<旧車シリーズ 804>


GIANT CONY (AA27)


 
昭和22年から小型三輪トラックの「ヂャイアント号」を手掛けた愛知機械工業鰍フルーツは、かつて日本の5大航空機メーカーの一つに数えられた愛知航空機鰍ナある。現在は日産グループで企業活動している同社が、ミゼットの大ヒットによってもたらされた軽三輪車ブームに乗って1959年に発売したのが、「穴ウサギ」の意味を持つコニーである。
 コニーは空冷水平対向2気筒359ccのAE57型エンジン(最高出力16ps)をシート下に配置、乗車定員2名の鋼製キャビンを備えていた。丸ハンドルを採用、始動もセルモーター式で、油圧・速度・電流の3連メーターを設置するなど、軽三輪としては充実した装備が特徴である。また、フロントウィンドウをはじめとして平面を多用したボディスタイルと、「一つ目小僧」と形容される単灯のヘッドランプは極めて個性的である。
 1年目に6千台近くを生産する健闘を見せたコニーだが、発売翌年の1960年をもって生産を中止。やがて愛知機械工業は三輪自動車の生産からも完全撤退、軽4輪車メーカーへと転換を図ることになる。


 
資料によるとヂャイアント・コニーの総生産台数は7035台。凝った機構を随所に散りばめた愛知機械工業の意欲作といえるモデルでしたが、あまりにその生涯は短く、現存する個体はこの1台のみとも言われています。おそらくその販売の中心は東海地方だったものと思われますが、果たしてこの一つ目小僧が遠路遥々、中・四国や九州のオーナーの元にまで渡ったことがあったのか、いつまでも興味は尽きません。

推定年式:1959
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて