2000年からの新活動
     (2001.5.23)

 「5分山RSVで47秒台を目指す」…

 走行会4年目突入を控えた4型RX−7・タイプRSに託した思いはどこへやら、2000年2月に迎えた車検を機に、私のサーキットマシンは、4型RX−7・タイプRSから5型RX−7・タイプRSへと変わりました。

TAKIYAMAさんと慣熟中(^^ゞ

 思い切った買い替えの理由はいろいろとありましたが、98年末から発売された5型RX−7の大きな変更点として、ついに280psに達した最高出力の数値とともに、サーキットユーザーのための配慮とも思える徹底したクーリング性能の改善が行われていたことがもっとも大きなポイントでした。このマイナーチェンジは、外観上の目新しさの演出を狙ったものではなく、機能的な領域で重点的に性能改善を織り込むという、きわめて良心的な姿勢が伺える改良であり、私はそのことに内心驚いていたくらいです。

 最新作・5型RX−7の進化した全開走行性能は、私にとっては間違いなく大きな魅力でした。それに加えて、約6万キロを走破して23回ものサーキット走行に供された私の4型RSで、過去の3年間よりももっと速い領域を目指していくことを考えると、熱害の防止やボディ剛性の向上などの追加対策がより重要となっていくほか、ブッシュなどの純正部品の個々の疲労も相当進んでいることから、下手をすれば現状のポテンシャルを維持していくのにさえ、相当の費用がかかることが十分に予想されたのです。

 さらにもうひとつ、別の大きな懸念もありました・・・。もしも私が、すっかり気心も知れたこの4型の相棒とともに、いつもの勝手知ったるサーキットで調子に乗り、おろし立ての5型の新車を大事に走らせているユーザーをズバズバと抜いちゃったりしたら…パドックの見物人にとって、NewRX−7の宣伝上とてもマズイ絵柄かな、とも思ったわけです(爆)。



ノーマル戦士の誕生

かくして突如、5型RSでのサーキット走行活動は始まりました。何せ急な決断ゆえ、サーキット走行用に新しいパーツを買い揃える予算などどこにもありません。4型マシンからの走りに関するパーツの移植はごく僅かで、デジタルスピードメーター、ショートストロークシフト、セミバケットシート&4点シートベルトといったところ。つまりは当然の流れとして、エンジンやマフラーはもちろん、スプリング&ショックに至るまでフルノーマル仕様のままで、2000年のサーキット走行会に参加していくことになったわけです。

 正直、私も最初はやや無謀な判断かとも思いました。久しぶりに経験することになる大きなロールやピッチに果たして自分は対処し切れるのだろうか? ・・・仮に対応できたとしてもガッカリするような凡タイムしか出せないのでは???
 しかし、いろいろ考えていくと、5型のノーマル車による新たなアプローチも、これはこれで十分意味があることに気付いてきたのでした。

黄色いショックと紺色スタビ(←内緒)  ’99年の1月、登場したばかりの5型RX−7のタイプRSに初めて試乗したとき、BILSTEINダンパーの採用を軸にした「しなやかな足回り」は私に大きな感動を与えました。
 それでいて、サーキットでの限界走行にも十分に耐えうる足であり、さらに、連続タイムアタックを可能にする優れた冷却性能も持ち合わせていることも、ベストモータリング等を見て次第に明らかになっていきました。これは毎回のように熱ダレと戦っていた私にとって本当に衝撃的な事実でした。
 少なくとも、過去のRX−7とは一線を画したモデルであることを強烈に印象付け、5型RX−7のノーマル状態での戦闘力の高さは、もはや実証されたも同然でした。

また、ふと振り返れば、フルノーマル状態の4型RX−7で走っていた’97〜’98の2年間。これは同時に、私にとってFR初体験のドキドキの2年間でもあったわけです。
 曲がりなりにもFR生活4年目を迎えた今、この間の自分の「進歩」を測ってみるために、今一度ノーマルのマシンで限界走行を試してみようと考えても、決しておかしくはないでしょう。ましてや5型RX−7はそれに応えられる十分なポテンシャルを備えているのですから!




ノーマルだからできること

断っておきますが、別に私は昔から「ノーマル仕様でサーキットを走る」などという特別な哲学を持っていたわけではありません(笑)。エチュードやランティス時代はむしろ逆で、パーツの選択肢がある限りはいろいろと足回りや吸排気関連のパーツを交換し、コンマ1秒でも速くなるように必死に手を入れていたものです。

 しかし、この考え方はマシンがRX−7に代わって大きく方向転換しました。

 4型RSでは、結局3年間サーキットを走り続け、最終的にはMAZDASPEEDの車高調整式サスペンションとスポーツサウンドマフラーを装着するまでに至りましたが、これらのパーツを導入した経緯といえば、度重なるサーキット走行によって消耗(または破損)した純正部品に替え、大好きなブランドであるMAZDASPEED製のものをチョイスしたに過ぎないのです。決して昔のように、タイムアップを狙うばかりに、「まだまだ使えるパーツ」を無理矢理剥ぎ取っていたわけではなかったのです。

MSパーツで固めた3年目のMINE


 では何が一体こうした心境の変化をもたらしたのでしょうか。…それは、RX−7の購入とともに初めて私が踏み入れることになった
「FRの世界」との衝撃的な出会いにほかならないのです。

 1997年4月、ついに手に入れた「憧れのロータリーマシン」で初めて参加したサーキット走行会はMINEでした。ここで私は、途中から振り出した雨によっていきなり「FRの洗礼」を受け、1コーナー通過中のクリッピング付近で思いっきり、一回転の大スピンを喫してしまったのです。それも、自分でも悲しくなるくらい無抵抗に、全くなすすべもなく・・・。
 「なぜ?」 「どうして?」 「一体どう対処するべきだったのか?」 と、すぐさま様々な疑問が渦巻く結果となり、このことは、今まで自分の知らなかった領域、まだ経験していないドライビング領域が山ほど隠されているという事実を思い知らされるのに十分過ぎる出来事だったのです。

 「FR恐るべし…」 一瞬私を襲った恐怖感は、かつてFFマシンで培った自信と巧く作用し合い、それを克服するための闘志へと変わりました。これからコイツと真剣に対峙して、一からしっかりとFRマシンの挙動を理解していかないことには、これを乗りこなして速く走るなんて一生できないぞ! …この瞬間から、私のチューニングに対する意識は、遠い遠い隅へと追いやられていったのでした。



チユ−ニングは中途半端?

チューニングって、一旦手を染めるとキリがないのも事実です。今やRX−7でサーキット走行を楽しむユーザーは数多く、仮にブーストUPしてベストタイムがポンと2〜3秒短縮できたところで、それだけでRX−7ユーザーのTOPの座が獲れるわけではありません。エンジンパワーのみならず、サスペンション、ボディ、補機類までトータルで手を加えていけば、さらに4〜5秒、下手をすれば10秒近くも速いスペシャルマシンもザラにいるわけです。

 ですから、なまじ自分がそういうチューニングの世界に足を踏み入れてしまい、お金を湯水のごとくつぎ込んだ挙句に、やがてタイムが頭打ちになったとしましょう。その時、最後の最後に残ったタイムアップ阻害要因が自分の腕の未熟さだったとしたら、一体どんなに空しい気持ちになるでしょうか・・・。
 それならば、いっそ最初からノーマル(+α)でどこまで腕を磨いてタイム短縮できるかにチャレンジした方が面白いし、あとで他車とのタイム比較をするのも簡単で潔いと思ったわけです(笑)。私の場合、サーキットを走る目的はタイムそのものではなく、運転が上手くなることですから、最初から無駄にお金をかける必要はないと判断したのです。



私が走る特別な目的

 ついでにいえば、私が個人的にサーキット走行活動に励んでいる目的は、ドライビングの技術向上の他にもあと2つあります。
 そのひとつは、
サーキット走行会の啓蒙による一般道での暴走行為の撲滅。こう言うとやや大袈裟に聞こえますが、スポーツドライビングを好むドライバーの意識をサーキットへ向けることによって、無謀運転による事故削減に少しでも貢献できたらと思っています。

 そしてもうひとつが
「RX−7の速さ」(ロータリーの速さ)のアピールです。

 こうして、プロレーサーとはほど遠い未熟なスキルの私でも、試行錯誤の末、ノーマル車でまずまずの速さを見せることができるようになったとしたら、それはRX−7という量産車の
「基本性能の高さ」を物語る貴重な事例となり得るわけですから。
 もちろんこれは、さして手を加えずとも、操る楽しさと絶対的な速さが両立できているRX−7だからこそ可能となる芸当だと思うのです。少なくとも私の知る限りでは、RX−7のライバルと称される国産ハイパワー車で、ノーマルスペックのままサーキット走行を存分に楽しんでいるという人を見たことはありません…。

 どんなクルマだって、サーキット走行を目標にして、ある程度手を加えてやれば、そこそこの速さを手に入れることは可能です。世界各国のツーリングカーレースをちょっと見渡せば、量産版とは全く異なるイメージを被せられて活躍しているクルマを良く見かけるでしょう。この領域は紛れもないチューニングの世界ですから、結果を出すにはある程度の費用も必要になってくるでしょう。
 
 そんな冒険をしなくても恐ろしく速く走れるのが孤高のロータリーマシン・RX−7の美点のひとつであり、その事実を最も力強く実証できるステージは、決してワインディングやハイウェイではなく、ここサーキットであるということが、私の訴えたい思いなのです。

タ、タイヤが外れるぅ・・・?


私にできるアピール

今の私は、サーキットを走るにあたって、RX−7という、異常な程に「走り」の性能に注力してリリースされた高性能マシンに巡り合えたという幸運な状況にいるわけです。
 まずは、メーカーたるMAZDAが自信を持って世に送り出した素のスペックとしっかり向き合うことによって、このクルマに吹き込まれた開発思想や奥深い楽しみを味わうことができ、ひいてはメーカーの姿勢やポリシーをダイレクトに感じることができると思うのです。

 しかしその一方で、残念なことに、これほど素晴らしい走行性能を持ち、MAZDAのイメージを牽引できるくらいに存在価値のあるクルマでありながら、現行のRX−7は宣伝戦略上なぜか冷遇されたような扱いを受けていて、その勇姿をアピールするTV―CMひとつ流してもらえず、ごく一部の雑誌やビデオへ登場するに留まっているのです。これは悲しい現実としか形容できません。
 さらに、メーカーが高性能イメージをアピールするための常套手段である「モータースポーツ活動」にも、このRX−7は現在一切活用されていないのです。

 私は、その素晴らしい「実力」を知っている一人のRX−7オーナーとして、この状況を黙って指を咥えて見ているわけにはいかないと思い立ちました。
 素人の私でも、サーキット走行会でノーマルRX−7のポテンシャルを魅せ付けるような活躍が(少しでも)できたならば、それは、他の参加者や見学者から始まって友人・知人と知れ渡る、RX−7の地道なアピール活動につながるのではないかと考えたわけです。



現実的なアプローチ

と、ここまで「ノーマル」を主張する以上、本来ならばディーラー試乗車のようなフルノーマル仕様でサーキットに出没すべきなのですが(笑)、一応は個人所有のマイカーですから、少しくらい個性を主張したい気持ちもあります。(少しかどうかは判断しかねますが)

また、私は残念ながら、3点式シートベルトのままサーキットを縦横無尽にかっとんでしまうプロレーサーのようなドライビングセンスも持ち合わせていないのが実情ですので、4点式シートベルトやホールド性の良いバケットシートなど、最低限のドライビングアシスト部品は装着させてもらうことにします。それに、まだまだ下手な鉄砲ですから「数打つ」ことも必要ということで、自らの身を守り、周囲にも迷惑をかけないという意味で、連続高負荷走行に耐え得るブレーキPADのケアも必須メニューと考えます。

 あとはタイヤ。今やサーキット走行では常識的なアイテムである「Sタイヤ」を嫌い、未だに一般ラジアルものを装着しているのにも、一応の理由があります。
 それは、タイヤのグリップ向上だけでポンッとタイムを短縮することへの抵抗感もさることながら、あくまで純正装着タイヤのグリップレベルをベースにしているノーマルの足回りのチューニングバランスを、極端なハイグリップタイヤの装着で崩してしまっては元も子もない、と考えるためです。

 ただ、個人的なブランド信仰により、シリカ配合の
純正ポテンザを捨て、わざわざDUNLOPに履き換えるという暴挙にも出ておりますが・・・(笑)。
ご存知、超コントローラブルなFM901!


経過報告その1
 (2001.5.23)

以上のようなポリシーで、これまでパーツ交換は最小限の範囲にとどめて、ノーマルの「エンジン&マフラー&サス」と共に、1年余りサーキット走行活動を続けてきましたが、実感として、まだまだ5型ノーマルRX−7のポテンシャルを味わい尽くせていない、というのが正直なところです。

基本的にすべては私の腕の未熟さに起因しているのですが、例えば本格的なバケットシートを採用して、もっとクルマの挙動をダイレクトに感じることができれば・・・、あるいは、タイヤ圧セットを工夫して自分の走り方(=調子の上がり方)に合わせ込むことができれば・・・と、まだまだ「秒」単位でタイムUPの余地が残されている気がしています。

★MINEサーキットのBESTタイムの変遷★
4型RS5型RS
4型RX−7
タイプRS
(265PS)
主な追加仕様 5型RX−7
タイプRS
(280PS)
1’53.90
(97/4/28)
なし
(MINE初走行)
1’49.08
(00/4/23)
1’51.39
(97/9/21)
なし 1’49.08
(00/4/23)
強化スタビ 1’48.34
(00/6/25)
強化スタビ
RSV98spec
1’47.29
(00/12/10)
1’50.21
(98/8/30)
MS車高調
1’49.15
(99/8/29)
MS車高調
MSマフラー
1’47.69
(99/12/12)
MS車高調
MSマフラー
強化スタビ
RSV98spec


目標タイム宣言
(2001.6.5 追加)

昨年11月、SF広島主催のTIサーキット走行会に参加した際に、ほぼフルノーマルの5型RSでデモ走行をされたマツダの開発者の方がおられたので、私はここぞとばかり、ズバリ限界タイムについてお聞きしました。
 その方の回答は
「ブレーキPADを強化すれば、Sタイヤなら48秒フラットはいけるはず・・・」というもので、「普通のラジアルだったら2〜3秒落ちでしょうね」とも付け加えられました。

 この貴重な証言に、今や私の周囲のサーキット仲間の間で定説となりつつある
「MINE⇔TI4.5秒差ルール」を加味して、今回私は自分のノーマル5型RSでの目標タイムを、以下のように設定したのです。

TI英田 : 1分51秒0

 
●MINE : 1分46秒0

  (いずれも想定気温は15℃前後)

これでいくと、2001年5月現在、目標値とのタイムギャップは、TI英田が1秒1MINEが1秒3ということになります。

 厳密にいえば、5型RS純正の
POTENZA・S−07と私の愛用しているRSV98specのグリップ差なども細かく考慮して決定すべきなのですが、正直どちらのタイヤが優れているか判ったもんじゃありませんし(笑)、ひとまず挑戦目標タイムとしては悪くないものだと考えています。

 今後はドライビングでいかにこのギャップを削り取っていくかです。しかも、一発だけではなく、安定して好タイムをマークできなければ意味がありません・・・。

 あとはひたすら精進あるのみ???



 と同時に、この5型RSもいつしか走行会出場歴が10回を超え、徐々にトラブルフリーではなくなってきたことも事実です。
 その一番の例が「熱ダレ」。5型でサーキット走行を開始したばかりの頃は、気温の高い過酷な条件下でも、何の苦もなく連続全開走行をこなしてくれ、4型とは比較にならないくらいの「タフネスさ」には本当に驚愕したものでした。しかし、半年が経過した1年目の秋頃から、少しずつ全開走行中のパワーダウン現象が発生するようになり、ドライバーが調子に乗ってくるとクルマの機嫌が逆に悪くなっていくという、あの4型の悪夢のパターンにハマリつつあります。
 ただ、総走行距離も2万キロに近付き、お世辞にも「新車」とは言えないクルマとなりつつあるのも事実で、純正パーツの消耗や劣化等が原因ということも十分に考えられます。今後は消耗部品を早めに交換していくなど、まずは基本性能の維持に立ち戻ったケアから対策を開始したいと考えています。
 その上で、問題の解決が一向に捗らなかったり、サーキットユーザー視点での新たな指摘や要望が生まれたりすれば、これを貴重な「ユーザー情報」として、RX−7を生み出してくれたMAZDAの開発陣に、エールと共に届けていきたいと思っています。


 皆さんも、もしもサーキットで激走するノーマルチックな赤い5型を見かけたら、
「ノーマル」、「RX−7」、「ロータリー」・・・、いろんな視点でその走りとやらに注目してやってくださいね、ZEHI!!

 外観はノーマルチックとは言い難い???




経過報告その2 (2001.12.30)

こうして高らかに「ノーマル戦士」を謳った直後に、私の5型RSは早くも若干の路線変更を強いられることになりました。
 きっかけは2001年5月に行なったNewタイヤの導入。そのブランドは、これまで4型RS時代も含めて幾度か中古品を装着した経験のあるDUNLOP・
RSV98specでした。ご存知のようにDUNLOPのスポーツタイヤ(Sタイヤ除く)の最高峰モデルにあたります。
 5/13からMINE→TI→MINEと3週連続で予定していた「連戦」に向け、
ノーマルショック&ノーマルスプリング+強化スタビの足にこの新品RSV98specの強力グリップを加えて、大幅なタイムアップを目論んだ私でしたが、この組み合わせは結果として思いもよらぬトラブルを引き起こすことになりました。
 

 まずは初戦となった5/13のMINE走行会。

 最初のコースイン直後から、Newタイヤの見違える程の強力グリップに気を良くしていたのも束の間、いざフリー走行が始まり周回を重ね始めた途端、タイトな最終コーナーを通過中に突然右リアから
「ボコッ」という大きな音が・・・。何か大きなタイヤカスでも跳ねたのかと思い、そのまま走行を続けてみたものの、クルマは突如バランスを欠き始め、強烈なアンダーステアを示し始めたのです。
 不審に思いPITに戻ってマシンチェックをしたところ、右リアの
コントロールリンクと呼ばれる部品が破損し、スタビが効かない状態となっていました。このリンクは、リアスタビライザーの先端をショックアブソーバー本体につなぐためのジョイント部品ですが、これがスタビの結合部からパックリと口を開け、ボールジョイント部に封入されていたグリスもすっかり抜けてしまっていたのです。

 私は今まで経験したことのなかった
部品破損にまず驚いたわけですが、実はこの時は、リアの接地性を少しでも上げようと、リアスタビをやや軟らかめのものに交換していました。この変更は(スタビのサス追従性を上げることで)スタビリンクへの負担を緩和するものと予想していましたが、実際には強力なタイヤグリップがもたらしたロール絶対量の著しい増加によって、リンクの可動範囲を超えるレベルの大きな力が加わったことを示していました。


 異変はさらに続き、次にトラブルが起きたのは翌月6/24のMINE走行会。

 この走行会では、5月の連戦でも見舞われた恒例の「
熱ダレ」対策として、MAZDASPEEDから発売されたローテンプサーモスタットの導入とともにLLCも一新。水温上昇の先送り策と、ドライバーの徹底的な温度ケアによりパワーダウン症状を完全回避し、久々の47秒台を記録。熱対策にも一応の成果が見られた矢先でした。
 ところが、走行を終え帰途に着くと、フロント部からの異音発生に気付きました。路面の小突起を乗り超えるたびにキコキコと右フロント部が音を立てています。クルマを停め簡単に点検してみましたが、締結部分に問題はなくガタ付きもありません。経験上スタビ廻りも疑ってみましたが、ダンパー本体への固定も問題ないように見えました。
 しかし、後日ディーラーに持ち込み詳しく点検してもらったところ、なんと
右フロントスタビブラケット紛失しているとの報告・・・。今度は、フロントスタビライザーをボディに直接固定するための部品が破損し、まるごと姿を消していたのです。


 この相次ぐ足廻り部品の破損は私にとって大きな衝撃でした。
 新品のRSV98specは、たしかに過去装着したRSVやFM901、そして中古のRSV98specとは一線を画す強烈なグリップを発揮していました。しかし、その結果、従来よりも大きいロールが発生しようとするのを、強化スタビライザーが強引に抑えにかかるため、その間に介在する支持部品に多大なストレスが加わり、装着後僅か1ヶ月の間で、過去経験したことのないスタビリンク&スタビブッシュ破損という事態が連続して発生したのです。 
 私は3年ぶりにエントリーした
鈴鹿走行会を直後の7/12に控え、ひとつの決断を迫られました。鈴鹿サーキットは、普段走行しているMINEやTIに比べて中速/高速コーナーが圧倒的に多く、より高い旋回Gが加わると予想されます。ここでまたしてもブッシュ類が突然破損するようなことがあれば危険極まりありませんし、だいいち常にそんな不安を抱きながらでは折角の走行を楽しむこともできません。


 
とにかく現行の純正サスよりも少しでも固い足としておかねば・・・

 その一心で、私は5型のノーマル部品をまたひとつ捨てて、4型RSに98年から装着していた、使い古しの
MAZDASPEED車高調ユニットを引っ張り出すことに決めたのです。

  この車高調ユニットは元々SOFTな「乗り心地重視」のサスであることに加え、度重なる走行会での酷使でとっくに減衰力も抜けていましたが、少なくともロール絶対量の抑制には有効であると判断したのです。
 もっとも、3年前にRSVを装着して鈴鹿を走行した時も、高速ダンロップコーナーではすでにフルバンプして底付きしていたので、依然危険であることには変わりないのですが・・・。

 こうして、自宅の玄関先で1年半眠っていた青い中古ユニットを5型RSへ緊急装着したのですが、なぜか車高がベタベタに下がってしまいました。新品時でマイナス20ミリという仕様でしたが、4型RS時代に走行会を重ねる度に車高が落ちていったことを思い出し、調整可能な範囲で目一杯車高を上げてもらい、どうにかノーマル比マイナス15ミリ前後で落ち着きました。ただ、4段調整式の減衰力はフルHARDにセットしても引き締まり感はありません。
 バネ定数の増加によりロールやピッチングの絶対値が抑制されることは、ドライバーの操縦性に大きく寄与するものと思われますが、5型純正サスの優れたトラクション性能を考え併せると、実は今回のサス交換がノーマルに比べてポテンシャルアップに値するかは何とも言えないところです・・・。

 その結果も含めて、経過報告・その3で検証してみましょう。(つづく)




経過報告その3 (2003.2.5)

安全策としてサス交換をして臨んだ3年ぶりの鈴鹿走行会は、密かに大幅なタイムアップを目論んでいたものの、マシンの挙動に手を焼き、僅か2秒のタイムアップに留まる結果となりました。 

 3速→4速と加速しつつ大きく左に弧を描くダンロップコーナー。ここでのフルバンプ現象は、狙い通り(?)予測の範囲内で何とか収拾がつき、こうして無事生還できているわけですが(笑)、なんとタイヤ空気圧計を忘れるという凡ミスをし、イニシャルの空気圧もわからないままスタート。マシンは数周もすると強いオーバーステアに見舞われ始めました。それはコーナー立ち上がりのアクセルオン時のみならず、ターンイン時にもリアが急激に流れ出す始末で、中・高速コーナーの多い鈴鹿では相当怖い思いをしました。5速→4速にシフトダウンして入る130R入口でカウンターをあてる場面も・・・。
 しかし、1セッションのみ(約50分)の走行枠では、途中でセッティングを変える時間的余裕もなく、この扱いづらい挙動の原因がサスバランスに起因するものか、タイヤの空気圧上昇によるものかは、結局判断がつかず終いでした。

 バラエティ豊かなコーナーで構成され、前後・左右あらゆる方向のGを感じながらのステアリング操作が要求される鈴鹿。
体をしっかり支えるバケットシートされあればもっともっと走行をエンジョイできたのに・・・他のサーキット以上にそう感じた鈴鹿遠征でした。

暑い暑い鈴鹿でした・・・(+_+)


 4型時代にサーキットで酷使したMS車高調サスは、車高を上限に設定しても実用に耐えるギリギリまで落ちており、4段階の減衰調整は変えても殆ど違いがわからないほど疲労が進んでいましたが、ノーマルサスに比べ多少なりともロールが減っていることは事実であり、先のブッシュ破損防止のために有効であることは確認できました。
 次回の走行では正確な空気圧調整をして、そのパフォーマンスを明かさなければなりません。
(つづく)