ピーコ



そいつは突然やってくる。もちろんここでは「ユーレイピー」などと極めて一部で言われているあっしのことではなく、題名の通りスズメバチのことである。

スズメバチに刺されて死者が出たとのニュースは、毎年夏になると見聞きすることがあるのではないだろうか。日本では毎年40人前後の死亡者が出ているとのことであり、その数は年々増加傾向にあるとも聞く。死亡原因の殆どがアナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なアレルギー反応による血圧低下や、呼吸困難などによるものであることは、よく知られていることと思う。またこのようなアレルギー反応は、体内の特定の抗体によって引き起こされるものであることをご存知の方も多いことと思う。1回目より2回目以降に刺された時の方が危険だと言われるのは、その抗体が出来てしまっている可能性があるからである。そして今回ご紹介するのは、その抗体があるかどうかの検査についてである。

それではまず、あっしがスズメバチに刺された時のことと、抗体検査を受けるきっかけになったことなどについて少々触れさせて頂く。

とある夏の夕方、庭木の手入れをしている最中のこと、薄暗くなっていたこともあり、巣があることに全く気が付かずに近付いてしまい、突然強烈な痛みと共に羽音がした。服とティーシャツの2枚を貫通してハチに刺されてしまった。その時にはスズメバチだとは気付かず、アシナガバチだろうと思っていた。

とにかくその場から慌てて離れ、傷口を手で強く搾った。傷口に心臓があるかのごとく、ズッキンドッキンズッコンバッコンと強い痛みがしばらく続き、ハチに刺されたのがひっさびさであったため「こんなに痛いもんだったか?」っちゅーのが正直な感想であった。それまでにもアシナガバチ、ミツバチ等に刺された経験は何度かあったのだが、いずれも小学生以前の遠い記憶である。

しばらくすると、ハチに刺された影響からなのか、それともかぶれる様な植物か毛虫にでも触れたためなのかは不明ではあったが(おそらく後者だと思われる)、全身、特に手足に酷く発疹と痒みといった症状が出てしまい、夜になってから病院へ。翌日になって、刺された現場周辺をよく見てみると、そこには丸くてしま模様の綺麗な巣があった。その時はじめてあっしを刺したのがスズメバチであることがわかった。東京の住宅街の雑木林でもないちーっとした庭でスズメバチの巣を見るのは、確かこれが初めてのことであった。

もう10年くらい前のことになるが、針が刺さった部分は今でも少し膨れて痕が残っている。もう二度とあんな痛い思いはしたくない。

それから時は流れ、2000年夏。coelacanth氏と茨城在住のnaritaファミリーさんに同行し、茨城にてミヤマクワガタを中心に日中の樹液採集を行なう機会に恵まれた。

narita氏にいくつかの採集ポイントを案内して頂いたのだが、どこのポイントにもオオスズメバチの姿があった。特に故意に傷つけられた木が多いポイントでは、低い位置に樹液が出ているためであろう、多数の個体を目撃した。「おめたちゃ年中工事中かい!」と突っ込みたくなるようなオレンジと黒のツートンカラー、怖い。このポイント、嫌い...

案内をしてくれたnarita氏は、恐る恐る前に進むあっしらとは違い「はい〜、ちっと邪魔〜、どいてね〜」とスズメバチに優しく語りかけ、時には網で追い払い、時には網で捕らえてブチッ!ってな感じで、なんとも頼もしい限りである。そんなnarita氏より「スズメバチの抗体検査」なるものがあることを教えて頂いた。

そしてこの年の9月上旬のことだったと思う、ミヤマと言えばこの人!爆発栄螺氏もこの地を訪れ、narita氏案内の下、あっしの嫌いなポイントにも足を踏み入れ、しっかりとオオスズメバチに頭を刺され、ミヤマ1頭だけを採集して帰路に着いたそうである。流石である。爆発栄螺氏は、のちにこの時のことを「いきなし背後から頭のてっぺんにダーツの矢が刺さっただぁ...(T.T)」と言っていたのは記憶に新しい。因みに爆発栄螺氏がスズメバチに刺されたのは、これが初めてとのことである。

実はこの時、あっしも同行することになっていたのだが、理由は忘れてしまったが行けなかった。結果的に難を逃れることが出来た。またcoelacanth氏は、檜枝岐の帰りにnaritaファミリー邸には寄ったものの、連日に及ぶ寝不足と採集の疲れからnaritaファミリー邸にて寝ていたそうである。こちらも流石である。

このことがあって、爆発栄螺氏はスズメバチに関してインターネットを検索し、その情報をあっしに伝えてくれた。あっしが以前刺された時の症状なども伝えたところ、その話はスズメバチに刺された経験があり、尚且つアレルギー体質であるあっしにとっては恐ろしいものであり、翌2001年の樹液採集開始前に抗体検査を受ける決心をさせてくれた。その検査結果次第では、日中の樹液採集を止めようかとも思ったほどである。

そして、下図があっしのスズメバチ抗体検査結果である。↓

検査結果表

図を見て頂くとわかると思うが、結果は測定値0.34以下で、性格と一緒で陰性。もしも次に刺されることがあったとしても、アナフィラキシーショックのような重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性はないと言えよう。取り敢えず一安心である。また、例え検査結果が陽性であったとしても、スズメバチに刺された際に必ずアナフィラキシーショックを起こすといったものではないとのことである。ただし陽性であれば、ショックを起こす可能性があるだけに、より刺されないように注意が必要ではある。

それでは次に、ご存知ではない方のために、この検査に付いて少々書いていくとしよう。なお、あたしゃスズメバチの専門家でもなければ医師でも医療関係者でもないので、専門分野な方から見ると少々おかしな箇所があるかもしれないことをご了承頂きたい。

まず「スズメバチ抗体検査」などと聞くと、なにかとっても特別なもののように聞こえるが、スギ花粉症などのアレルギー検査と変わりのない、極普通のアレルギー検査項目のひとつにすぎなかった。

検査を受けたのは図にある通り2001年6月13日、検査結果が出たのが同じく6月の18日となっている。5日程かかったことになるが、この間には土日が入っていたことが関係していることと思われる。ま、検査をしてから1週間くらい経過すれば、検査結果は出ていることと思われる。ところがあっしがこの検査結果を聞きに病院に行ったのは、8月の終わりか9月に入ってからだった。その間も昼間の樹液採集にも何度か出撃しており、何のための検査だったのか、、、検査結果をnarita氏に伝えたところ「来年は先頭にたって皆の安全確保をよろしく」とかなんとか、、、オニ!クワガタ採りたいな。(^^;

次に医療機関や診療科目であるが、血液検査が出来る所であれば、何処の病院でも何科でも出来るそうではあるが、アレルギーを扱う科のひとつである耳鼻咽喉科なんかだとスムーズに検査できるかもしれない。今回あっしは春先にインフルエンザにかかってしまったことがあり、そのまま内科で検査を受けたのであるが、「スズメバチの抗体検査をお願いしたい」と申し出たところ、医師も看護婦さんも???状態で「調べてみるけどそんな検査あるか?ちょいと待ってて」と言われてしまい、結構なタイムロスをしてしまった。結果的にはしっかりと検査項目に入っていて、医師も「あるんだねぇ、勉強になったよ」とのことであった。

では次に気になるお値段(検査費用)について。これはちょいと困りました。と言うのも、前記した通り、酷いインフルエンザの後だったため、他に問題が出ていないか、また、しばらく血液や尿などの検査を受けていなかったこともあり、この時にまとめて色々な検査を行なってしまったため、抗体検査だけの費用がいくらなのか、また保険が適用されるものなのかどうかがわからなくなってしまったのである。そこでちょいと医療機関に尋ねてみたところ、スズメバチ抗体検査(IgE)の点数は、150点との回答を頂いた。これは保険の適用がなければ1500円ということである。また通常であれば保険は適用されるとのことであるが、気になるようであれば前もって尋ねてみることをお奨めする。

検査は当然、病院で行なうことになるわけであるから、これに診察料、もしも初めての病院であれば初診料が、そして血液検査であるため採血の技術料がプラスされることになる。いずれにしてもたいした金額ではないが、何かのついでに検査を受けた方がお得になるのは言うまでもない。

参考までに、あっしが抗体検査を含む検査を受けた時の合計点数は、前記した通りまとめて色々な検査を行なったため、なんと1187点。つまり自費であれば11870円。そして実際に支払った金額は3560円であり、これは合計金額の3割に当たる。あっしは国民健康保険加入者で3割負担であるため、やはし抗体検査にも保険は適用されていたことになる。それと余計なお節介だしわずかな金額ではあるが(保険の適用があれば数百円)、検査結果を聞きに行く際にも検査結果の判断料と、当然受診料がかかる。

以上がスズメバチ抗体検査に関しての大体のレポートである。ま、とにかく刺されないように注意することが大切なのは言うまでもない。次のページでは、昨年スズメバチの巣の駆除を依頼した時のことなどを書いていこうと思う。



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