採 集 記

「オオクワ20頭までの足取り」
 
 

その4


月27日(日)桧枝岐 参加者 スズリ、斎藤二人+家族、私

今日は、第3回群馬支部灯火採集会である。群馬支部唯一の東京人、斎藤二人さんが、初めて桧枝岐に来るのである。参加者は少ないが楽しい採集会になると思った。

私は夕べの新潟から桧枝岐入りしたので、明方の5時に着いた。さすがに灯火をやっている人は居なかったが、後片付けをしている人は、何人かいた。車の中で仮眠をしていると、暑くて寝ていられない。しかたないので、H林道に入ってみる事にし
た。昨日のクワ道さん達に刺激を受けたのは間違いない。H林道は去年タカさんに一度連れて行ってもらっただけであるが、入る所が分るか心配だったが、前の車に採集用のアミが見えたので、付いて行く事にした。

「あ、ここである」確かに見覚えがある。ここまで来ればもう大丈夫である。私は、朝食を取る事にした。朝9時である。朝食を取っていると車が何台か通りすぎて行った。

聞いてはいたが、有名ポイントになったため、大分混雑している様子である。「これでは、ヒメオオは取れないな」と思ったが、元々採れるとは期待していなかったが……

入ってくる車を見ていると、どう見てもクワ採りではなさそうな人達も来る。話掛けると山菜を取りに来たと言う。「へえ〜、山菜も取れるんだ」と思いながら、少し進む事にした。が、頂上広場を前にして、道路の荒れ方が凄い。「行けるかな〜」と
思いながら進むと「ガリッ!ガリッガリッ!!」と思いきり下を擦ってしまった。私の車には灯火機材一式が入っているため、普段より車高が下がっている事もあり、これ以上進むのは無理と思い引き返す事にした。ここで、立ち往生しては悲惨である。

H林道の雰囲気だけ味わえば、それでも満足であった。引き返して温泉に入り、夕方まで待つ事にした。

午後5時灯火場所の駐車場に行ってみると、スズリさん、斎藤二人さんは、すでに来ていた。

準備をし、6時30分点灯である。今日もフルセットのシステムで灯火採集である。7時位から、お約束のアカアシ、ミヤマなどが飛来した。

斎藤二人さんは家族と弟家族で、来ていたので小学生を含めた小さい子が4人いた。その子供達は都会暮らしであるためにクワ採集など初めての経験であろう。さかんに喜んで飛んできたクワを拾っているのである。皆、楽しそうである。

このような姿を見ると、「やってよかったな〜」と思うのである。

子供たちが、拾うのに疲れた、8時20分、本日の1頭目がシート内に落ちた。私が拾い上げると、40mmオーバーの♀であった。「オオクワだよ」と言って子供たちに見せたが、「これがオオクワなの?♂じゃないんだ。」と言われてしまった。
「♂は、なかなか採れないんだよ。」と説明し、「♀の方が子供が採れるから、いいんだよ。」と言ったが、正直、♂も欲しかった。

オオクワが採れるのを見せてやれたし、明日は保育園があることなので、斎藤二人さん家族は9時に帰っていった。子供たちには楽しい思い出として残ってくれることを願ってやまないのであった。

残ったのは、私とスズリさん2人である。これだけのセットに2人だとちょっと寂しい気がする。今まで子供が、はしゃいでいたから余計に感じるのかも知れない。

2人でやっていると、色々な採集者が寄って行き、話が出来るので結構楽しいものである。スズリさんなどは、採集も楽しいが、こうゆう時の他の採集者との話、情報交換ができることを楽しみにしている。何人かの採集者と話をした後、9時30分頃、OBCむげんさんが立ち寄った。むげんさんとは、ここ桧枝岐では何回かお会いしている。最近では渓流釣りの方に夢中で、灯火採集の方は、余りやってないらしいが、灯火セットは車に何時も積んであると言う。

むげんさんと話していると、むげんさんの肩に何か虫が、ぶつかってようであったが、むげんさんは、どうせ蛾だろうとテーブルの所に来て、3人で話していたのであったが、スズリさんが灯火の向こう側に何か見つけたらしく、走り寄って何か拾い
上げた。余り驚かないので、他のクワかと思ったが、近くで見ると、カブ♀よりも大きなオオクワ♀であった。「わぁ、すげ〜」とむげんさんと私、「うわぁ、でかい、ノギス持ってる?」とむげんさんが言うので、早速計測をしてみた。

47.1mmの特大サイズであった。先ほどのむげんさんの肩にぶつかった物の正体は、これであった。しかし、外で見るクワは皆大きく見えてしまう。本当にこいつも巨大に見えた。

こんな大物が採れたのでは、今日は打ち止めである。12時に撤収する事にした。


 



  9月2日(土) 桧枝岐 同行者 スズリ、タカ、nakakuwa

今日の採集は、「クワ馬鹿」投稿のための採集である。現在までのオオクワ採集数が19頭で、投稿のために20頭にしたかったのである。仲間と話したが、それならばオオクワが確実に採れている桧枝岐にしようと言うことで決まった採集である。

何時ものドライブインに来てみると、先人がすでに灯火予定と言う事で、場所取りをしていたのである。話しをしてみると昨日もここでやったらしく、2日続けての採集のようだった。

仕方無しに、別の場所に灯火を張る事となった。

今日は風が強い。台風12号から代わった温帯低気圧が、前線を引きつれて日本列島を横断していたのである。

風対策は既に経験していたので、この日もフレームからステーロープを取り固定した。こうでもしないと今日の風では、スクリーンは張れないだろうと思った。きっと駐車場で灯火を張っている人達は、難儀をしているな〜と思ったのであった。

今日のメンバーは、皆現地集合である。私とnakakuwaさんが灯火機材を運んで来て、後からスズリさんが合流する予定である。
タカさんは、前日から新潟廻りの桧枝岐入りで、昨日外灯で62mmの♂をGETしていたのである。62mmだが、やはり外で見るとサイズ以上に大きく見えてしまう。タカさんは、ここの所「うそ」みたいに絶好調である。

6時半に点灯し、20頭目の記念オオクワを待つ事となった。が心配は、風である。今まで風の強い日は、余り良い結果が出ていない。さて、いよいよゴールデンタイム突入と言う所で、今度は雨が降り出した。雨は小降りではあるが、どうも止まない雨らしい。

「風と雨」何とも最悪の採集条件である。

我々の灯火場所に、BAJAさんが訪れた。BAJAさんは、クワ馬鹿の記事のために取材を兼ねて来たらしかった。
BAJAさんが、「雨の中でも採った事がありますよ」と教えてくれたので、粘ってみる事にした。そうでなければ諦めて撤収している所だ。

不思議な事に、雨が強くなると、風が止み、凄い数の蛾が、雨の中でも集まってくる。これを見てると、もしかしたらと期待を持たしてくれる。その内に、この雨の中、アカアシ、ミヤマが採れた。「本当に雨でもクワは飛んでいるんだ」と思った。

9時、雨脚はどんどん強くなって来る。何としても採りたい20頭目であるが、さすがにこの雨ではと、私は90%は諦めていた。タカさんなどは諦めて車で寝てしまっている。

その中でも、スズリさんと、nakakuwaさんはカッパを着て雨の中を見廻っている。たいした根性である。

取材に出ていたBAJAさんが戻ってきた。「皆、まだやっていますか?」と聞いた。

「まだ、やってるよ!」と教えてくれたが、この時点で他の灯火が終了していたら間違いなく私は、撤収していただろう。BAJAさんも我々の20頭目の事を知っていたので、しばらくは一緒に探してくれる事になった。

9時35分、私は灯火の側に傘を片手にたっていた。「もうだめだ、仕方ないタイトルは19頭で行こう」などと考えていたのである。とその時、スズリさんが灯火を挟んで反対側から飛んできたのであった。私の所に来ると、握り締めた右手を開いた。なんとその手には大型のオオクワ♂が居たのである。それもど完品の綺麗な♂である。私は思わず、「やった〜!!、20頭目だ!!」と叫んでしまった。採った本人のスズリさんが、黙っているのに………

聞いてみると、スズリさんは興奮のあまり声も出なかったらしい。

それに、しても嬉しい。本当に嬉しい。

BAJAさん、nakakuwaさんも寄ってきて、「すげ〜、すげ〜」の連発である。

「風向きが変わったので、風下側に付いていたら、ポトッと音がしたので2〜3分探していたのですよ。そしたら、水溜りの中に、どうして君がここに居るのって感じで居たんです」

と話してくれた。寝ていたタカさんも起こして「タカさん、採れたよ〜〜」と言った。

タカさんも起き出してきて、「すげ〜、でかい♂だな〜〜」「何処で、採れた!!」

拾った場所の現場検証である。何と、灯火システムから15mは離れている場所である。「こんな方まで飛んでくるんだ」正直な感想である。

68.2mmの♂であった。

さあ、これからが大変である。雨の中、投稿用にいろんなポーズで写真撮影である。私、スズリさん、BAJAさんそれぞ
れに撮影した。

     
 

採れるものが採れれば、何時までも雨の中粘っている必要はない。10時撤収であった。

灯火場所を変えたのが、結果的にオーライであったのかも知れない。おそらく駐車場でやっていたら、風のためにスクリーンが張れなかったと思うし、そううなると今回の結果がなかったかもしれない。

劇的であった。群馬支部灯火システム採集オオクワ20頭目の記念オオクワは、まさに相応しい大物が採れた。それもこんな条件の悪い時にである。

おかげで、今、気持ち良くこの採集記が書けている。

まさか、20頭も採れるとは思わなかった。しかし、たかが20頭と言う人も居るかもしれない。でも、自分が考え、進化させて来た灯火システムで、採れたのはこの上もなく嬉しい。

多分、今年の採集も終わりであろう。

来年は、この結果に、満足する事無く、「果敢に挑戦者として採集に励みたい」と感じている。


おまけ。

9月8日(金)新潟 同行者 nakakuwa

採集記も書きあがっていないのに、4回ボーズの新潟が心残りで、月齢から言ってぎりぎりの採集日よりである今週末に採集に行きたくて、行きたくてうずうずしていたのであった。

土曜日は、相棒が居ない。日曜日は家の用事がある。行けるのは今日だけであると考え、午後から休暇を取る事にした。幸い、同行者としてnakakuwaさんがやはり、休暇を取ってくれたので、行ける事になった。最初は、灯火は簡単なセットでと考えていたが、おそらくここも今年最後になるだろうし、悔いが残っては仕方ないので、オリジナルセット1000Wバージョンで臨む事にした。

何時もの場所にセットし、6時30分点灯である。

さて、悔いを残さずに帰る事ができるか?………

何時ものように、アカアシ、ミヤマと飛んでくるか?

7時を過ぎた時、本日の1頭目のクワが飛来した。

「あれ!、ミヤマかな」と思い覗きこむと背中に筋がある。片方のアゴ先が欠けていたので分らなかったが、確かにオオクワ♀である。大きさは35mm位か?小ぶりな♀であった。

「今日は何かあるな?」と予感させたが、それきっりだった。9時までに飛来したクワは、オオクワとノコ♀1頭だけだった。余りの少なさに、耐え兼ねて灯火はそのままで、二人で外灯廻りに出ることにした。いろいろ廻ってきて、先日タカさんが♂を拾った外灯を探す頃、雨が降り出した。結構強く降ってきた。が先日の雨の中での大成果を目の当たりにしているので、何のそのである。外灯下を探していると、「いた!!」♀である。大きさは先ほど灯火で採ったやつより一回り大きく38mm位である。雨に打たれ黒光りをしていた。

次の外灯を見たが、nakakuwaさんが、道路の端を覗きこみながら、「もしかして?」とつぶやいた。オオクワ♀であった。

この日最大の41mm♀であった。二人で2♀拾い気分を良くして、灯火場所までくると、やはり何もいなかった。

          

3♀採れれば上等である。早速撤収をし、片付けてるとタカさんが現れた。

「採れましたよ。灯火と外灯」、「何処で?」、「タカさん、ポイント」と言うと、

「あ〜!!、こっちの方が良かったか?」と言っていた。

タカさんはこの後、桧枝岐入りするそうである。検討を祈りながら別れたのであった。

 

ここまで、大変長い採集記をお付き合いして頂き、ご苦労様と申しあげると共に大変感謝いたします。なにせ採集記なるもの、今回が初めて書いたもので、つまらなく、幼稚な文で、また、、誤字脱字だらけで、申し訳無いと思いますが、「オオクワ20頭の足取り」と言うことで、雰囲気だけでも伝われば幸いと思います。

また、感想、質問、指摘等はnamihiro@sannet.ne.jpまでお願いします。


2000年秋号もくじへ