復帰しました!

第1戦:MINE 8/29/1999)

復帰宣言から約2ヶ月後、パーツをコツコツとリニューアルしたマイFD3Sは、1998年12月のTIサーキット英田以来という、9ヶ月ぶりのサーキット復帰を無事果たしました。

シケイン立ち上がり(アクセル踏めてるでしょ?)
〜’99年8月29日 MINEサーキットにて〜
(Photo by Mr.Ohara.....thanks !)

 復帰ステージは、いつもペースカードライバーとして参加している、LEAD主催のMINE走行会を選びました。
 やはり、気心の知れたスタッフに囲まれて「安心して」復帰戦を迎えたかったもので…。スタッフの皆さん、ワガママ言ってスミマセン! 今回、マジョーラFDはロードスターレースに参戦中の西岡選手が担当してくださいました。
 全部で30台弱の参加があったBクラスでしたが、全4回の走行枠をほんとうに目一杯楽しませてもらいました。


 たくさんのFD3Sが私の「復帰戦」を歓迎してくれたかのようです。今回は約20台ものRX−7が参加していました。観戦者には「RX−7走行会」と映ったらしい。
 しかし、灼熱の日差しまでもが迎えてくれるとは…。皆さんフリー走行中に合間を見てせっせとクーリング走行に励んでおられました。 私はあまり気にせずガンガン走ってしまいましたが…。
 今回の大きなモディファイポイントのひとつがコレ。
「THANKS! MAZDASPEED」のメッセージ。(ややピンボケですが)

 ル・マンチャレンジを始めとする様々なレース活動を通じて、我々ファンに大きな夢や感動を与えてくれた、これまでのマツダスピードの活動に対する感謝の気持ちです。
 一日も早く、再びモータースポーツの最前線に戻ってきてくれることを期待しつつ、そのチャレンジングスピリットを心に刻んで走りたいと思います。
 その想いをこのメッセージに込めてみました!

 

 さて、結果的には猛暑という悪コンディションながらも、ちょうど1年前に記録した自己BESTタイム(1’50”21)を1秒上回る1’49”15を記録することができました。これは主に、マフラー交換による中低速のパワー感UPと、今年ずっと務めてきたペースカードライブで身に付けたドライビングの上達によるものと分析しています。
…が、いつものマジョーラFDと比べて、クルマの元スペックはもちろん、サスペンションやマフラー等の交換パーツの大半が同じ仕様(=MAZDASPEED製)なのに、自分自身のBESTタイムのこの差はイッタイ何?

 

マジョーラFD マイFD Difference
1’47”801 (7/18) 1’49”155 (8/30) +1”354

 

 というわけで、タイム更新に喜ぶのも束の間、この原因を早急に探っていくことに…。
(つづく)


タイム差1秒3の謎  

 基本的には同じ年式、同じパワー、同じ足回りのこの2台のマシン。乗り込んだドライバーもこれまた同じ。そこで1秒3ものタイム差が生まれる原因を探るために、まずは双方のマシンの仕様の違いを事細かに挙げていくことにしました。

<2車の仕様の相違点>

マジョーラFD   マイFD
YOKOHAMA
M7R
TYRE DUNLOP
FORMULA・RSV
MAZDASPEED
MS‐02
WHEEL 純正
(高圧鋳造)
RAM’S
GP−4
BRAKE
PAD
WINMAX
Quest‐γ
FINA BRAKE
FLUID
CCI
MAZDASPEED
バックスキン
STEERING
WHEEL
ノーマル
(エアバッグ付)
SABELT SEATBELT TAKATA
FINA
FIRST
ENGINE
OIL
SPEEDMASTER
PRO‐RACING
純正 ENGINE
PLUG
NGK
RacingPlug
MAZDASPEED PLUG
CODE
NGK
POWERCABLE
MAZDASPEED CLUTCH 純正
MAZDASPEED
Type‐15th
AERO
PARTS
純正
(Type−RS)
<共通仕様>

・車高調サスユニット
・スポーツサウンドマフラー・タイプ2
・エアフィルター
・スポーツシート・タイプF
・スポーツシフター
 (以上MAZDASPEED)

・ミッションオイル(FINA)

・17インチブレーキシステム
・4.3ファイナルギア


 …とまあ、予想通り装着パーツには大きな違いはありません。マジョーラFDはタイプ15thのフルエアロを組んでいるため空力性能は優れているはずですが、MINEは空力効果の大きい高速コーナーがなく、低速コーナー中心のサーキットです。さらに、タイプ15thエアロはローダウンフォース指向のキットで、高速域での車速の伸びを狙ったものなのに、マジョーラFDは肝心の高回転域でのエンジンの伸びが今一歩であることから、そのアドバンテージは帳消しになっている可能性さえあります。


私のドライビングでMINE左30Rを通過中…
※マジョーラFDは4月(18インチ装着時)の写真です


 このままだと謎はますます深まっていきそうですが、実はここに、対比表には表れない両車の微妙な「
フィーリングの違い」があるのです。これらを思い付くままに書き出してみると、
 1. 立ち上がりのトラクションはマジョーラFDが優れている
 
2. 高回転域の伸びはマイFDの方が優れている(前述)
 3. ボディの剛性感は
マジョーラFDの方が格段に優れている
 
4. マイFDは2速から3速へのシフトアップが渋い
 
5. 車高はマジョーラFDの方が低く、サスストロークも少なめ
 ここで私がとくに注目したのがです。なかでも、走行距離5万キロを超えたマイFDと1万キロ未満のマジョーラFDとではボディ剛性の違いが明らかなのです。

 じつは、当初マジョーラFDにはリアのロールバー補強が施されていたのですが、前後のボディ剛性バランスに違和感があったので、スタッフにお願いして4月の走行会からは外してもらっていました。しかし、それを差し引いても、両車には歴然とした剛性感の差があるのです。

 この結果、ターンインでのステアリング操作に敏感に反応し、速やかにヨーモーメントが発生する
マジョーラFDに対し、気持ちワンテンポ遅れてグラッと大きく反応してしまうのがマイFDなのです。この、一言でいえば「節度感のない」挙動が、ブレーキやアクセルそしてステアリング操作で前後左右に荷重移動を起こした瞬間には必ず顔を見せてしまいます。
 両車を同時に乗り比べるとよくわかるのですが、「気持ちよく」「楽に」タイムの出せるマジョーラFDに対し、マイFDではタイムアタック時はとても神経をすり減らしてしまいます。

何かが違うんだよなぁ…

 個々の装着パーツの違いこそあれ、こうした「快適性能」がドライバーの心理に微妙に影響してしまい、結果としてタイム差を生む一番大きな要因になっている、というのが今回私の導き出した結論です。

 まあ、そんな言い訳もドライバーが未熟といってしまえばそれまでで、一層の精進を重ねる所存ではありますが(笑)、その一方で今後、これを克服するクルマ造り、というのが大きなテーマになることは間違いのないところです。  (つづく)




謎が解けたかも…  (11/23/99 追記)

 …と、自分のFDの挙動がどうもシャキッとしない理由を「ボディ剛性の無さ」と結論付けた私ですが、先日ふと立ち寄ったLEAD(山口市)のお店で、ある重大な事実を発見したのです。(笑)

 生憎の雨の中、LEADのガレージでは週末のロードスター・フレッシュマンレース(11/28最終戦)に向けスタッフが車両の準備をしておられました。その傍らに、ジャッキアップされメンテナンスを受けているマジョーラFDがありました。

 「一年間、ホントによく頑張ってくれたなぁ…」などと思いながら、下から覗き込んでグルっと一回りしてみました。たまたま午前中にマイFDをジャッキアップしたばかりだったので、そこに装着されている見慣れない
緑色の棒に気付くのにそう時間はかかりませんでした。
 …そうです、どうしてこんな基本的なパーツのことを忘れていたのでしょう?(お恥ずかしい)

<2車の仕様の相違点(追加)

マジョーラFD   マイFD
MAZDASPEED
(F28.6/R17.5 中実)
STABILIZER 純正品
(F28.6/R15.9 中空)


 これなら両車のロールの度合いが違うのも納得できます。以前、ランティス・クーペに強化スタビを装着した時のフィーリングの変化を思い出しても合点がいきます。
 少しでもロールを伴なう加減速時にはその効果が明確になっているはずで、これを対策すれば、(ボディ剛性の差はあるとはいえ)両車の挙動はうんと近いものになるかもしれません。

 でも、次の走行会(TI)まではあと10日しかないゾ…。


 

その結果と考察  12/25/99 NEW!!


 あれこれと思いを巡らせた結果、いざ原因らしきものがつかめると、我慢していられないのが私の性分…。真っ先に装着を考えた
MAZDASPEED製スタビはリア用の在庫が無く渋々断念することになり、代わりにtanabeの強化スタビを入手し、今年の最終戦となる12/12のMINE走行会へ望むことになりました。


 カタログデータによれば、このスタビはFrで4割、Rrでは6割以上のねじり剛性UP(ノーマル比)であるとのこと。私の手計算によれば3割強の剛性UPに相当する(らしい)MAZDASPEED製に比べてかなり大きめの数値。とくに、フロントよりもリアが余計に強化されるため、クルマの前後バランスが一変することが考えられます。「スタビ替えるんだったらフロントだけで十分かもね…」という従野選手のアドバイスからしても、かなりピーキーなクルマに変貌してしまうことさえ予想されます。

 スタビを装着したのはTI走行会から帰還した翌日で、残念ながら街乗りでは(悲しいくらいに)装着前・後での挙動変化を感じ取ることができず、いきなりサーキットのコース上でそのフィーリングを試すことになりました。


 まずはその走行会でのタイムリザルトを…。
マジョーラFD マイFD Difference
1’47”801 (7/18) 1’47”685 (12/12) −0”126

 そうです、いきなりマイFD記録の
1.5秒もの更新は、マジョーラFDでの自己記録をも塗り替える快挙でした。やはりスタビ効果は抜群!と結論付けたいところですが、今回の仕様に関しては、8月に1’49”155を記録した時と比べ、スタビ以外にも大きく条件が異なっていることを付け加えなければなりません。

 

 その条件として最大のものは、普段愛用しているフォーミュラ・RSVに代えて、RSV・98specというハイグリップ仕様のタイヤを履いたことでしょう。新品ではなかったものの、DUNLOPの誇るSタイヤ(旧・D98J)と同じコンパウンドを採用したこのタイヤ、明らかに1レベル上のグリップを発揮していました。

 もうひとつ、私自身がFR3年目にしてようやくドライビングを変えたことにも触れるべきでしょう。曰く、「ブレーキを残したタ−ンイン」から「アクセルオンでのターンイン」へ。詳細はいつか別コーナーでじっくり激白するとして(笑)、従来の走り方を180度転換するこのビッグ・マイナーチェンジがもたらしたものは、格段に安定したコーナリング姿勢と、ひときわ高い旋回速度でした。

 私がこれまで勝手にタブーだと思い込み慎んでいた「進入時のアクセルオン」は、素早いコーナー旋回へのきわめて有効な手段となり、その結果、過去幾度となく露呈した進入時のアンダーステア傾向は瞬く間に解消し、マイFDは良く曲がるマシンへと変貌を遂げたのです。(つまり、ドライバーがアンダーだった)
 この傾向は、スタビ未交換状態でこの走り方にトライした前週のTI走行会で既に明確になっており、従来なら酷いアンダーステアを誘発したはずの
「前後ともフルHARD」のサスセッティングが、逆にややオーバーステア気味に感じられるほどでした。

 ちなみに気象条件は、気温
29.7℃だった8月の走行会に対し、今回はたったの11℃。ターボ車なら絶好のコンディション!となるはずですが、マイFDは最近慢性化しつつあるパワー不足症状に今回も見舞われてしまいました。そのため、ストレートエンドの最高速度は、過去最高を記録した8月の207km/hから一転して198km/hまで急降下。コーナーの脱出速度をRSV98specが押し上げていることを考え併せると、その深刻さは一層際立ちます。
 (ここの条件に限ってはイーブンorそれ以下ですね…)

 …と、ここまで条件の違いが明確になると、もはや「タイム」を軸にして強化スタビの導入効果を論じることは無意味でしょう。
 今回の大幅なタイムUPのウラには、まず、自分自身のドライビング・チェンジの成功があり、それが、フォーミュラRSV・98specの高いグリップ力を十分に生かす走りを可能にしたと言えるでしょう。
 
なぜなら、私は過去にマジョーラFDでグランプリM7RからTNR045に履き変えたのに、全くタイムUPできなかったという前歴があるのです。クリッピング付近までブレーキをダラダラ引き摺る昔のドライビングのままだったら、今回もきっと同じ結末を辿ったはずですから…。

 そこで最後に残るは、強化スタビ導入前・後での
フィーリングの違いです。が、結果的にマジョーラFDよりも固いスタビをチョイスしておきながら、ついにマジョーラFDほどの高い剛性感を感じ取ることはできませんでした。たしかにマイFD単独で見れば、剛性感の向上の跡はあるのですが…。
 ハイグリップなタイヤがロール抑制効果を帳消しにしたのか、それとも、ボディ剛性の差が両車の間であまりに決定的なのか…。

 それよりも印象に残ったのは、TIと同じくフルHARDのサスセッティングで臨んだ結果、マイFDがやや強めのオーバーステア傾向を示したことです。進入では気持ち良く向きを変えてくれるのですが、厄介だったのは立ち上がりのトラクションが今ひとつだったことで、MINEの1コーナー出口の3速全開では終始カウンターステアが必要なほどでした。もし再び同じ仕様でMINEを走る機会があれば、リアの減衰力を若干弱めて臨んだ方がよいかもしれません。(無事に帰還するために)
 


 こうして、マイFDには着実に変化が訪れているものの、それを操るドライバー自身も日々変化(=成長???)していることが、パーツ導入の効果をかなり曖昧なものにしてしまった、というのが正直なところです。もっとスタイルが完成されたドライバーなら、微妙な挙動変化も十分に感じ取れたのでしょうが…。

 ともあれ、私の来年の走行会の開幕戦は、従来通り
ノーマルRSVでのスタートとなる予定です。そのうちにタイヤ条件が揃ったリザルトを得られれば、きっと何らかの回答が導き出せるでしょう。
 8月末の復帰から僅か4ヶ月弱という、短い1999年シーズンでしたが、その間じつに多くの事を学び、また同時に多くの課題を発見することもできました。

 来年こそはZEHI「飛躍の年」にしたいものです。5分山のRSV(笑)で47秒台に突入することを、2000年(前半)のマイFDの目標とします!  (おわり)