4.千早 研
「もうこんな時間...」
片付けに夢中になってたあたしは、はっと窓の方を向く。
青紫色の空。
カメラを持って外へ出た。
この一眼レフは父からのおさがり。
自分はこんな重いものはもう時代遅れだと、
さっさと小さくて使いやすいデジタルカメラに乗り換えてしまった。
黒白写真を撮る時の露出の決め方もピントの合わせ方も、
高校時代に彼と一緒に学んだ。
研とは高1の時に初めて顔を合わせた。
部活動紹介の後の各部活ごとの集まりで。
研とは同じクラスじゃなかったので、この時が初対面だった。
やっと作った友達も、皆運動部に流れてしまって
小心者のあたしは、ゆっくりゆっくり写真部の方へ歩いていった。
初めて入った部活は、異様なほど歓迎された。
新入部員が2人だけだったのに。
あたしと、研と。
1年のあたし達は、いつも一緒に扱われた。
とにかく吸収することが多かった。
そしていつも横に研がいた。
04/08/24