<旧車シリーズ 701>


DAIHATSU HIJET (L35)


 
ダイハツ初の軽4輪車として1960年に登場したハイゼット(L35型)は、頑丈なラダーフレーム構造をとりながら、ダブルウィッシュボーン式前輪独立懸架サスペンション、ボールスクリュー式ステアリング、前進3段シンクロメッシュのトランスミッションなどのメカニズムを搭載し「乗用車感覚」をアピールしたピックアップ型トラックであった パワーユニットは空冷2サイクル2気筒356ccのZL型で最高出力は17ps、最大積載量は350kgとされた。
 翌1961年にはライトバン(L35V型)を追加したほか、ボディ色の変更やメッキバンパー採用で外観の梃入れを行なった。そして1962年にはガソリンとオイルを自動混合するオイルマチック機構を日本で初めて採用する。オイルポンプをディストリビュータで駆動し、供給オイル量をスピードや負荷に応じて自動調整することで、オイル消費量を3分の1にまで大きく減少させている。同時に従来のフロアシフトをハンドルチェンジ式へ改めた。
 1963年には、このハイゼットのボディに水冷4気筒797ccエンジンを詰め込んだ小型貨物車「ニューライン」も登場している。


 国産軽トラ有数の長い歴史を持ち、今もなおキャリィとの熾烈なTOPシェア争いを繰り広げる老舗ブランド「ハイゼット」ですが、初代はとてもスタイリッシュなピックアップトラックでした。当時のライバルにはスズライトキャリィをはじめ、ヂャイアントコニー、マツダB360、ユニカー(ホープスター)、パドル等、個性的な軽トラック勢がいましたが、その殆どのブランドは早々に絶滅してしまい、旧車として残っているものも稀です。
 ちなみに1960年の発売当初は、型式名そのままのL35という名称だったようです。


推定年式:1963
撮影時期:1988年7月
撮影場所:富山県小矢部市芹川 日本自動車博物館にて