<旧車シリーズ 301>


SUBARU R−2 (K12A)


 富士重工業が生んだ名車・スバル360の後継車として、1969年にデビューしたのがスバルR-2である。空冷2気筒エンジンをリアに搭載するRR駆動方式は踏襲されたが、より2BOX的となったスタイルと、三角窓を廃止してプレスドアを採用したニューボディで、先代のクラシカルなイメージは一掃された。同時にホイールベースを120mm延長して直進安定性を高め、フロントにトランクスペースを追加して実用性を向上させた。
 外観ほどの大きな変化こそないものの、メカニズムの改良は多岐にわたる。アルミヘッドを採用したエンジンは、リードバルブ追加により低速時の吹き返しを低減、標準仕様の最高出力が30psとなった。サスペンションはセミトレーリングアーム+トーションバーの4輪独立懸架に進化し、ブレーキは2リーディング式からL/T式に変更された。トランスミッションは4速フルシンクロとなり、最高速度は115km/hに達した。
 翌1970年にはSS(最高出力36ps)やスポーティDx(同32ps)の高性能モデルを追加、1971年には水冷エンジンシリーズも加わった。

 てんとう虫の愛称で12年間も親しまれたスバル360に比べると、このR-2の生涯は短く、1973年まで4年間生産されたに過ぎません。しかしこの間、エンジンは空冷式から水冷式へと進化し、ベーシック&スポーティの路線から一転して高級化志向へ進み始めるなど、スバルの軽乗用車が大きな変革の流れの中にあったことは確かです。そんな過渡期に登場したR-2は、創成期を支えたスバル360から新世代モデル・レックスへの橋渡し役を十分に果たしたといえると思います。

推定年式:1969
撮影時期:1986年3月
撮影場所:山口県徳山市千代田町にて