採 集 記

「オオクワ20頭までの足取り」


その1



6月29日(木)新潟  同行者 HASE、HIRO

7月1日の第1回群馬支部桧枝岐灯火採集会を前にブラックライトの準備していたら、急に採集に行きたい衝動に駆られ、急遽、群馬支部の仲間に連絡を取り、2名が参加OKと言う事で、決まった採集であった。
場所を何処にするかは、HIROさんが新潟にしようと言ったので、すぐに決まった。
新潟は去年からのリベンジに燃える場所である。また、HIROさんは既に下見に訪れている場所であるため今回は、灯火の張れる場所を探す事も目的としていた。

駅を過ぎ、人家がなくなってくるとポイントである。HIROさんの案内で灯火の張れそうな場所に着いた。
「お!!ここなら場所も良いし回りの雰囲気も最高だ。」と思いながら、早速灯火の準備に入った。
「今日は、こいつを試すぞ。」と400Wの水銀灯ブラックライトを取りつけた。
今日のスペックは、センターに300W透明水銀灯と、400Wの水銀灯ブラックライトをダブルに取りつけて、両サイドからリフレクター型蛍光水銀灯でスクリーンを照らす群馬支部オリジナルセットのダブルバージョンである。約1年ぶりの灯火採集で、わくわくして来る。

7時15分いよいよ点灯である。

久しぶりに見る灯火セットは明るいの一言に尽きる。初めて点灯したブラックライトはと見ると暗い。元々可視光はほとんど出なくて、その分紫外線を大量に照射するのが特徴のライトである。この日の為に、防護メガネ、サングラス等を用意した。
3人ともメガネを掛けだした。
虫の寄りを見ると、300W透明水銀灯とブラックライトはほとんど差がなく虫、蛾を集めていた。両サイドの水銀灯はと見ると、左右で虫の寄りがまったく違う。
「何故かな?」と思いながらも灯火採集を続けて行く。

その内、HIROさんが「アカアシ、GET」と叫んだ。見ると確かにアカアシの♂であった。
それから数分後、またしてもHIROさんが「ミヤマ、GET」と叫んだ。ミヤマ♂である。
どうも今日はHIROさんに煽られどうしである。
7時50分またしてもHIROさんが叫んだ。

「やった!!オオクワGET」

見ると、体中に泥をいっぱい付けた40mm位のオオクワ♀であった。

なにはともあれ、今年初のオオクワである。実際に採れるまで「ここで、採れるかな〜?」と言う思いはあった。しかし、実際にオオクワが採れてみると、「やっぱりここで良かったんだ。」と安堵感が広がってきた。

気を取りなおして、次を狙って回りを丹念に探すが、2頭目は来なかった。しかし、今回はミヤマが大量に取れた。♀だけではない。♂も同じ数だけ採れている。20ペア位採ったであろうか、コ、アカアシ、ノコと混ぜれば全部で、50頭位の収穫であった。

11時に撤収をした。早めの撤収であるが、明日は仕事だし、この日は一応、ブラックライトの試運転ということで、本番は明後日の桧枝岐で思う存分灯火が出きると思ったからである。
不思議な事にこの日クワが飛んできたのは、片寄っていた。両サイドの水銀灯は同じタイプの300Wでありながら、虫の寄り、クワの採れ方がまるで違っていた。考えられる理由は、風の向きである。風上側は、虫が寄らないし。クワもほとんど採れない。
逆に風下側は虫が沢山寄っていて、クワが採れたのは、ほとんどこちら側である。詳しくは分らないが、山間の沢においては、風は山側から谷側に向かって吹いているようなのである。

「これは、もしかしたら大発見であるかもしれない。この事をうまく使えば、オオクワを採る数が違ってくるのではないだろうか?」などと心の中で勝手に思っていたのである。

しかし、今後の採集でこの事を検証していく必要があると強く感じた事は確かだった。

帰りの道で外灯の下を探しながら帰るのは結構時間がかかるものである。帰りの外灯案内は、やはり下見に訪れていたHASEさんである。街中に入った所で、HASEさんが「この上にハーブ園があって自販機があるのですよ。見て行きましょう。」と言うので寄って行く事にした。
まもなくハーブ園に着くというところで、道路脇の草むらの中に、女の人が立っているのを発見した。一同「ギョ!!」として、思わず私は「足はあるか?」と言った。
「ある、ある」と返ってきたので少し安心して通りすぎた。
時間は夜中の12時である。車が1台も通らない田舎の山道で、女の人に出会う事がどれほど不気味なことであるか、3人とも「ぞ〜とした!!」事は間違いない。

ハーブ園に着いて自販機回りを探したが、何もいない。3人とも「帰りに居たら声を掛けてみよう」などといいながら、降りていくと、まだ居た。よーく見ると頭の近くでランプが光っていた。携帯を掛けていたのである。スローで通りすぎると高校生くらいに見えた。周りには民家もまばらにある。きっと近所の子供が、家で話が出来ないので、外で話していたか、電波の入りが悪いので、外で携帯を掛けていたのだろう。と言う勝手な理由をつけて、3人とも「ホッ!!」としたのであった。
   


7月1日(土)桧枝岐、第1回群馬支部灯火採集会

 参加者 HIRO、HASE、うらら+わたる+たくみ、スズリ、nakakuwa

 まえだ+Jr2、MAX+Jr1、タカ、グッピー坂ちゃん、との、私

今日は、第1回群馬支部灯火採集会である。大人11人+子供5人、総勢16人の大採集会である。

集合場所の佐野SAに12時集合と言うことだったが、私は、準備に時間を取られ遅刻ぎみである。何せ16人ともなると灯火も2セット張らなければとてもじゃないが足りない。クワの数より、人の数の方が多くなってしまう。
12時少し前にスズリさんから携帯が入る。「今どの辺ですか?皆集まってますよ、早くお願いします。」私は、同乗のとのさんを迎えに行く途中で、まだ館林にいたのである。

「それにしても、せっかちな連中だな」と思いながら考えて見ると、どうも原因は午前中に掛かってきたタカさんの電話報告が原因と思えた。

タカさんは、前日から桧枝岐入りしており、すでに昨日オオクワを2頭GETしていたのであった。この報告を聞いているものだから、皆すでに心は桧枝岐に飛んでいて、浮足立っていたのである。続けてまた携帯が、
「まえだです。今何処ですか」
「館林インターから乗ったところだよ」
「あそうですか、じゃ我々は先に行ってますので後から追っかけてください?」
「分りました。……」
なんと私と、とのさんは置いて行かれてしまったのである。
「なんと薄情な連中であろうか」と心の中でつぶやき、「まあ、浮き足だっている気持ちも分るな〜」などと思いながら、先発隊を追いかけたのである。
道の駅「田島」でようやく皆に合流し一路桧枝岐へ途中、湯の花温泉キャンプ場で、OBCむげんさん、東京支部の人達に会い、3時45分灯火場所に着いた。灯火までまだ時間がある。

ここで群馬支部名物、バーベキューの準備である。スズリさんと、まえだ@料理長が手際良く進めて行く。

その他の人は灯火の準備に廻った。今日の灯火は、オリジナルセット300W水銀灯×3灯とブラックライト水銀灯400W&誘蛾灯20W×8灯の2セットを張る事とした。オリジナルセットは、広場の真中の位置に、ブラックライト&誘蛾灯は広場の下手、谷側の位置に張った。なぜこう張ったかと言うと、これはオリジナルセットに対するハンデである。900Wのオリジナルセットと400Wのブラックライトでは、明らかに前者が有利と思えたからである。前回の新潟の検証も兼ねていたので、場所的に優位な位置にブラックライトを持ってきたのである。

さて、結果の方はいかにと言うところだ。

そうこうしている内に、タカさんが合流した。皆昨日タカさんがGETしたオオクワ2♀を見ていた。43mmと37mmの立派なものだった。ここでタカさんの採集報告を皆で聞いた。

早く着いたので、灯火採集前に優雅にバーベキューを楽しめる。今後はこのパターンで採集会を行いたいと皆が言っていた。

7時10分いよいよ灯火に点灯である。ちよっと前に雨がパラパラと降ってきたが、お構いなしで採集モードに入った。

虫の寄りはやはりオリジナルセットの方が多い。8時前からアカアシ、ミヤマが採れ始めた。   
ブラックライトの担当は私、とのさん、nakakuwaさんが担当した。他は子供がいるので、オリジナルセットの担当である。ブラックライトは相変わらず暗い。土の上では非常に見ずらい。オリジナルセットでクワが採れ出しているのに、こちらは余り採れない。
やはりブラックライトでは無理があるのか?
ランプを水銀灯に交換しようか迷っていると、とのさんが「これじゃ暗くてわかんね〜よ!!」と言い出したのだ。8時30分、ブラックライトを透明水銀灯に交換したのであった。

程なくして、私が、コクワ、ミヤマと経て続けに拾った。そしてまたミヤマかなと思って拾い上げると、背中のスジが目に入った。
オオクワである。「オオクワが来たぞ〜!!」と大きな声で叫んだ。皆聞きつけて集まってきた。記念すべき桧枝岐第1号である。
時間は8時45分、38mmの♀であった。

それから、少し経った後、スズリさんが用を足して戻ってくると、手に何か握っている。

「これが居ました。」と差し出した手にはオオクワ♀が乗っていた。

「え、何処で」と聞くと草むらに逃げ込もうとしていたのを捕まえたと言う。8時55分であった。前足の符節が1本無いが40mmオーバーの越冬個体である。採れたのは私達の灯火の後方であった。
この頃になると、オリジナルセットの方は誰も居なくなってしまった。これではもったいないのでオリジナルセットを元ブラックライトセットに合体させる事にした。
こいつは強力である。何処かの人が写真を撮らせてくれと言ってきたので、「どうぞ好きなだけ撮ってください。」と言ってやった。その後30分位ミヤマ、アカアシがぼちぼち飛んできたが、大人はイスに腰掛けて話込んでいた。

「バシィ!!」とクワがスクリーンに当たる音がした。私は思わず「来た!!」と叫んだ。

と思ったら、うららさん家の次男タクミ君が、もう駆け寄って手に掴んでいたのだった。
「あっ!オオクワ」タクミ君が興奮した声で叫んだ。3頭目のオオクワ♀が飛来したのだ。9時30分である。大きさは37mmであった。
うららさんが申し訳なさそうに、「これ、いいんですか?」と聞いたので、「もちろん」と答えた。まさか大の大人が子供の採った獲物をぶんどるわけにはいかなかったのである。
しかし、スタートダッシュでは、大人はまったく勝てなかったのである。

その後オオクワは飛来しなかったので、11時頃撤収したのである。

オオクワ3♀、初桧枝岐で第1回群馬支部灯火採集会としては上出来であった。


その2