「まず、がっかりしないで聞いて。今まで皆さんに届いていたレイからのメールは、全て偽物です」 言葉を失う皆。その表情を一通り見渡した後、リツコは続けた。 「どうもおかしいと思って今、マギに問い合わせたの。マギ……というよりメルキオールね。最初は白を切っていたけれど、問い詰めたら白状したわ」 一呼吸置いて。 「そう、全部メルキオールの仕業だったの」 「みんなも知ってのとおり、メルキオールは母親としての母さんがインプットされていたわ。そのメルキオールが、ちょっと親心を出しちゃったって事ね」 「でも先輩、そんなことって有り得るんですか?」 「理論的には有り得るわ。私も今までそういう可能性を考えはしなかったけれど、マギにはまだまだわからないこともたくさんあるって事ね」 「でもリツコ、よくマギをゲロさせたわね」 「簡単な事よ」 「なに?」 「第十一使徒の時に、マギの中に入ったでしょ?その時に見つけたの、母さんの落書きを。困ったときはこれを使えって書いてあったわ」 「で、それをメルキオールに使ったわけね」 「そう。流石に威力は抜群。メルキオールも大人しく白状したわ」 「はぁ、さっすがは赤木リツコ博士。お見それしました」 そういって、大袈裟に敬礼するミサト。そのやりとりに、一同は笑い顔を見せる。 「でも私、ちょっと残念です」 やや俯いて言うのは、洞木ヒカリだった。 「私、今日は凄く楽しみだったんです。綾波さんに会えると思っていたから。私、中学校時代は綾波さんとあまり親しくはなかったけれど、今度はお友達になりたいなって思っていたんです」 「でも、全部偽物だったなんて……」 そうしてヒカリは、哀しそうな笑いを見せる。 「大丈夫よ」 「みんなとこうして会えたんだもの、レイとだってきっと会えるわよ」 「ね、リツコ」 「そうね。レイの死亡は確認されていないし、きっと会えるわよ」 それは、皆の願い。 |