'00 MAZDA RX-7 Type-RS

全開!違い???

 

 1998年の12月にマイナーチェンジし通称5型となったRX−7。このチェンジはまさに、サーキットユーザーのための改良といっても過言ではなく、その中心は弱点だったエンジンのクーリング対策と、さらなるパワーアップへと向けられています。フロントの開口部面積は旧型(4型)比でじつにラジエター2.1倍、インタークーラー1.8倍、オイルクーラー1.75倍と、出力の15馬力アップ分を補って余りあるほどの冷却性能です。
 エンジンや冷却系がノーマル状態だった私の4型・タイプRSでは、サーキットでの全開走行は連続2周が精一杯だったため随分と歯がゆい思いをしたものですから、この効果には期待をせずにはいられないというものです。
 その他にも、ビルシュタイン製ダンパーと強化Frスタビライザーの採用でリフレッシュした足回りや、ダウンフォースバランスの味付けが変更できる可変式リアスポイラ−も、サーキットで得られる走りの楽しみをより一層広げてくれるアイテムです。

 いよいよNewRX−7でのサーキット巡業の始まりですが、まずはブレーキPADなど最小限のモディファイでサーキットに持ち込み、ノーマル状態でのRX−7の「進化」の度合いをジックリと味わってみたいと思います。

 この3年間での自分自身の「進化」も確認するために…。



◆’00/10追記◆
 4月にMINEサーキットでデビューを果たし、10月までで計6回、この新しいRX−7で走行会に出場しました。その間クルマは基本的にノーマルで、変更パーツは消耗品である
ブレーキPADエンジンプラグ、そしてスタビライザーを社外品に換装したくらいです。あとは4型RX−7の名残でマツダスピードのスポーツシートクイックシフトが移植してある程度。

 この仕様でのMINEのベストタイムが、6月末に記録した
1分48秒3です。ちなみに私のパーソナルベストは4型タイプRS(+SSマフラー&MS車高調&RSV98スペック)で昨年の冬に記録した1分47秒6ですが、約3年前に現在とほぼ同じノーマル状態で記録したタイムが1分51秒4ですから、この大きなタイム差は、私自身のスキルアップ分を差し引いたとしても、5型タイプRSが格段に進化したことの証明といえるでしょう。では何が違うのか・・・。

 もっとも顕著な変化は
クーリング性能の向上でしょう。全開走行を何周続けてもパワーがきちんと持続します。4型では油温が急上昇し大幅なパワーダウンに見舞われたような場面でもほとんど問題なく、むしろドライバーの集中力・スタミナの方が大いに問われます(笑)。何せ気温の高い6月にベストタイムが出るくらいですから。
 15psUPしたパワー自体に劇的な印象はありませんが、経時変化が最小限であることは連続周回時の大きなアドバンテージといえます。
 もうひとつ、5型のRSとRに採用された
燃欠対策タンクの効果も抜群です。4型ではハーフタンクくらいになると、MINEの第1ヘアピン立ち上がり(TIではWヘアピン1つ目)の全開加速で必ず燃欠症状が発生していましたが、これが皆無になったどころか、なんとMINEでは完全に「Empty」になるまで走れました。(4型ではトップグレードRZのみの装備)

 次に足回り。初めて経験するビルシュタインのダンパーは、街乗りでのしなやかさには定評がありますが、意外なことにサーキットでも十分なトラクション性能を発揮してくれるのです。さすがにロール量は小さくありませんが、急激なトラクション抜けがなくしっかりと粘ってくれるので、立ち上がりのアクセル操作にも気持ち良く反応してくれます。
 その一方で、ターンイン時にはアンダーステア傾向が目立ち、クルマの向きを変えるのにやや大きめのステア操作を要したのも事実です。そこで、ロール抑制も兼ねて前後のスタビライザーを4型に装着していたtanabeの強化品に換えたところ、状況は一転し、逆に弱オーバー傾向を示すほどに変貌しました。しかし、装着タイヤがコントロール性に定評のある
ダンロップ・FM901で挙動がとても把握し易いので、クルマの扱い易さは未だに健在です。

 可変式となった
リアスポイラーは中・高速コーナーでは俄然威力を発揮します。現在は速度域の高いMINEの1コーナー立ち上がりのオーバーステアを解消する目的で、全4段中の最大角セットにして空力で抑え付ける対策を採っていますが、今後足回りのセットを改善してリアのメカニカルクリップを高められれば、路面状況やコースの性格に応じて、残り3段の各ダウンフォース量も有効活用して走行できるはずです。
 ブレーキ性能には目立った変化はありませんが、280psを発揮する13B−REWエンジンの高回転域の伸びの良さを反映してストレートエンドの速度が上がったため、従来愛用していたスポーツPADでは絶対的な制動力に不安を感じるほどでした。

 これまでを総括すると、とにかくドライバーに余計な心配を一切させることなく、ドライビングに集中して思いっきり全開走行を続けることを可能にしているのが、この5型タイプRSの最大の特徴であり美点であると私は思います。私は多くの走行会参加者に反して、相変わらず一般のスポーツラジアルを愛用していますが、装着タイヤも含めて当面は大掛かりなパーツ交換をする予定はありません。
 しばらくはこの高次元でバランスされたノーマルのポテンシャルを崩さずに、自分自身の腕をドンドン磨いていこうと思います。(^^)

 

マツダRX−7タイプRS (2000年10月現在)
TYRE DUNLOP FM901
BRAKE PAD AutoExe Competition Pad
STABILIZER tanabe
SEAT MAZDASPEED Sports Seat Type-F
SHIFT MAZDASPEED Sports Shifter
ENGINE PLUG NGK RACING (#10&#11)
PLUG CODE NGK Power Cable

 

RX−7主要諸元 ('00 Type-RS)
ENGINE : 13B-REW (654x2cc)
MAX POWER : 280ps/6500rpm
MAX TORQUE : 32.0kgm/5000rpm
DIMENSION : 4280x1760x1230mm
WHEELBASE : 2425mm