7/28 新潟オオクワ るど松コンビ編(1/2)


00/7/28

信越方面

【握手】

今年はこれまでで5頭のオオクワを採集した。これでも去年を大幅に上回るペースなのだが、何か物足りないものをずっと感じていた。それが「握手」だということに気づいたのは最近だ。

去年は単独の採集というのはほとんどなく、常に同行者がいた。そしてオオクワが採れた時には、さりげなく同行者に近寄っていき、何の前ぶれもなく右手をスーっと差し出し、握手を求める。手を握られた相手は一瞬何のことかわからないが、意味を理解した時点で大騒ぎとなるのだ。

最初に新潟でクワ道さんにこれをやられた時の驚きはハンパなものではなかった。そして、数カ月後に福島や茨城でやり返した時のクワ道さんの表情を忘れることができない。まゆ毛が頭の上まで上がったことを今でも思い出してニタニタしているくらいだ。

オオクワを採集した時には、そういう楽しみもある。同行者と喜びを分かち合い、大騒ぎができることは、無上の幸せを感じる。ところが単独採集となると、これが味気ない。もちろん採れた時は心臓バクバクで大喜びなのだが、それをストレートに表現できないつらさがある。山の中を一人で走り回って喜んでいたら、それこそ変な人だろう。

今年のオオクワ採集は単独が多いため、そういう意味ではとても消化不良だ。


【新潟へ】

ここにきて、やっと新潟へ行ける段取りができた。シーズンイン前の心積もりでは、まず6月に檜枝岐へ一回行って林道を歩き、7月・8月は新潟へ通い詰める予定であった。去年はここにたどり着くまでに何度も無駄足を踏んだので、今年は存分に新潟三昧しようと考えていたのだ。ところが諸事情によって計画は丸潰れになり、今回ようやく念願の新潟に足を踏み入れることになった。

今回はるどるふさんと二人で行くつもりだったのだが、なかなか金曜日の仕事が終わらず手間取っているうちに、r.matsudaさんも同行できることになった。これは嬉しい誤算だ。(^o^) あ〜道コンビが「長沢くんと藤木くん」なら、るど松コンビはクワガタ界の「杉山くんと大野くん」と言えるだろう。(なんじゃそりゃ(^^;)) そんなゴールデンコンビと同行できることになった。


もどかしい気持ちでやっと仕事を終え、大慌てで支度をして都内某所の集合場所へ向かった。もっと早くから動けたるどるふさんの時間を拘束していたのはとても心苦しい。何と言っても今日はオオクワの灯下採集には絶好の条件だ。あ〜も触角がギンギンに動いている。最近は気温や湿度が上がったりすると無性に外灯へ行きたくなったりして、完全にOSが虫になっているような状態だ。これを世間ではビョーキという。

3人揃ったので出発!途中のサービスエリアでとりあえず今晩の作戦を立て、いよいよ新潟入りだ。途中では時々雨が降ってきて頭を悩ませる。天気に悩んでも仕方ないのだが、アスファルトを見にくくなるのはつらい。天気を気にせずに採集したいものだ。


高速を降りてから山道を走る。当たり前だが、途中の外灯が妙に気になる。時間が遅いのでポイントに直行したいのだが、とうとう誘惑に負けて外灯をチェックしてしまった。去年、カブちんやミヤマが集まっていた外灯には何もいない。今日は虫は飛んでいるのだろうか?

それよりも気になるのは天気だ。時々雨が落ちてくる。予報など見ていると、ただの夕立かと思ったが、どうもそういう気配ではない。だんだんテンションも下がってくる。

行動しやすくなる場所で車を1台にまとめてポイントに向かって出発した。


【途中の外灯】

毎回毎回繰り返すのだが、ポイントに向かう途中でどうしても水銀灯に立ち寄ってしまう。「直行しようね」と決めていても、なぜか車は減速して、最後には下りて見てしまうのだ。

今日も結局同じようなことを繰り返してしまった。しかし、コクワやノコが落ちていて、ちゃんと虫が飛んでいることが確認できた。

さらに先の外灯でもノコ♀数頭を追加。今の時期はノコの♀が本当に多い。全般的に♀が多いのだが、ノコは特に異常である。


【有望ポイント】

前々回の新潟で開拓しておいたポイントへ到着した。前回r.matsudaさんと下見をした場所である。全く虫が飛んでいない時期に、ここにはたくさんの死骸が落ちていて、オオクワが棲息していれば、絶対にここに飛んでくるだろうと言っていた場所だ。有望な外灯は2ケ所。まずは最初のポイントだ。

車を降りて丹念に探す。時間が時間なので隠れているクワガタを探したほうが効率がいい。色んな場所に挟まっているコクワ、ノコ、ミヤマを次々につまみ出す。r.matsudaさんの探し方は、これまた神髄を極めているという感じだ。とにかくよく見る。以前から思っていたが、いかにもクワガタがいそうな場所はもちろん、「あんな遠くまで」と思う場所まで丹念に見ていき、次々にクワガタを見つけてくる。一歩踏み込んだ、手間を惜しまないこの採集スタイルはLちんとも共通するが、とても真似できるものではない。採れるべくして採れているのだ。

すでに午前0時を回っていたが、この時間にもクワガタは飛んできているようだ。しかし本命の姿はない・・・


【うそでしょ?・・・】

いよいよ一番有望なポイントに来た。シーズンオフにあれだけのクワガタが来ていたこの場所は、本格シーズンに入ったらどうなるんだろうと思っていたのだが、まさに壮絶な光景であった。

相変わらず死骸が周囲にゴロゴロ転がっているのだが、こんな時間でもクワガタが次から次へと飛来している。採っても採っても採りきれない。すごいところだ。しかし蛾や他の小虫の数はハンパではない。r.matsudaさんなどは小虫を吸い込んで思いっきりむせていた。(^^;)

大きなミヤマやノコの♀にドキっとさせられる。r.matsudaさんの探し方を見て、またまたこれが勉強になるのだ。頭ではわかっているのだが、なかなか行動には移せない。「こういうとことか、こういうとことかにオオクワはいるんですよね」と言いながら草むらをかき分けている。それを見ならって3人で頭を突きあわせて草むらのクワガタを探す。

いつになく口数の多いr.matsudaさんの声を聞きながら草むらをかき分けていたのだが、「これは・・・」という声とともに、影ができた。何の影だろうと思って顔を上げてみると、るどるふさんがr.matsudaさんに手を握られたところであった。

「まぢ??まぢ???」と言っていると、こちらにもスーっと右手が伸びてくる・・・

手にはオオクワ♀が握られていた!!

ヤッタ〜〜〜〜〜〜!!!

なんと、本当にこの場所にオオクワが飛んできていたのだ!ボロボロになりながら、夜中に走り回ってこの場所を見つけておいた甲斐があった。一気に酬われた。そしてr.matsudaさんの執念だ。いるかいないかもわからない場所で、あれだけ丹念に探す労力はハンパではない。

何度も書いたが、いるかいないかもわからない場所に労力や時間を突っ込むことは、本当に勇気のいることだ。時期が時期だけに、行くところに行けばいくらでも採れるのだ。こんな非合理的で効率の悪いことにつきあってくれるr.matsudaさんとるどるふさんには大感謝だ。

しかもこんな場所で結果まで出してくれた。こんなに素晴らしいことはない。新規開拓の達成感はひとしおだ。韮崎や檜枝岐などでは味わえない感覚だろう。あ〜一人なら、このオオクワは見逃していたに決まっている。

39mm ♀

当然、一同は大騒ぎだ。ここにいることがわかるとなると、当然そのあとの探し方は俄然変わってくる。おざなりになりがちな探し方との闘いも新規開拓のつらさだが、オオクワの存在が確認できた今は当然目の色が変わってくる。

るどるふさんがさっそく横の草をどかし始めた。あ〜は相変わらず最初の草むらを見ようとしたのだが、突然また影ができて暗くなった。顔を上げると、るどるふさんの右手が目の前にある・・・

えっ?!

わけもわからず右手をつかんだ。るどるふさんは何も言わずにすごい表情をしている。大きく息を吸い込んだまま吐かない。(^^;) 目を大きくつぶって上を向いている。真夏の風呂上がりの乾いたノドにビールを一気に流し込んだ直後のような、何とも達成感に満ちた表情だ。(^^;)

r.matsudaさんも唖然としている。オオクワが採れてからまだ2分も経っていないのだ。

大興奮の空気で渦巻いている中で、新たな興奮の波が押し寄せてくる。るどるふさんが左手を開いた瞬間に我々は完全に凍り付いてしまった。

堂々とした大歯が前方を向いている。こんなヤツを灯下で採集した現場にナマで立ち合えるなんて、どれだけ幸せなことだろう!!

あの沈着冷静なるどるふさんが突然走り出して、道の向こうまで行ってしまった。喜びのあまり駆け出してしまったのだ。(^o^) そう、これがオオクワ採集なのだ。るどるふさんもr.matsudaさんも何頭もオオクワは採集しているが、「採れるのが当たり前」なわけないのである。何頭採っても、この喜びは絶対に変わらない。我々はプロではないのだ。

64mm ♂

それにしても、この二人だけは本当にすごい。(^^;) すごいとは思っていたが、やっぱりすごい。(^^;)

今年は二人はいろんな場所で活躍していたが、実際にオオクワの採集現場に立ち合ったのは今年初めてだ。こんな大興奮を味わえるなら、これまでのやつに全部同行したかった。とにかく何かやってくれる二人である。

こうなってくると、当然あ〜にもプレッシャーがかかる。一人だけオオクワボーズというわけにはいかない。(^^;) 大興奮状態の中、さらに気合を入れ直して必死こいて草むらをあさり始めた。

しかし、出てくるのはコクワ、ノコ、ミヤマ・・・・いつものメンツばかりだ。こうなったらr.matsudaさんにあやかって蛾でも飲んでやろうかなどとアホなことを考えたりしたのだが、そんな勇気もあるわけがなく、必死で草むらをかきわけるのであった。

相変わらずノコの♂などは飛来しているのだが、本命の姿はない。いい加減に諦めて、次の場所に移動しようかと思った頃に、るどるふさんの声が聞こえてきた。

「えっ?また? まぢ?」

なんだ?と思って顔を上げてみると、r.matsudaさんは再びるどるふさんと握手をしていた。(^^;)

そして再びこちらに右手が伸びてくる・・・・・・(^^;)

まぢ???????

マジだった。r.matsudaさんの手にはまたオオクワ♀が握られていた。今度は全然別の場所から探り出してきたようだ。あ〜なら絶対に見ない場所だろう。本当にすごいと思う。あれだけ握手を切望していたのだが、まさか3連発を喰らうとは思わなかった。

37mm ♀

全く信じられない。わずか10分ほどの間に3頭ものオオクワが一ケ所で採集された。しかも時間は1時前だ。そして全く新規の場所である。これほどの大興奮は滅多に味わえるものではない。このメンバーで来て本当によかった。一人で来ていれば、絶対に見つけられずに諦めていただろう。

それにしても、これでまた回る場所が一つ増えたわけで、さらに身体が何個あっても足りない状況に拍車をかけてしまったのである。(^^;)

自分は採れなかったものの、結果には大満足だ。何と言ってもオオクワの存在が確認できた。しかも濃いと言えるだろう。自分の目が間違ってなかったことが嬉しい。


【大移動】

それから去年の実績ポイントなどを回ってみたのだが、相変わらず採れるのはコクワ、ノコ、ミヤマばかりだ。

雨は完璧に本降りとなった。頼むからやめてくれ。(;_;) せっかくここまで来たのだから、気持ち良く採集をさせて欲しい。

ショックだったのが、期待の場所2ケ所に裏切られたこと。この2ケ所に期待をかけていただけに、げっそりだ。何と言ってもここまでの移動距離は大変なものだ。

完全に夜は明けてしまった。

3人はさらに大移動して、るどるふさんがオオクワを採集した外灯に到着した。あ〜はすでに「う〜さん」状態だ。

夜が明けているにもかかわらず、r.matsudaさんとるどるふさんは次々にクワガタを見つけてくる。ポイント自体もすごいが、この二人はもっとすごい。(^^;) ちなみにあ〜は1頭も見つけていない。


すっかり朝になってしまったが、ネグラを決めてそこで寝ることにした。夏は車中泊ばかりだ。

今晩の目玉3頭

今晩あ〜が採集したクワガタは41頭。期待のポイントに裏切られなければ100は越えていただろう。遅い時間から始めたにしては上出来だ。これだけのクワガタを鳥や猫から救った。(^^;)

今晩の成果の一部

相変わらず雨は本降りで、こんなのでは明日のヒメオオ・アカアシの新規開拓なんかできない。気が遠くなったのだが、疲れていたので何も考えずにサクっと眠りに落ちることができた。

明日も頑張るぞ!!


では2日目へどうぞ

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