採 集 記

「オオクワ20頭までの足取り」


その2



7月8日(土)新潟 同行者 タカ、との

今日は、台風3号が接近している合間をぬって新潟へ出陣である。

天気予報は明日から台風の影響で雨だと言っていた。まさに今日しかない。天気予報は晴れ、採るのは今日しかない!!こんな気持ちで勇んで出かけて行ったのであるが、前回の灯火場所に着くと、天気は確かに晴れであるが、風が強い。
まあ〜何とかなるだろうと、灯火の準備をし点灯したのであるが、点灯から僅か5分、強風が吹いてきた。さすがのガス管フレームも風に煽られ転倒してしまった。転倒防止にフレームの足は前後に1mづつ伸ばしてあるが、1.8m×3.6mのスクリーンが受ける風圧は予想を遼に超えていたのである。幸いセンターの水銀灯は割れなかったが、フレームの片方がねじの所で折れてしまった。応急手当でなんとかスクリーンは張れる様にしたが、この風は一向にやみそうも無い。
台風が近づいているので当たり前であるが、何とかしなければならない。そこで、ペグを打ってステイロープを張る事にした。6箇所からステイを取るとフレームはしっかりして、スクリーンを張っても飛ばされない強度が出た。念の為フレームの足には大きい石を2個乗せてある。これでようやく灯火採集の再スタートである。

が、虫の寄りがいつもより悪い。風が強すぎて近づけないのだろうか?蛾の数もパラパラである。それでも何時か来るであろうと待ちつづけたが、この日はコクワ一匹寄らなかった。
余りの結果に10時には撤収しようと言う事になった。片付けていると先ほど寄って行った福井から来た採集者が、また寄って来た。しかも採集ケースを持っているのである。

「今そこで、車の前に落ちてきましたよ。」と言って採集ケースを開いた。その中にはミヤマ、アカアシと共にオオクワ♀が入っていたである。

我々は、こんな風の中でもクワが飛んでいる事を認識した。また、その数少ないクワを根性でGETする人がいる事も認識した。我々の思いは、呆れるやら、感心するやらで複雑な思いであった。

気を取りなおして、帰りの外灯採集に賭けてみたが、そうそう甘くはなかった。結局この日の結果は、帰りの外灯で拾ったミヤマ♀1頭のみと悲惨な結果に終わった。

風が採集には強敵である事を、思い知らされた1日であった。


7月20日(木)新潟 同行者 HASE+Jr2、スズリ、HIRO

この日はHASEさんからの希望で実現した採集である。HASEは奥さんを子供から解放させてやる日を作ったのである。このような考えは大好きである。天敵とも言える奥様方をうまく取り込むことが、この先採集に出かける際にどんなにプラスになることか。是非見習いたいものである。HASEさんの子供は小学生と幼稚園の女の子2人である。女の子がクワ採りに同行することに、少し心配したが、HASEさんが仕込んでいるから大丈夫だろうと思った。

HASE親子とHIROさんは、先発隊として、6時頃に現着しているはずである。
私とスズリさんは、太田を4時に出て現場着7時であった。その間に何回も催促の電話があり着いた時にはやっと来たという感じであった。

8時から私とHIROさんは、灯火を残り2人に任せて外灯回りに専念することにした。
本来なら絶対に灯火場所を離れないのだが、今回は目的がHASEさん親子の採集会がメインと考え、ポールポジションを譲る事にしたのであった。

外灯回りは不調だったが、わが灯火システムは絶好調で、なんと心配していたHASEさんの娘さんが、8時45分に1頭目の36mm♀をGETしたのである。

続いてスズリさんが、9時15分に2頭目の45mmオオクワ♀をGETしたのである。

これは、スズリさんの目の前に「どうぞ、捕まえてください。」といわんばかりに「ドス!!」と落ちてきたのであった。スズリさん曰く「余り音が大きかったので、カブトかと思ったよ。」と言っていた。

HIROさんは、すでに最初の新潟で、オオクワ♀をGETしており、その後、ここでの単独採集で60mmの♂をGETしているので、まったくの余裕であるが、残るは私とタカさんだけが新潟産オオクワを未採集である。が、しかし、私は明日ここで灯火予定なので必ず採れるだろうと思い、その余裕で場所を譲ったのであった。


7月21日(金) 桧枝岐 同行者 との

7月22日(土) 新潟 同行者 との

この日は、とのさんと新潟のリベンジを決めていた日であり、新潟、桧枝岐を2日かけて採集する予定である。

午後の1時にとのさんを迎えに行くと、まだ早いぞ言われたが、私は、地元でカワラ材の持ち主を探したかったので、とのさんに付き合って貰うようにした。

途中地元のクワガタポイントを下見してから、一路、新潟の訳だったが、地元と言えば東北道が通っている場所である。わざわざ関越回りにするのは時間の無駄であると思い、新潟→桧枝岐の予定を桧枝岐→新潟にする事とした。桧枝岐は、今回新しい灯火場所を探すべく、会津高原駅を右折し旧道で中山峠を越える林道を探してみることにした。さすがに林道である。舗装はされているものの、車は一台も通らないし坂が急である。

灯火ポイントを探すがなかなか良い場所がない。そうこうしているとやっと良さそうな場所を探す事ができた。

「ここか」と思い車外に出てみる。寒い…、二人とも半袖であるが、ものすごく寒く感じる。きっと20℃以下であろう?これでは、オオクワどころか、クワガタが飛ばない。せっかく新ポイントを探そうと思ったのに残念である。時間は、すでに6時半、今から桧枝岐にいくと8時近くになってしまうが、それでも、二人で桧枝岐に行こうと決めた。

車は猛スピードで桧枝岐を目指す。残り50km近くの道のりである。

何とか目的の桧枝岐に8時前に到着できた。が当初予定のスキー場の駐車場では、先人がすでに張っていたのであきらめ、先日♂が出たドライブインに張る事に決めた。

時間が迫っているので、大急ぎでセットを組み立てる。たぶん今までで最短組み立てであったろう。

8時10分、何とか点灯できた。いつもから比べると1時間遅いスタートである。すでにオオクワのゴールデンタイムに入ってしまっている。それでも採れるか?…

8時30分、以外に早く1頭目のオオクワが飛来した。40mmであった。あ〜来て良かった!!

下がアスファルトの場所は、非常に探し良い。今までが、全て土の上での採集であったから、よけいに感じたのかもしれない。

その後、ミヤマ、アカアシ、などを拾いながら、9時15分とのさんが2頭目のオオクワをGETした。♂である。41mmと小さいが間違いなく♂である。とのさんはこれで去年と今年、GETしたオオクワが両方とも♂であった。

本人曰く「俺は♂に好かれているのかな〜」とぼやいていた。

        

その後、12時30分まで灯火を行ったが、さすがに寒くなってクワも来なくなったので終了する事にした。

車の中で仮眠を取ることにしたが、なかなか寝着かれない。2時を過ぎたころから道路を通る車が一段と増えてきた。それも片道通行で、行ったきりである。そのうち観光バスも連なって通るようになってきた。何事かと考えて、尾瀬に行く車である事に気がついた。

山歩きは4時〜4時半頃より歩き始めると聞く。二人とも納得して寝られないことにどうするかと考える。

とのさんが、「昼間は何もする事がない」といい始め、私もヒメオオクワ採集の予定は、なかったので、「何する〜」と言い返す。

とのさんは、職場の同僚で、私がこの道に誘い込んだのだが、最近はクワより馬の方に夢中であり、先週の職場の旅行で行った、福島競馬の当たり馬券を持っていたのである。だからとのさんは最初から昼間は福島競馬をやると密かに計画していたのであった。私も決して嫌いな方ではないので、話はすぐにまとまって、「じゃあ、寝てられないから今から行こう」と言う事に成り、灯火セットの荷物を車に積み込み一路福島競馬場目指して出発したのであった。時間は午前3時である。

途中外灯採集をしていったのだが、南郷村に着くと午前3時なのに民宿には電気が付き、人が起きて車の荷物などを下ろしている。生簀の上に300W位の水銀灯が点いている所があったので、クワを探しに近づいて見るとカブチンの♂がひっくり返っていた。

中の魚をみると鮎らしいのが入っていた。後から聞いた話だが、南郷村は鮎釣りのメッカらしく、生簀の鮎はおとり鮎だったのだ。盗難避けに生簀に水銀灯を点けているようであったので、鮎泥棒と間違われてはたまらないので、そそくさとその場を立ち去ったのである。そうと分ってからは南郷村の外灯採集をあきらめて、まっしぐらに福島競馬場をめざしたのであった。

同じ福島だが、桧枝岐から福島市内は遠い。競馬場の駐車場に着いたのは午前8時であった。

競馬を6Rまで行ったが、寝不足でボケている頭では、なかなか当たらない。ましてや配当が堅いので穴党のとのさんにとっては面白くない競馬であった。しっかし、天気は最高のどッピカである。今日もクワが採れるぞと思いながら今度は、新潟に向かい出発したのであった。磐越道から新潟へと向かう。

途中車にガソリンを給油し、灯火用発電機にも給油する。ここでいつも聞かれる質問がきた。「キャンプですか?これだけ大きな発電機を持ちこむとは、本格的ですね。」まさかクワ採りですとも言えないので、そうですねと答えておく。

発電機にガソリン満タンで車に積んでくると、車の中がガソリン臭くなってたまらないので、何時も直前にガソリンは補充する事にしているのだが、昨日、会津高原駅付近で給油しようとしてガソリンスタンドが見つからず7〜8kmも戻ったことを教訓として、山道の手前だが給油する事にしたのであった。

で、先ほどの質問だが、発電機に給油するたびに良く聞かれる質問である。面倒くさいので何時もキャンプと答えてしまうクワ採りと言っても機材の量からしてとても説明に時間が掛かりそうなので、さらりとキャンプで済ますことにしていた。

これは、灯火セットを持参する人が、必ず聞かれる質問であろう。

そうこうしている内に、ダムに着いたので、しばしその絶景を堪能し休憩を取ることにする。

午後6時、目的の灯火採集場所に到着した。早速組み立てて6時半には準備万端であるが、空はまだ明るい。発電機は、満タンで6時間は、持つので少し早いが、エンジンを駆け点灯することにした。
で、とのさんは夕べからの寝不足のため、車で仮眠すると言い出し寝てしまったのである。
一人灯火の前に陣取り、大本命のオオクワ君の来襲を待つことになる。

午後7時、まず最初に、多数の蛾に混じって、真っ白く見える大きな蛾オオミズアオが来た。

オオクワが取れるときには必ずこの蛾が来襲しているので、結構好きな蛾である。続いて、お決まりのアカアシ君の登場である。
何度か灯火を経験すると、クワガタにも飛来する順序があるように感じる。まず、アカアシ、コクワの先陣隊が、飛来し、次にミヤマ、ノコの中堅隊がきて、最後にいよいよ真打オオクワの登場である。
こんなことを考えながら、待つとミヤマが約束通り飛来した。さあ次ぎはいよいよ真打の出番である。

アカアシ、ミヤマ、コクワ、がボチボチとれ始めた頃に、とのさんが起きてきた。

「オオクワ採れたか」と、とのさんが聞くので、「まだだ」と答える。

少々焦ってきだした。今回が4度目の新潟で私自身はまだオオクワはGETしていないのである。と、その時スクリーンの真下にひっくり返っているクワガタがいる。急いで拾いあげるとスジがある。

オオクワであった。40mm以上はある立派な♀である。屋外で採ったオオクワは、サイズ以上に大きくみえてしまう。4回目で初めて手に入れた新潟産に「やった〜!!」と思わず叫んでしっまた。

とのさんも喜んでくれて、「もし今回も採れなかったら、俺達にはこの場所は、相性が悪いのだから、もうよした方が良いかもしれないと思っていたところなんだけど、採れれば別でどんどん採っていこう」と言っていた。

その後ミヤマとアカアシが飛んできたが10時30分、とのさんが2頭目のオオクワをGETした。36mmと少し小ぶりの♀だが、顎の先端も擦れてないきれいな♀であった。

やっとの思いで採った新潟産である。大事に育てたいと思った。

 


7月29日(土)桧枝岐 参加者 まえだ+Jr2、スズリ、私

今日は第2回群馬支部灯火採集会である。といっても参加者は子供を含めて5人である。

5人なので、車1台でやって来た。車はまえださんのハイエースである。この車は灯火機材一式を積み込んでも、まだ3列座席が確保できる。驚きの広さである。私は、何時も自分のイプサムに灯火機材を積み込んで行くが、フルセットだと2列を倒して2人乗りになってしまう。

今日も群馬支部灯火フルセットである。場所は前回からアスファルトで灯火がやり易かったドライブインを予定している。それから、今日は第1回群馬支部灯火採集会の時お会いし、ネットで親しくなった、宇都宮のt氏と一緒に張ることになっている。

我々が現地についたのが4時であった。すでにt氏は来ていて、車の中にいた。
「何時に来たんですか?」「1時頃です。場所が取れないといやなので早めに来ました。」
t氏のおかげで我々も灯火場所の確保ができた。灯火の準備が終わりすぐに点灯した。

隣のt氏のセットを見ると、我々のセットに良く似ているし、使用している水銀灯もリフレクター型蛍光水銀灯2灯である。W数は我々の1/2であった。

密かに心の中で「今日は、3対1で我々の勝ちかな?」と思った。
案の定、8時5分に我々の所に、1頭目が飛来した。40mmオーバーの♀であった。
8時45分今度は隣のt氏のセットに♀が来た。これで1対1である。

今日一緒に来たまえださん親子は、今年は桧枝岐2回目でまだオオクワをGETしていない。私は、何とかまえださんにオオクワをGETしてもらいたく、他の灯火セットの様子を見に行くことにした。

灯火セットも千差万別であり、それぞれに工夫しているので、他の灯火セットを見るのは、すごく勉強になる。また色々話をすると、それぞれ意味があるので面白い。

10時、一通り見終わって帰ってみると、隣のt氏が2頭目をGETしていた。

「えっ!!」と私は絶句してしまった。まさか我々より多く採るなんて信じられない…
「こうなれば、もう1頭採れるまでやろう」と変な対抗意識が燃え出した。

待つ事1時間、ミヤマ、アカアシは相変わらずポツポツと採れていたが、イスに座っていたスズリさんが、ライト後方5m地点の物音に反応して、何か拾い上げた。
「スジクワ」と言ったので、見に行くとオオクワ♀が握られていた。確かに点刻が背中にあるのでスジクワと言ったことが分る。時間は11時5分であった。

スズリさん、今日の2頭目である。
「こんな時間でも飛んで来るんだ。」と我々皆思っていた。私達の灯火に飛んできた中では、最も遅い時間であった。これでようやく2対2のタイに持ちこめたのである。このまま終わっていたら、私が今までやって来た事が無駄になってしまう。採れて良かった〜と思った。

「この時間に採れたのだから、まだまだ可能性はあるよ。」と言う事で、いつもより遅い12時30分までカンバッテみたが、その後オオクワは飛んでこなかった。

まえださん親子には残念な事だったが、まだまだシーズンまただ中である。次回に是非ガンバッテもらいたいものだ。下の3歳の男の子が楽しそうに、一生懸命クワを拾っていたのが、大変たのもしかったし、立派なクワ馬鹿予備軍であった
 

ここで、私が感じたドライブインの灯火利用上の注意事項を書きたいと思う。
 

当たり前であるが店の人に話し、許可をもらう。

場所取りの場合は、最低限必要な車のみを店の人の許可を得て、駐車場の邪魔にならない場所に駐車する程度に留め、決して営業時間内に駐車場に、イス、テーブル、灯火セット等を用意しない。(灯火の準備をするのは営業時間終了後である)

灯火までの待ち時間は、駐車場でたむろすることなく、車の中で静かに待つ。

灯火終了後は、自分達のゴミ、タバコの吸殻等は必ず持ちかえり、灯火周りに集まった蛾、その他の虫を、綺麗に掃除して帰る。

以上のような事が、きちんと守られなければこの場所は、灯火採集禁止になってしまうだろう。

そんな事になっては、一大事である。是非とも守って楽しい灯火採集をしたいものだ。


その3