八月八日(月) 天気・曇り 今日はまた、凄く嫌な夢を見た。 あたりは暗いんだろうか。それとも明るいんだろうか。空には星が見える。それと一緒に、赤い川が空に浮かんでいる。どういう世界なのか、全然わからない。 僕は、白い砂浜に寝ていた。 あれはやっぱり、幻だったのだろうか。僕はそこで、紅い瞳の少女を見た。 波打ち際に浮かんでいたその少女は、僅かな笑みを僕に向け、何かを言ったように見えた。 気が付くと、その少女はいなくなっていた。 僕は、隣に誰かがいることに気付いた。それが誰なのかはわからない。顔もわからない。でも、僕にとってその『誰か』が、重大な意味を持っているような気がした。 突然僕は、その『誰か』の上に馬乗りになり、首を絞め始めた。 細い首に、僕の指が食い込んでいく。 気管から空気が漏れる音が、僅かに聞こえた。 突然僕は、頬を撫でられた。包帯を巻いた手で、頬を撫でられた。 僕は急に力が抜けて、涙が出てきた。嗚咽を抑えることが出来なかった。僕は馬乗りになったまま、泣いた。 その僕に、一言、声が降ってきた。 その声は、少女の声だった。 それは、確かにそう聞こえた。 「気持ち悪い」と。 そこで、僕は目が覚めた。 僕はびっしょりと寝汗をかいていた。凄く嫌な夢だった。これほど、夢で良かったと思ったことはなかった。 今でも首を絞める感触が、指に伝わってくる感触が、思い出される。 その首は細く、少し冷たかった。 (以上、浜田シンイチの日記より抜粋) 同人誌収録作品 目次 Evangelion Fan Fictions INDEX HOME PAGE |