採 集 記

「オオクワ20頭までの足取り」
 
 

その3


8月3日(木)新潟  同行者 との

今日は、とのさんと二人、午後から仕事早退してのクワ採集である。
後ろめたさも多少あるが、それ以上に採集意欲が溢れているからの出撃である。

灯火場所は、新潟、いつもの場所を予定していたが、関越トンネルを抜けると、空模様がおかしい。群馬は晴れだったのだが、夕立模様である。

案の定、灯火場所にくると今にも雨が落ちてくるようだった。午後6時しばらく様子を見ていたが、等々降り出した。どうせすぐ止むだろうと思い車で待機する事にした。

7時30分、まだ雨は止まない。しかたなく駅まで下って来た。こちらは雨が少ししか降らなかったようで、路面が乾いていた。とのさんが、「仕方ない、下のほうに張ろう」と言ったので、灯火場所を探して見ることにした。

「このあたりが、いいんじゃない?」と私が川沿いの空き地を見つけたので、ここで灯火を張る事にした。場所的には何時もの灯火場所より、標高で100m位下がっている感じがしたが、何とかなるだろうと言う事で、8時に点灯し灯火採集を始めた。

何時もはすぐに飛んでくるはずのアカアシ君が飛んでこない。

9時になった。1時間張って何も採れない事は、今まで風が強かった日を除けば考えられないことであった。とのさんが「やっぱり、ここは場所が悪いんじゃないか?」と言った。

私もそう思い始めた。せっかく来て何も採れないのでは、しょうがないので、私は外灯廻りにでた。10時30分、外灯廻りもミヤマ位の成果だったので、灯火場所に戻ってみると。とのさんが不機嫌そうな顔をしていた。
それでも「採れたか!!」と聞くとケースを出して、ミヤマ1ペアとアカアシ1ペアを見せて、「これだけ」と言ったのである。

結局この日は、灯火場所が何時もの場所で出来なかったため、オオクワどころか、ワースト記録に近い最終結果となってしまったのである。

だが、決して「バチが当たった」などとは、思いたくないもので、次回のリベンジに期待する事とした。


8月5日(土)新潟 同行者 息子

この日は、初めて中2の息子とオオクワ採集に出かけた。普段部活などでなかなか採集に行く機会がなく、何時ものメンバーも都合がつかないので、余り乗り気でない息子をひっぱり出したのである。私としては、大掛かりで重い群馬支部灯火システ
ムの積み込み、組み立てでテコが欲しかったのも事実である。

群馬支部灯火システムの唯一の欠点は、大掛かりで重量が重いことである。このため、一番辛いのは自分の車に機材を積み下ろす時である。だから私は決して1人では灯火採集に行かないのである。現地での機材の積み下ろし、組み立てを1人でやる事を考えると「ゲェ〜!!」っとするのである。最近頻繁に採集に出かけて益々感じてきた。が、そうは言ってもやはり息子と2人というのは格別なものがある。

思い起こせば、息子にクワを採ってやりたいがために、入りこんでしまったクワ馬鹿の道である。それから、10年余、親父はどっぷりと浸かってしまい、採集三昧の日々であるが、息子は幼少時よりも、すっかり冷めてしまっている。一緒に着いて
来たのは、6月に何回か、地元のヒラタ狙いで、昔周ったポイントを一緒に見ていたからであろう。

どうせ来たのならば、息子にオオクワを採らせてやりたい。オオクワが採れる事の確証を見せてやりたい。と思うのが親心である。

そんな思いで車は、一路新潟を目指したのであった。

何時もの灯火場所に着いてみると、また夕立である。しかし、今日は早く上がる気配で雨も小ぶりである。7時過ぎ、雨が上がった。雨上がりで蒸しているが風がある。これも夕立の影響であろう。もし、これで風がなければ絶好の採集日よりなんだ
がな〜と思いつつ点灯して待つ事にした。息子はこの灯火システムを初めて見るのであるが、一言「こんなにしないとオオクワは採れないの」と聞くので、今までの採集話を聞かせてやり、風が吹くとなかなか採れない事も教えてやった。

最初に来たのはミヤマ♂である。65mm位ある立派な♂であった。これを見て息子が「へぇ〜、大丈夫じゃん、ちゃんと採れるで〜」と言うので、私も一安心した。この時「なあ〜だ。これだけか?」言われたらなんと答えていたろうか?

その後、アカアシ、ミヤマ、ヒメオオなどが飛んできたが、肝心のオオクワはとうとう飛来しなかった。せっかくの息子との採集が残念であった。しかし、息子は結構楽しんだと見えて、「また来るか」と聞くと「うん!!」と答えたのであった。


8月12日(土)新潟  参加者 スズリ、HASE、タカ、HIRO、nakakuwa、私

8月13日(日)桧枝岐 参加者 スズリ、HASE、タカ

この両日は、スズリさん、HASEさん、タカさんが2日かけて新潟、桧枝岐を周る採集旅行である。お盆なので、私と他の人は初日だけ参加した。

月齢は、ほとんど満月に近い採集には最高?の月齢である。

私は、今回は外灯周りに専念しようと8時位の現場着を目標に家を出た。今回だけは車がカラ荷である。軽快にビュン!ビュン!と飛ばして最短時間で現地入りした。が、結果については、予想通り×であった。結局この2日間ともオオクワは、採れなかった。

詳細な採集記は、スズリさんが書いているので、そちらを参照されたい。


8月25日(金)桧枝岐

 同行者 地元群馬のクワ愛好家M氏とその弟+息子+義弟、
      息子、nakakuwa

今日から3日間、桧枝岐→新潟→桧枝岐の3連荘採集である。しかも参加者が3日間とも違うのである。3日間車中泊はさすがにきついので、今日は採集後いったん自宅に帰り、明日、明後日を車中泊連荘とする事にした。

M氏とその一族は、地元でクワの採り子をやっている採集に掛けてはセミプロであるが、オオクワ採集はまだ一度も経験した事が無く、是非「連れて行ってくれ」と頼まれたので実現した採集である。また、M氏の息子と私の息子は、部活を通しての仲間であ
った。

桧枝岐採集初めての人達を連れて来て、オオクワが1頭も採れないのでは話にならない。そんなプレッシャーを感じての採集であるが、今まで桧枝岐では必ず複数頭採集しているので多少の自信もあった。

4時に灯火場所であるドライブインに着いた。M氏一族は着くなり着替え始め、「オオクワの発生木を調べて来る。」と言って、林の中に入っていってしまったのである。
私もこれにはさすがに驚かされたし、一般種専門ではあるが、さすが樹液採集で鍛えていると感じた。ただ、樹種が平地とは違っている事と急な山であるため、程なくして帰ってきた。
「どうでしたか?」と聞くと、「木が違うが面白そうな木は在るね。」と言っていた。
この人達はきっと、次に来る時は、材採集&樹液採集を試みるに違いないと思った。

さて、今回の灯火システムであるが、前回この場所で、宇都宮のt氏と同数採集した結果から両サイドのリフレクター型水銀灯を透明型に変更してみる事にした。また、前回と同じ設定にするため、2セットを張ることとした。そして、今回から200W水銀灯を追加して合計1500Wの容量になった。これは、ただ単に増やした訳ではなく、どんな状況でも、どんな場所でも最大限の効果が出せるように、増やしたもので、一人採集を意識しての小規模なシステムを組む時に、対応できるように、300Wではなく200Wにしたのである。また、小規模システム用に800Wの小型発電機も調達してあった。ゆえに色んなバリエーションの灯火システムが組めるようになったのである。

当然ではあるが、2.5KWの発電機は2セットの灯火も1台で間に合わせてしまう。

6時半いよいよ点灯である。灯火システムを見るのも、触るのも初めての人達である。まずその明るさにビックリした様子だ。
「これだけ明るければ、絶対採れるね」とM氏が言った。
確かに初めて見る人はそう思うだろうな〜と思った。

オルジナルセットにはM氏一族と息子が、2台目セットには私とnakakuwaさんが付く事になった。

私は冗談で、「大人5人だから、5頭採れれば上等でしょう」と皆にいった。M氏は「そんなに採れればいいですね」と返した。

しばらくして、オリジナルセットにミヤマ♂、アカアシが飛んできた。M氏一族はアカアシも初めて見る様子だった。「本当に、足が赤いんだね」と義弟が言った。「本当でしょ!!」と答えた。8時までにミヤマ、アカアシがそこそこ飛んできて楽しめた。
「今日のミヤマは♂ばっかしだな」と思った。

8時いよいよゴールデンタイムである。皆一斉に身構えて待つ事になる。私がゴールデンタイムの説明をし終わると、弟が、タオルで何かを叩き落した。「オオクワ」と弟が叫んだ。皆集まり「本当だ、オオクワだ!!」、「本当に採れるとは思わなかっ
た」と弟がつぶやいた。やはりWILDオオクワが採れるとは、実際に自分で採らないと信じられないらしかった。

8時15分であった。続いてその10分後に今度は義弟が5m離れた草むらとの境で、オオクワ♀を発見、随分好スタートのゴールデンタイムである。と思っていたら、8時40分にスクリーンの真ん中に勢い良くぶつかって、ひっくり返っているクワガ
タをM氏の息子が拾い上げ「あっ、オオクワ」と叫んだ。3頭目の♀であった。いままで採れた3頭が皆40mmオーバーの同じ位の大きさであった。

まったく出来すぎである。それもオリジナルセットだけに飛来しているのである。私とnakakuwaさんの張っているセットには、アカアシが2頭飛んできただけである。

私はnakakuwaさんにも採ってもらいたいので、「向こうのセットで張った方が確実ですよ」と言い、私は例により他のセットの見学&採集状況を見に出かける事にした。

桧枝岐も数来ていると、知った顔にも随分と出会う。灯火を張っている半分位が掲示板で知り合っている人であり、残り半分の半分位が複数回ここで会っている人達である。

屏風岩で灯火を張っている人も、名前は知らないが、話をするのが今日で3回目である。

今日はスクリーン無しで、三脚に水銀灯を付けただけで、下にも何も敷かない簡易仕様で行っていたが、話によると8時30分の前後に3頭飛来したそうである。皆35mm前後の小ぶりな大きさである。

1時間程で戻ってみると、なんと9時30分に相次いで2頭飛来していた。1頭は43mmと今日一番の大物でnakakuwaさんがGETし、もう1頭は私の息子が36mm程の小ぶりなやつをGETしたのであった。

         

5頭GETである。全てオリジナルセットの方に飛来したものであり、このセットの最多採集記録である。

しかし、ビギナーズラックか?M氏一族は「オオクワは簡単に採れるんだ。」と思ったに違いない。それにしても最初の冗談が本当になってしまったのは驚いた。

その後11時まで行ったが追加のオオクワは飛来しなかったので、5頭もGETしている事もあり、最初はM氏も4時までやるつもりだったが、これで撤収する事にした。

まったく、凄い採集劇であった。きっと来年も連れて来る事になるだろうと予感した。


8月26日(土)新潟 同行者 タカ、クワ道、ポン、カン

今日のメンバーは、初めてご一緒する事になった、クワ道さん、ポン・カンコンビと一緒である。実はこの3人は水曜日から桧枝岐入りしており、昨日も桧枝岐で、灯火を行っていたのであった。当然昨日の桧枝岐で今日の打ち合わせは済んでいた。

5時に駅に集合である。クワ道さん、ポン・カンコンビは桧枝岐から新潟入りして来る予定で、私とタカさんは別々に現地集合であった。

私は、昨日の採集を終えいったん自宅に帰ってからの出直しである。

集合場所にはすでに、皆集まっていた。すると、クワ道さんが、「今日採れた特大のヒメオオです」と言って、クワケースを見せてくれた。クワケースの中には、55mmオーバーのヒメオオが4〜5頭と、53mmのアカアシが入っていた。しかし57mmのヒメオオは、凄い迫力である。

「私も何時かあんなのを採集してみたいな〜」と思った。

さて、いつもの灯火場所に出かけてみると、なんと今日は、使えそうも無いのである。仕方無しにそのすぐ下の場所で、灯火を張ることになった。今回はクワ道さんも灯火セットを持参しているので、見晴らしのよい高台に張ってもらい、私とタカさんは、その下に離れて張る事にした。

クワ道さんは、300Wと100Wの水銀灯を使用している。我々の灯火システムの側では、やはり辛いものがあると思ったが、このあたりは、灯火を張る場所が極端に少ないので、しかたなかったのである。我々の灯火はセンター1本、両サイド2本づつの1500W仕様で行うのであった。

6時半には点灯し、クワの飛来を待つ事にした。

いつもに比べクワの来かたが少ない。やはりこの場所は適当でなかったのか?ついいつもの場所と比べてしまう。でも、仕方ない事である。余りのクワの少なさに、クワ道さん達は9時に灯火を終了してしまい、外灯周りをしながら宿泊場所を目指す
といって帰ってしまうのであるが、何か申し訳無い様で、心苦しかった。

10時、我々の灯火も、クワの少なさに外灯採集派のタカさんが痺れを切らし「外灯周りをして来る。」と言って出かけてしまうのであるが、1時間程で戻ってきたタカさんは、しっかりとオオクワ♀をGETしてきたのであった。

<詳細は、タカさんの採集記参照>

結局12時までやったが、あきらめて撤収する事とした。しかし、ここの灯火は難しい。

これで、4連続ボーズである。悔しい!!なんとしてももう一度GETしたい。無念さを残し新潟を後にした。私はこのまま桧枝岐入りする。今日帰るタカさんと別れて、夜中の1人ドライブとなったのであった。


その4