十五. きっと会える



 「まず、がっかりしないで聞いて。今まで皆さんに届いていたレイからのメールは、全て偽物です」
 言葉を失う皆。その表情を一通り見渡した後、リツコは続けた。
 「どうもおかしいと思って今、マギに問い合わせたの。マギ……というよりメルキオールね。最初は白を切っていたけれど、問い詰めたら白状したわ」
 一呼吸置いて。
 「そう、全部メルキオールの仕業だったの」
 「みんなも知ってのとおり、メルキオールは母親としての母さんがインプットされていたわ。そのメルキオールが、ちょっと親心を出しちゃったって事ね」

 「でも先輩、そんなことって有り得るんですか?」
 「理論的には有り得るわ。私も今までそういう可能性を考えはしなかったけれど、マギにはまだまだわからないこともたくさんあるって事ね」

 「でもリツコ、よくマギをゲロさせたわね」
 「簡単な事よ」
 「なに?」

 「第十一使徒の時に、マギの中に入ったでしょ?その時に見つけたの、母さんの落書きを。困ったときはこれを使えって書いてあったわ」
 「で、それをメルキオールに使ったわけね」
 「そう。流石に威力は抜群。メルキオールも大人しく白状したわ」
 「はぁ、さっすがは赤木リツコ博士。お見それしました」
 そういって、大袈裟に敬礼するミサト。そのやりとりに、一同は笑い顔を見せる。

 「でも私、ちょっと残念です」
 やや俯いて言うのは、洞木ヒカリだった。
 「私、今日は凄く楽しみだったんです。綾波さんに会えると思っていたから。私、中学校時代は綾波さんとあまり親しくはなかったけれど、今度はお友達になりたいなって思っていたんです」
 「でも、全部偽物だったなんて……」
 そうしてヒカリは、哀しそうな笑いを見せる。

 「大丈夫よ」
 「みんなとこうして会えたんだもの、レイとだってきっと会えるわよ」

 「ね、リツコ」
 「そうね。レイの死亡は確認されていないし、きっと会えるわよ」

 それは、皆の願い。




十六. ケータイ




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