<旧車シリーズ 615>


MITSUBISHI DELICA (T100E)


 
350kg積の軽貨物車ミニカから10トン積み超の大型貨物車ふそうまで幅広く揃える三菱のトラック群の中に、1968年に加わったデリカトラックは、最大積載量600kgの小型トラックで、キャブオーバー型トラックとしてはキャンターの弟分にあたる存在である。
 ベースとなったのは500kg積みのコルトトラックで、心臓部には乗用車コルトで実績のあるKE44型・直列4気筒ハイカムシャフトエンジンを搭載した。1088ccの排気量から、最高出力62ps、最大トルク8.7kgmのスペックを誇った。前進4段のトランスミッションはオールシンクロタイプで、コラムシフトを採用したことと、サイドウィンドウを曲面タイプとすることにより、このクラスで初めての乗車定員3名を実現している。荷箱は低床一方開タイプと高床三方開タイプがあり、キャブトラックならではの荷台の広さを売りにしていた。
 翌年にはバリエーションとしてライトバン/ルートバンを追加。1971年には4G41型・1378ccエンジンに換装して「デリカ75」シリーズとなり、トラックの最大積載量が750kgに引き上げられた。

 
 
いかにも商用車らしく頑強そうな面構えのキャンターとは対照的に、デリカはどこか愛嬌があって親しみやすいイメージを持っています。当時のライトトラック勢も概ねそんなデザインをしていたので、小口配送を通じて街にとけ込みやすい雰囲気づくりを狙っていたのでしょう。
 ただ、当時のライバルには1000cc/600kg積や1200cc/750kg積が存在していたので、デリカも当初の1100cc/600kg積ではやや競合力に欠けたかもしれませんね・・・。


推定年式:1970
撮影時期:1981年12月
撮影場所:山口県徳山市築港町にて