポールを作った人らしい。そんなわけで、夏休みの一日、彼の作ったトーテムポールを見に行った。
 神戸電鉄公園都市線の終点「ウッディタウン中央」から歩いたらちょっと遠かった。帰りはバスに乗ったが、「南ウッディタウン」駅経由でJR宝塚線の「新三田」駅行きだった。このバスを使うほうが便利だろう。
 「カルチャータウン」というのは、昔ながらの農村の中の、小高い丘陵の上にできたニュータウンだった。関西学院大学のキャンパスなどもある。「ワシントン村」はその中の一画で、米国西海岸ふうのお洒落な住宅街だが、その中のあまり人通りもない静かな(ちょっと寂しい)公園に Robert のトーテムポールは建っていた。途中で道を聞いた商店の店員の女の子達も「滅多に行かない」と言っていた。
 その時は気がつかなかったが、帰ってからふと、あそこは風力発電に向いてるんじゃないか、という気がした。もっと早く気付いていれば、現地の人に風が強いかどうかくらいは聞けたはずだが、帰った後だからどうしようもない。今、悔やんでいる。
 その少し前、MIT が発行している Technology Review という雑誌 の July/August 2002 でWind Turbine (Bellview, WA) という会社が開発した風車の記事を読んでいた。軽量ながら突風にも強いという、優れもののようだ。これとワシントン村が筆者の頭の中で短絡してしまった。Bellview というのはシアトルのすぐ隣の町のようだ。何か因縁めいたものさえ感じてしまった。
 そんなわけで、とりあえず入手可能な資料によってこの「計画」のフィージビリティを確認してみようと考えた次第である。
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Sep. 14, 2002
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