<旧車シリーズ 122>


ISUZU BELLETT Type−B 


 いすゞはノックダウン生産を続けたヒルマンミンクスの後継車として1500ccクラスの小型乗用車を開発し、1963年11月に発売した。そのネーミングは、ちょうど前年に発売したばかりの中型車ベレルの弟分として「べレット」と名付けられた。
 べレットはスポーティーな走りが身上の乗用車で
、ステアリングはいすゞ初のラック&ピニオン式を採用、サスペンションはクラス初の4輪独立懸架式を奢っていた。エンジンは水冷直列4気筒OHVの1471ccで、ヒルマン用エンジンのストロークを短縮したものである。また、いすゞらしく、1764ccのディーゼルエンジン搭載車もラインナップしていた。
 ベレットはその後エンジン/ボディのバリエーションを急速に拡大していくが、1966年11月には、それまでのスポーティー路線を一部変更、リアサスペンションをコイルスプリングを用いたダイアゴナルリンク式スイングアクスルから半楕円リーフリジッド式へと改め、マイルドな味付けとしたセダン・タイプBが追加された。タイプBは同時にホイールベースが30mm延長されたほか、異形2灯式ヘッドライトを採用し、リア周りのボディも独自のデザインとなっている。


 異形ランプを採用したこのフロントマスクは、後にベレットの大半の機種に展開されていくのですが、リアエンドを切り立てたタイプB特有の後ろ姿は、ベレット本来の「テール」と呼ぶに相応しい美しい台形フォルムとは似て非なるものになっています。このため、このクルマを初めて見た小学生の私は、べレットの仲間だとは気付かずに、ベレルかフローリアンの一種と思い込んでいました。
 スポーティーを売りとしていたべレットも、ファミリーカーとして考えると、コストのかかった切れ味鋭い足回りを敬遠するユーザーのことも無視できなかったのでしょうね。


推定年式:1967
撮影時期:1980年11月
撮影場所:山口県徳山市築港町にて