十八.不安


 八月一二日(木) 天気・曇り 夕方に夕立 気分・複雑

 最近、シンイチの様子がどうもおかしい。私の方をチラチラ見たり、やけにおどおどしているような気がする。シンイチが人の目を気にするのは性分だから仕方がないと思うけれど(でも、少しは直した方がいいと思う)、今までは私にそういう視線を向けたことはなかった。
 私がなにか言おうとすると、変に身構えたりする。何かに怯えているような感じだ。

 そんなシンイチの様子を見ていると、私も何故か、妙に苛立ってしまう。不用意にキツイ言葉を言ったりしてしまう。そうすると、シンイチはもっとビクビクした様子になって、私ももっと苛立ってしまう。まったく、悪循環の繰り返しだ。
 今日は、それに加えて変なことがあった。
 私がポットのお湯でちょっと火傷しちゃった時のこと。シンイチは驚いて飛んできてくれた。それは嬉しかったんだけど、シンイチはその時、「アスカ!大丈夫?」と叫んだのだ。

 私はすぐに、「アスカって誰?」って聞き返したけれど、シンイチは硬い表情のままで「そんなこと言ってないよ」と言うだけだった。でも、シンイチが『アスカ』と言ったのは間違いない。

 『アスカ』って、誰のことなんだろう。シンイチは本当に、『アスカ』のことを知らないのだろうか。その名前を聞くと、なんだか嫌な感じがしてくる。ざわざわした不安感が、混み上がってくる。

 ここまで書いて、やっぱり『アスカ』は私の聞き間違いなんじゃないかっていう気もしてきた。シンイチは『ハルカ』と言ったのかもしれない。
 いや、きっとそうだ。そうなんだ。

 でも、シンイチとのギクシャクした関係は、これからどうしたらいいのだろう。
 私はシンイチのことが好きで、シンイチも私のことを好きだと言ってくれるのに、どうして上手くいかないんだろう。


(以上、漣ハルカの日記より抜粋)








十九.苦悩

 

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