六.転生


 七月二一日(木) 天気・晴れ 気分・良し

 今日もシンイチと色々話をした。我ながら、なんでこんなに話すことがあるのかってくらい。お互いのこと、全然知らないのにね。知らないからこそ話せるってこともあるのかな。でも、一昨日まで会ったこともない男の子とこんなに色々と話が出来るなんて、やっぱりちょっと面白い。

 そうそう、今日はちょっと、可笑しいことがあった。シンイチったら今日、水筒を持ってきたのよ。中には冷たい麦茶が入ってた。こういうのって普通、女の子が持ってくるもんじゃない?妙にマメな性格がわかって、面白かった。もちろん、麦茶はとても美味しかった。

 シンイチ、独りで暮らしてるんだって。家族は?って聞いたら、誰もいないって言ってた。なんと、それまで私と同じなのよね。私も身寄りのない独り暮らしだし。

 なんでそんなことになったのかを、シンイチはポツリポツリと話してくれた。
 一年前、シンイチは独りで浜辺を歩いているのを保護されたらしい。一年前って言うと、ちょうどサードインパクトが起こった時よね。きっと、サードインパクトの時に家族を亡くしたんじゃないかってシンイチは言ってた。

 それって、私とまったく同じ。そう言ったら、シンイチも凄く驚いていた。私もシンイチと同じで、一年前に浜辺で倒れているのを保護されたらしいわ。『らしい』って言うのは、その時の様子について、私は何も覚えていなかったから。私が覚えているのは、病院のベッドで目が覚めてからのことだけ。その時は、何か、凄く長い悪い夢から覚めたって感じだった。

 話せば話すほど、私とシンイチの境遇が似ていることがわかってきて、嬉しいような怖いような、複雑な気持ちになった。だからそれきり、昔の話はしなかった。シンイチも、過去の話は出さなかった。きっと、同じ気持ちだったんだと思う。

 今日はそれから、お互いの携帯の番号とメールアドレスを教え合って、さよならした。

 明日は、街へ買い物に行こうってことになった。
 何を着ていこうかな。

(以上、漣ハルカの日記より抜粋)








七.初めてのこと

 

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