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今日は、夏のような晴天だった。
走っていると次第に汗が流れてくる。
暑い。
今、どのくらい走ったんだろう。
だいぶ前の曲がり角で、女子とは別れた。
周りには、ちらほら男子が走っている。
あの人は、今どこにいるんだろう。
どこを走っているんだろう。
この景色はもう見たのかな。
気温は上がっていた。
道が暑さでゆがんで見える。
だんだんと息切れしてきた。
次の角を曲がると、道がずっとまっすぐになった。
うなだれようとする首を持ち上げた。
前を見ようと顔を上げた。
「...っ。」
少し遠くに、見覚えのある後姿。
彼が、前を走っている。
少しでも近づきたい。
あの後姿に少しでも近づきたい。
近づけたら
少し痛みが出てきた足を動かした。
さっきよりも速く。
速く。
速く。
自分の息遣いが聞こえる。
地面を蹴る音が響く。
周りは見えない。
見据えた先だけ。
彼の後姿が、私の前にある。
まだ少し遠いけど、間には誰もいなかった。
2004/3/23