<旧車シリーズ 814>


MAZDA GLTB型


 
インダストリアルデザイナーの採用でオート3輪のデザインに新風を吹き込んだ東洋工業は、1954年秋に全車をモデルチェンジし、750kg積みのGDZA型、1トン積みのCLY型、2トン積みのCHTA型ともに全て共通の外観デザインとなった。2灯式のヘッドランプや曲面ガラスのサイドウィンドゥを採用し、「近代感覚のフロントカバー」と謳われた鋼製キャビンは、バーハンドルとして快適性を著しく向上させた。同時に全車セルモーターが装着された。
 750kg積みのGDZA型はその後、翌1955年秋にキャビンを小変更してサイドドアを装着、そして1956年秋からは、外観をほぼキープしたままGLTB型へモデルチェンジされた。単気筒OHVの701ccエンジンは、バルブ配列変更や回転排気弁の採用などで最高出力を22psにアップした。また、クロスメンバーやセンターフレームの形状を変更、荷台の板圧増大と形状変更と併せて、車体強度を大幅に向上させている。この時から1トン積み車が追加された。
 1957年秋にはフロントグリルのデザインを変更した'58年モデルが登場する。この最終型は新世代の丸ハンドル車(MAR型)登場後も暫く併売された。


 
東洋工業のオート3輪もこの頃になると、2灯式ヘッドランプの外郭形状や、そこからサイドに回り込むモールに代表されるように、1959年に登場する東洋工業オート3輪の集大成モデル・Tシリーズを連想させるデザインタッチが随所に垣間見えてきます。
 当時のシェア状況に反し、このGLTB型の現存車は極めて少ないのですが、それは裏を返せば、新世代モデルが持つ水冷エンジンや丸ハンドルといった機構の改善や、密閉キャビンがもたらす快適性の向上があまりに絶大であり、急速に淘汰が進んだということでしょうね。

推定年式:1958
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて