<旧車シリーズ 703>


CONY SUPER GUPPY (AF8S)


 
ヂャイアントという小型3輪を生産していた愛知機械工業は、1960年にコニー360で軽4輪市場に進出、そして翌1961年にグッピーという100kg積みピックアップを登場させた。
 グッピーは欧州ミニカーを模した屋根付きスクーターというコンセプトで、全長2565×全幅1265mm×全高1290mmというコンパクトサイズのボディに、フロントウィンドウを大きく寝かせた乗用車風のデザインを施した。新開発の空冷2サイクル単気筒199ccエンジン(最高出力11ps)を座席裏の床下に搭載し、RR駆動方式を採用した。トランスミッションは岡村製作所の前進1段/後退1段のトルコン式で、軽商用車では初採用となった。注目の最高速度は80km/hとされた。サスペンションも凝ったもので、Frがダブルウィッシュボーン&コイル、Rrはゴムスプリングにテレスコピックダンパーを組み合わせた4輪独立懸架式を奢る。タイヤは軽4輪トラック最小の8インチサイズをチョイスした。
 1962年にはデラックス版にあたるスーパーグッピーを追加。ドアウィンドウが上下スライド式となり、三角窓も設置されている。

 
このクルマは日本自動車博物館の展示車ですが、グッピーそのものは、復刻版カタログや旧車書籍等、資料上だけの存在となっていても全く不思議ではないレアなモデルです。トータルで5千台弱が生産されたと言われていますが、かくも綺麗な状態で展示保存され、今もなお実際に対面できるのは幸運というべきかもしれません。
 ちなみに、この当時はスクーターの免許で軽4輪自動車の運転ができたそうです。


推定年式:1961
撮影時期:1988年7月
撮影場所:石川県加賀市熊坂 日本自動車博物館・加賀会館にて