<旧車シリーズ 827>


MAZDA GA型


 
1931年にオート3輪製造へ参入して以来、生産台数を着実に伸ばし、業界での地位を築きつつあった東洋工業は、1936年には三菱商事との販売契約を打ち切り、独自の販売網を構築するに至った。そして1938年4月、新販売網での期待のニューモデルとして登場したのが、KC型の後継となるGA型である。GA型は計器盤を緑色に塗装したことから、グリーン・パネルという愛称で呼ばれた。
 従来のK型シリーズからの主な変更点は、エンジン排気量が654ccから669ccへ拡大し、最高出力が13.2psから13.7psへ向上したことと、最大積載量が400kgから500kgへアップしたこと、そして、トランスミッションが3速から4速へ進化したことである。これは戦時体制の強化により燃料入手が困難になることに対応した燃費改善策であった。事実、のちにガソリンの民間供給がストップすると、東洋工業は代替燃料用のエンジン開発を進め、木炭ガスやアセチレンガス発生装置まで完成させている。1940年代に入ると、東洋工業は戦況の悪化から再び軍需品の生産に大きくシフトせざるを得ず、GA型オート3輪の生産は年々減少していった。しかし、終戦後には早くも1945年12月から本格生産を再開、GA型は戦前・戦後を生き抜いたロングライフモデルとなった。


 
発売当時のGA型トラックの写真資料を見ると、フロントフォーク先端部にカタカナで「グリーンパネル」という刻印文字が見られますが、写真の戦後版GA型にその文字はありません。おそらくは戦中から戦後にかけ、コストダウンのために省略されてしまったものと思われますが、このGA型が激動の時代を生き抜いたことを如実に物語っています。ちなみに現車の計器盤にはグリーンの塗装は施されていませんでした・・・。

推定年式:1949
撮影時期:2003年4月
撮影場所:広島県福山市北吉津町 福山時計自動車博物館にて