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ゴールした瞬間のことは、よく覚えていない。

ゴールラインを越えた後、友達と先生が駆け寄ってきて
何か言ったけど、耳には入らなかった。

走り終わった途端、疲れが倍増した。
汗が次々と流れてくる。
体はガタガタだったけど、満足感でいっぱいだった。

私は、自分との約束を守った。
彼を追い越すまでにはいかなかったけど、彼に近づいた。
声を聞いた。

周りを見渡すと、すぐ近くに彼がいることに気づいた。
彼も、息を切らしながら友達と笑っていた。

その時、
ふと彼と目が合って、どちらがともなく
笑った。

なんだかそれだけで嬉しくなった。


閉会式の後、解散だったけれど
私は荷物を取りに行ってなかったので、教室に戻った。

すると、窓際に彼が立っていた。
さっきまでずっと見ていた後姿だった。

少し傾いた日が、窓に反射している。
教室は、黄色が強いオレンジ色だった。

教室に一歩足を踏み入れた。
そしてぎゅっと手をにぎって、声を出した。

「おつかれ。」

2004/3/23

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