ネブトクワガタを探して!

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3.偶然

 その時は突然訪れました.
 拓ちゃんと一緒にいつもの場所(Fig.1-ポイントA)にカブト虫を観察に行った時のことです.ここの場所はカブトの幼虫タコ取れの場所で定期的に見に行っているのです(あまりにも沢山で家に持ち帰って飼育するのも大変なのです).このカブトポイント近辺の写真をFig.5に示します.この場所の特徴は日光は直接大量に当たらないが,風通しが良いことです.
 その場所に行ってみると拓ちゃんが"いい木があるよ!"と言いました.見ると大きな松の枯れ木です.私は何気なく,"ここにはいないやろ"と言いました.しかし拓ちゃんはスコップでその木をほじり始めたのです.私は"やめとけ,やめとけ"と言いましたが...,急に拓ちゃんが"幼虫がいた"と言い出したのです.ま,ブイブイ(コガネムシ)か何かだろうと思い見てみるとびっくり,何とネブトの幼虫だったのです.2日前にさんざん探して見つからなかったのがいとも簡単に見つかったのです.それも幼稚園児によって簡単に見つけられてしまったのです.驚異の幼稚園児拓ちゃん.それからはもうたいへんです.近辺を捜索してまわりました.ちなみにこのレポートの写真は3,4回目に行ったときのものです.
 ところで,ポイントAはポイントBから5kmほど離れています.もし,ポイントBで樹液採集した個体がポイントAから発生したとすると,かなりの距離を飛行をしてきたことになります.ネブトは飛行しないと書いてある本がありますが本当でしょうか?実は飛行するのではないでしょうか

Fig. 5

4.どんな木か

 やはり松の枯れ木にいました.まず拓ちゃんが発見した木について説明します(Fig.6).樹皮がはがれ真っ白く乾燥した巨大な倒木です.数年前に誰かが切った木と思われます.幼虫のいた部分はPhoto.6に示した部分で表面の乾燥部分をはがしたところ,赤土(水分は多目)のようになっており,その部分に10頭ほどいました.そしてこの木の赤土化した部分以外にはいませんでした.またここにいた幼虫のお尻は赤茶色をしていました.

Fig. 6

Fig. 7

 次に発見した木はFig.8の木でした.Fig.6の木からさほど離れていない所にあり,からからに枯れていて一見すると何の木か解りませんでした.周りに残った木の皮から松の木とわかりましたが,こんな木にいるわけは無いがと思いながらひっくり返してみました (Fig.9).するとぽろぽろと2頭の幼虫が落ちてきたのです.何処までが木の朽ちた部分で,何処からが土なのかわからないような枯れ木でしたが,結局この枯れ木から50頭以上の幼虫と4頭の成虫を採集したのです.土は黒に近く,縦に延びた木の芯の間に詰まっていました.また,ここにいた幼虫のお尻は黒く,吉田さんの本に載っている幼虫の写真そっくりでした.
 今回ポイントAの5本の木からネブトを発見しましたが,どの木も松で表面の皮ははげていました.これは,偶然なのでしょうか?古い朽ち木ほど良いことを示しているのではないのでしょうか?

Fig. 8 

Fig. 9