二.少女


 少女がそこにいたのは、必然だった。
 一学期最後のその日、少女はとある男子生徒に呼び出されていた。成績優秀で明朗活発、おまけにスポーツマンであり人望も厚い。まるで絵に描いたように完璧なその男子生徒と少女の仲は、彼らの通う中学校では有名だった。
 その男子生徒に、少女は呼び出されていた。
 もしかして、と思わないことでもなかった。そう言う意味では、予期できたことだった。
 一学期最後、つまり明日からは夏休みというその日、少女はその男子生徒に告白されたのだった。
 嬉しかった。とても嬉しかった。少女は間違いなく、そう思った。
 しかし、少女の答えは、『ごめんなさい』だった。
 その男子生徒に不満があったわけではなかった。彼と話していると楽しいし、文句の付け所もない。しかし、彼と『お付き合い』をする気には、どうしてもなれなかった。それがどうしてなのか、少女にもわからなかった。

 その男子生徒が去った後も、少女はそこに立っていた。多くの罪悪感と、少しの安堵を感じながら、少女はそこから見える風景を、ぼんやりと眺めていた。
 高台にある公園から、少女は眼下に望む街を眺めていた。






三.巡り会い

 

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