五.失われたもの、得られたもの


 七月二〇日(水) 天気・晴れ 気分・良好

 今日はちょっと、ドキドキした一日だった。それは、シンイチに会えるかもしれないから。まったく、私とも有ろうものが何をやっているのやら。

 昨日と同じ時間にあの高台の公園に行ったら、シンイチはもう来ていて、柵に寄りかかってぼーっとしていた。私はなんだかおかしくなって、シンイチを驚かしてやったんだ。その時のシンイチの顔、凄くおかしかった。一瞬驚いた顔で振り返ったと思ったら、次の瞬間には凄く嬉しそうな顔になったんだもん。まったく、わかりやすい子ね。
 でも、その後は暫く私のことを見て、ポカンとしていたみたい。ちょっとだけ頑張ってお洒落した甲斐があったかな?シンイチはジーパンにTシャツって言う、普通の格好だったけどね。

 それから、シンイチとは色々な話をした。一番驚いたのが、シンイチが私と同じ、記憶喪失だったってこと。しかもご丁寧に、記憶を失った時期まで同じ。ちょっと怖いくらいだった。
 それで、なんとなくわかったんだ。シンイチと私、どこか同じ匂いがするわけ。それはシンイチには言ってないんだけどね。

 学校のことも話した。シンイチは学校、あまり好きじゃないんだって。友達もあまりいないって言ってたな。確かにそんな感じもするわね。人付き合いが上手そうな感じじゃないもん。私は学校はキライじゃないけど、親友って言える友達はいない。そう言う意味じゃ、シンイチとあまり変わりはないのかもしれない。

 色々話しているうちに、風が生暖かくなってきた。空模様が怪しくなってきて、夕立が降りそうな空になってきた。それを見て、今日はさよならをした。ちょっと残念だったけど、でも、また明日も会えるしね。
 明日はちゃんと時間を決めて、待ち合わせをした。


(以上、漣ハルカの日記より抜粋)








六.転生

 

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