土用丑の日と鰻

ヘタクソな絵でゴメンナサイm(..)m

 「土用の丑の日」といえば鰻である。平賀源内のキャッチコピーに始まるものという説は有名である。
 一方、土用が春夏秋冬にあるということも近頃は広く知られるようになった。すなわち立春、立夏、立秋、立冬の前18〜19日間はすべて土用なのである。そして、このことが広まるにつれて夏以外でも「土用の丑の日」に鰻を宣伝し始めた。特に長野県の岡谷市では「寒の土用丑の日」を商標登録している。鰻は冬のほうが旨いという主張はもっともだろう。鰻に限らず魚でも獣でも、冬を乗り切るためにたっぷりと脂肪を蓄えているのだから。しかし、なんで冬も「土用の丑の日」やねん、と、臍曲がりの筆者は思ってしまうのだ。

 実は、春夏秋冬の土用は各々「辰土用」、「未土用」、「戌土用」、「丑土用」なのだという。そして十二直という奈良時代から伝えられてきた「暦註」があって、それによれば未の夏土用の丑の日は凶日なのだという。
 まず、「節月」というのがあって、春の土用は辰の節月、夏の土用は未の節月、秋は戌、冬は丑の節月に属するのである。
節月と十二直
 十二直というのは、次の12個からなる。
納(収)
大吉半吉小吉小吉小吉半吉半吉
 そしてたとえば未の節月には未の日が建となり、翌日(申)が除、その翌日(酉)が満、・・と続く。未の前日(午)は閉、その前日(巳)は開、・・である。したがって、この節月の丑の日は『破』になる。
 つまり未の節月である夏土用には丑の日は十二直の『破』で、この日は凶日とされる。この凶を鰻のようなスタミナ食を食べて乗り越えようという意味が込められているのではなかろうか。
 丑の日には『う』のつく物を食べれば良いという説もなされているようだが、源内ほどの教養人がそんな下らんことを言っただろうか?これは単なるこじつけのように思える。

 さて、未の節月には丑の日が『破』であるが、未と丑は十二支でちょうど反対側に当たる(上図参照)。この正反対の方向にまさに鰻のように長く伸びたのが『破』の日なのである。
 ならば、丑の節月である冬土用には、夏土用とはちょうど逆に未の日が『破』となる。つまり、十二直を根拠とするなら、冬土用には未の日に鰻を食べるのが「正しい」(って、いずれ迷信なのだが)と思われる。

 春夏秋冬、各土用の丑の日の十二直とその吉凶は次表のとおり。夏土用では「破」の凶日であるが、冬土用では「建」の大吉である。そんな日に鰻まで食べるのは贅沢すぎるのではないかと筆者は思うがいかがだろう?ちなみに春土用は「平」で吉、秋土用は「納」で半吉と、そこそこの日である。
 また、各節月の『破』の日は十二支が月と正反対(180度)の日で、これが夏土用丑の日と同種のものである。

土用丑の日の十二直
季節節月十二直吉凶
半吉
大吉
各節月の「破」の日
節月『破』

Mar. 2020
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