<旧車シリーズ 112>


AUSTIN A50 CAMBRIDGE Dx


 1953年5月、日産自動車は英国オースチン社との技術提携により、A40サマーセットのノックダウン生産を開始した。1954年にイギリス本国でA40サマーセットがA50ケンブリッジへモデルチェンジすると、同年12月には新型モデルに生産を移行、1955年1月から発売した。
 ボディはユニタリーコンストラクションと呼ばれる単体構造で、そのデザインは戦前型スタイルだったA40から大きく変貌を遂げた。直列4気筒のOHVエンジンは排気量を1198ccから1489ccに拡大、のちにデュアルキャブ仕様が登場し、ダットサンセダンにも展開された。フロントサスペンションは先代譲りのダブルウィッシュボーン/コイルとし快適な乗心地を実現している。吊下げ式のブレーキ&クラッチペダルを採用し、内外装の高級感と併せて、当時の国産乗用車の中で、高性能車の代表的存在であったのがこのA50である。
 1956年4月にはクロームのサイドモールディング付きのデラックスを追加した。


 端正なスタイリングに豪華なエンブレムやモール類を散りばめたA50は、現代ではかなり小柄なボディサイズに映りますが、それでも高級車の風格を十分に漂わせています。1959年末に生産中止した後は、待望の新型高級車セドリックがその座をしっかりと引き継ぎました。
 このハイフン無しの「山 5」ナンバーは、私がこれまで撮影した中では最古のものです。極上の車体外観とともに今も生き延びていて欲しいものですが、さていかに…。


推定年式:1957
撮影時期:1982年6月
撮影場所:山口県徳山市久米にて